第13話 休息

水を沸かし終えると、男はお湯をインスタント・コーヒーの粉が入ったカップの中に注いだ。ベーコンにある程度、火が通ったのを確かめると、クーラーボックスから生卵を取り出し、フライパンの中に割り入れた。

ベーコンの油が卵によって抑えつけられ、弾ける音がしなくなった。

卵にも火が通ったところで、男はコンロの火を止め、フライパンをずらした。

クーラーボックスに入っていたフランスパンを外に出し、パン切り包丁で切り分けた。

パンはすっかり冷え固まっており、悪戦苦闘しながら切ることになった。

男はパン二切れを右手に持ったフライパンの中に入れ、左手にコーヒーカップを持ち、海の方を向くように置かれた折りたたみ椅子に座り込んだ。

男は海を見ながら、冷えたパンを齧り、コーヒーを啜りつつ、フォークで突くようにベーコンエッグを食べた。

朝食を食べ終えると、食器代わりのフライパン

を水と洗剤で洗い、片付けた。

男は、大層な朝食を食べたが、実のところ今日一日は何もすることが無かった。

いや、正確には何もすることができなかった。

あのランプがいつ変化を見せるかを、ずっと見ておく必要があるからだ。

男は、暫くの間椅子に座って海を眺めていたが、結局、再びテントの中へと戻っていった。

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