第19話 回収

火は暫くの間、燃え盛っていたが、燃えやすいものも殆どなかったため、徐々に鎮火していった。

焼け跡に近づくと、焦げて丸く固まったゴムボートらしき物体と、顎が吹き飛び、一部が焦げたものの、形を残したリヴァイアサンが浮かんでいた。

男は腰にさした剣を手に取るとリヴァイアサンの体に深く差し込んだ。

そして剣の柄にロープを結びつけ、砂浜の方へと引っ張っていった。

海は穏やかではあったものの、リヴァイアサンの巨体を引っ張るのには大変だった。

更に夜の海は冷たく、体力が奪われてゆく感覚をはっきりと身に感じながら、海底の砂を蹴るようにして前へ前へと進んでいった。

かなりの時間が経った後、男はリヴァイアサンの死体と共に砂浜に上がる事ができた。

その頃には、東から朝日が昇り、水平線を橙色で縁取り始めていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る