箱のラドンパ

たっきゅん

箱のラドンパ

 世界という箱には今日も災いが降り注でいる。


 天災、大規模な地震や、火山の噴火、海水による津波といった自然災害と呼ばれるものから、黄砂や花粉、排気ガスといったものまで、空間に干渉する災いによって世界という箱には不幸や絶望といった感情が降り注ぐ。


 それらはどうしようもできない災害で、未来への希望に影として災いを落ちてくる。それでも人々は立ち直る。


 戦争、国という括りで国民に降り注ぐ災いもある。人類は何度も過ちを繰り返す。為政者は自身は安全な位置から国民に対して御国のために死ねという。特に世界中のほぼ全ての国で国交が成立した現代ではさっきまでの友人が敵国の殺すべき敵になり得る。


 税金、本来はインフラを初めとした国民の生活をお金を集めて豊かにするための制度だったものが私利私欲により使われ財源不足により破綻していく。それを回避するために増税を行い延命処置を繰り返す。古くは年貢という米を主とした奉納制度であったが、これも歴史は繰り返していることがわかる。


 人災、小さな近隣住民とのトラブルから、知人や見ず知らずの人からの無意識や悪意まで、世界という箱には自分以外の人間が多くいる。いつ、どこで、どんな災いに見舞われるかわからない。ちょっとコンビニまでといって帰らぬ人となったり、強盗殺人にあって初対面の人間に殺されるかもしれない。


 そんな災いに満ちた箱の中でも、人々は希望を信じて生きていく。いつか被災者が元の世界活に戻って笑顔で過ごせる日がくるようにと願って。政治が国民のために成されるのを信じて、そしてそれを成すために立ち上がる卵たちは未来を信じて。


 過去に公害という問題が発生した際も、病気の原因を突き止めて問題を訴え、何とかしてきた人たちがいた。恐らく、当時は原因不明の病で絶望が世の中に満ちていたことだろう。他にも疫病や害虫、害獣など、ありとあらゆる災害を越えて今がある。何度かの戦争も越えて今がある。


 パンドラの箱、詰まった多くの災いを世界に振り撒いて、その奥に最後の希望があるとするならば、最初から希望があったのだ。災いという箱を埋め尽くした不条理、その奥に希望はあったのだ。その希望はきっと私たち一人一人だ。


 例え世界という箱が希望の輝きを消し去ろうと災いを箱の中いっぱいに詰め込もうとしようとも、人の輝きは消えることはない。歴史は繰り返すなら、平和な世の中が必ず訪れる。


 だって私たちはこの世に生まれ、人生を歩み始めたときからの、世界という箱の〝希望〟なのだから。

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箱のラドンパ たっきゅん @takkyun

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