第16話 『地下の世界』その6
巫女さまは、古文書を返還されながら、具李子さんからその報告を受けたのだ。
もちろん、ぼくも同席していたわけだ。
巫女さまは、こう言った。
『お勧めはしませんが、もし、真実が見えたら、世界は変わるでしょう。』
それから、ほくのほうをむいて、こう付け足した。
『具李子さまの覚悟は故あることなので、あえて止めません。しかし、あなたの場合は、ちょっと違います。あなたは、お父様の真実を知っていますか?』
『さあ。なにしろ、なにも話さないからですね。公務員をしてるしか。でも、どこの家庭も、たいがいそんなものみたいですし。』
『なるほどお。たしかに、おうちでは、仕事の話しはしないものでしょう。……気になりますか?』
『巫女さまは、なにか、ご存じなのでしょうか。』
『巫女といいますものは、時に、知るべきではないことを、見たりもしますが、それは、つまり、オカルトなんですわ。幻想ですね。しかし、あなたのお父様は、たぶん。意外と偉い人です。管理職にあります。たぶんね。』
『管理職にある人が、あんなに、放浪しますか?』
『まあ、政府放浪役、とかです。』
『うっ………ぶっ😁💨💨!』
ぼくたちは、笑いだしてしまった。
『でも、もしものことがあったら、お父様は悲しむでしょうから、それでも、いっしょに行ってくれますか?』
『行ってくれますか?』
と、巫女さまが言ったのは、多少不思議ではあった。
『あなたがたは、お付き合いしている身ですから、いっしょに行く必要性はあります。』
ぼくたちは、顔を見合わせて、ちょっと照れてしまった。
😳💦 😳💦
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