第2話 襲撃
放課後となり学校の下校時間になった。
「じゃあな星辰」
「うん、また明日ね」
その日の授業を終えた星辰はクラスメートと挨拶しながら校舎を出て、学校の校門まで歩いた。
今日は少しだけ担任の教師に小言を言われたため、校舎をでるのがいつもよりもやや遅れた。
「まあ、先生の言うように遅刻ギリギリはまずいよなぁ」
小言は遅刻の件だった。
「やあ、星辰君」
少し難しい顔しながら学校の校門を出る星辰の前に、1人の男性が声をかけてきた。
月影である。
「あれ、月影先生?」
月影は星辰に勉強や運動を教える家庭教師役を兼ねているため星辰から先生と呼ばれていた。
「星辰君をお迎えにきました」
「迎えに? でも、僕一人でも帰れるよ。みんな普通に帰っているのに、自分だけ車に乗るのはなんだか恥ずかしい」
これは星辰が車で送り迎えを嫌がる理由のひとつでもある。
「まあまあ、たまには車で帰ってもいいじゃないですか。どうぞ」
月影はそう言うと車の後部座席のドアを開けた。
「うーん。せっかく来てくれたし、今日はそうするよ」
言われるがまま、車に乗り込む星辰。後部座席のドアをバタンとしめると、月影は運転席に乗り込んだ。
「また、誘拐犯でも僕を狙っているの?」
運転席に乗り込んだ月影に星辰が聞いた。
「まあ、そんなところです」
星辰の質問に答えると月影は車のエンジンを始動させて発進させた。
「昔から先生には助けてもらってばかりだね。いつもありがとう」
「いやいや、星辰君が気にすることではないですよ。私は紅鏡家の使用人なんですから。それより今日は学校はどうでした?」
「いつも通りかな。あ、でも最近、授業がちょっとだけ理解できる様になってきてるんだ。前より成績良くなっているかも」
「おや、そうですか。それは良かった」
「あと、体育の授業でも調子良いかも。この前、50メートル走のタイムがちょっと良くなったし。月影先生が勉強や運動を見てくれたおかけかな」
「そう言ってもらえると光栄ですね」
星辰に言われて月影は微笑んだ。
「でもさ、最近変なことも起きるんだ」
「変なこと?」
「うーん、そうだな例えば、たまに遠くいるはずの人の助けを求める声とかが聞こえるんだ」
「そう、それは……なんと言うか興味深い話ですね」
「信じてくれるの?」
「それはもちろん。星辰君がうそをつくような子ではないことは知ってますから」
「でもクラスの子に言ってみたら、変人扱いだったよ。とほほ……」
「はは、確か聞こえても言わない方がいいでしょうね」
「そうだよね。そんなことあるわけないよね。でも声が聞こえるんだよ。それで、そ
の声が聞こえる方に行ってみると、本当に困っている人がいるんだ。不思議だなあ。今日も足を挫いたおばあさんがいたんだ」
「なるほど、それは確かに不思議ですね……」
そう言うと月影は少し難しい顔をした。
(星辰君のご両親が仰っていた様に能力が少しづつ覚醒している様だ……)
「あっ、待って」
月影が考え事をしていると、ふいに星辰がこう言った。
「どうしました?」
月影が星辰に聞き返す。
「上から襲ってくる?」
星辰が言った。
「上?まさか……」
月影が急ブレーキをかけて車を止める。
と同時に車のボンネットに、不意に人が乗ってきた。
その衝撃で、車が揺れる。
「うわっ!」
星辰が悲鳴を上げた。
(くっ、もう襲ってきたか?)
月影が前見た。
「え、な!」
星辰が目を開くと、車のボンネットの上に人が乗っていた。
いや厳密には人に似たものが乗っていた。
「なにあれ、ゲームとか漫画とかに出てくるモンスター。怪物みたいだ。こいつは狼男?」
星辰が言った。ボンネットに乗っているのは確かに狼男に見えた。
(やはり犯罪組織に雇われた連中か……人通りが少ないこの場所で襲撃するつもりだったか。以外に用意周到だな)
車の周りに、星辰の言う怪物どもが複数集まっていた。
開けた場所で、取り囲まれている。
そして、周りに人間と思わしきものはいない。
(星辰君だけ逃がすか?いや、この人数では)
月影は車から飛び出した。
「月影先生!」
「星辰君は車に乗っていなさい。出てはだめですよ」
「で、でも……」
「いいから!」
月影が星辰に強く言う。
車の外に出た月影は、怪物たちと対峙した。
「貴様ら、宇宙犯罪者だな」
月影は周りにいた怪物どもに言った。
(宇宙犯罪者?)
聞いたことがない言葉に星辰は少し驚いた。
「へえ、こいつ地球人のくせに俺らの事を知ってるみたいだぜ」
怪物の一人が言う。
「もしかして、状況をしってんのか?なら話が早い。お前、その車の中にいる小僧を渡せ」
地獄絵図に出てくるような
(あいつら、僕が狙いなのか?)
星辰は獄卒の言葉に星辰は再度驚いた。
「断る」
月影がきっぱりと断った。
「おいおい。お前、この人数が見えねえのか?」
怪物の一人が月影にすごんだ。蛇の頭をしている。
「……」
月影、蛇頭の言葉を無視していつのまにか持っている棒状の様なものを蛇頭の首にあてた。
「え?」
一瞬、何のことか分からずきょとんとする蛇頭。
「ぎゃああ!」
次の瞬間、棒から電流が走り蛇頭は気絶して倒れた。
「ふむ、スタンガンはこいつらにも通用する様ですね」
月影は少しだけ関心したように言った。
「こいつ。面倒だ、やっちまえ!」
獄卒が号令する。
号令ともに怪物どもが月影に襲い掛かる。
普通なら多勢に無勢だが月影はものともせず怪物たちを倒していく。
「先生。すごいや」
星辰が歓声をあげた。
「ちっ、おい、お前ら」
獄卒が、怪物の連中に何か命令を出した。
「分かった。へへ、サモンファミリア」
怪物の一人が、そう言うと空間から一体の機械の人形が出現した。
「あれって、ロ、ロボット?」
その機械の人形を見て、星辰はまたまた驚きの声を出した。
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