ヘンゼルとグレーテル

 ヘンゼルとグレーテルは暗い森の中をさ迷っていました。

 どれくらい歩いたでしょうか。急に視界が開け、小さな平地に出ました。森の中にぽっかり空いた穴のような場所で、中心には一軒の家が建っています。近づいてみると、何とお菓子でできているではありませんか。ビスケットの壁、チョコレートの屋根、飴の窓、他にもたくさんのお菓子たちが夢のような家を形作ってます。

 不意に戸が開き、中から黒い長衣をまとった老婆が出てきました。

「おや、お客様だね」

 老婆はニヤリと笑います。よっしゃ獲物が来たわと言わんばかりの怪しい雰囲気です。

 ヘンゼルとグレーテルは顔を見合わせ、覚悟を決めて言いました。

「トリックオアトリート」

 そうして二人はお菓子の家を食べ尽くしました。全てを持ち帰るには大きすぎたので。お土産はクッキーでできた戸です。兄妹で担いで帰りました。

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