第6話 モブの休日を完全に破壊する如月さん
……皆。よく聞いてくれ。
モブって日が当たらない、かつ陰で好き勝手普通を堪能できる人間のことなんだ。
なのに、なのに……なんで
現に今、
「ありがとね、ついてきてくれて。」
「あ……う、うん。」
断れなかったんだよぉぉぉぉぉ!
だって断ったら敵対ルートじゃん!モブライフ終了じゃん!だからそれを回避するために図書館行ったんだよ⁉外出しろと親がうるさいから頑張って図書館行ったんだよ⁉
くるるるるるるるるる。
ん?なんだこの音。
「…………(⁄ฅ⁄⁄ฅ⁄⁄)」
「どうしたの如月s……ぁ。」
いまのって、もしかして腹の虫?如月さんの?
あたりを見回すと、そこにはまるで事情を知った顔をしているファストフード店のマスコットキャラクターが。
「とりあえず、何か食べようか、如月さん」
「……(。˃ ˂ *)ウンウン」
ファストフード店に入り、二人で注文して待つこと数分。
「お待たせしましたー。ノーマルバーガーとフィレオフィッシュ、スムージーとサイダーでーす」
店員さんが注文したものを持ってきた。
「それでは、ごゆっくりー」
颯爽と持ち場に帰っていく店員さんを見送りつつ、フィレオとスムージーを如月さんに渡す。
「それじゃ、いただきます。」
「いただきまーす……」
おどおどした様子で如月さんがフィレオを口に運ぶ。
はむっ
「……!」
「おいしい?」
「ウンウン(*´༥`*)モグモグ」
「そっか。よ、よかったね」
にしてもおいしそうに食べるな、如月さん。
そしてスムージーもそろりと両手で持ち上げ、
ちゅーっ
「♪o(≧~≦)o!」
「よかったね」
……なんか、ヒロインというより、小動物だな……
そんな反応を見つつ、昼食を食べ終わる。
昼食代についてはちょっと意見がぶつかった。
「さて、お昼も食べたし、僕はここでーー」
「ま、まだだよっ望月くん!」
お昼でエネルギーをチャージできたのか、いつもより若干元気な如月さんに様々なお店に連れまわされたのであった。
ちなみに昼食代は自分が食べた分だけ払うということで落ち着いた。
「今日はありがとねっ、望月くん!」
夕日が硝子に写る時間、やっと終わった……
「う、うん……こちら、こそ……」
ごっそり体力もってかれた……
モブに体力求めちゃアカンすよ。
「それじゃ、またあさって……」
ブーブー、ブーブー
バイブレーションの音が鳴り響く。
「?」
「あ、ごめん。私のかも」
如月さんはバッグからスマホを取り出し、画面を見る。
「……ぁーー」
如月さんの表情が揺れたーーように見えた。
「ご、ごめんね望月くん。……お母さんに帰って来
るの遅いこと言ってなくて」
「そ、そっか……」
「それじゃ、また月曜日!」
如月さんは走って帰っていった。
……なんだ、今の。
目の生気が無くなったような……絶望したような目だった。
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