第10話 罠

男は、袋を持ったまましばらく歩き続けた。

やがて、別の砂浜にたどり着いた。

その砂浜は男が前哨基地を設置した砂浜よりも小さい物だった。

男は、海から打ち寄せる波が、靴にかかるぐらいのギリギリの所に立つと、袋から一つ、ブイを取り出し、海に向かって投げた。

錨が付いていたため、よく飛んだ。

海面に着水した瞬間、大きめの水飛沫が宙を舞い上がった。

錨がブイをその場に繋ぎ止め、すっかり固定されたことを確認すると、男はその場を離れた。

その後も、男は島の至る所からブイを放り投げた。

島を一周するようにブイを投げていった。

17個目を投げ終えた所で、袋に入っていたブイは全て無くなった。

男は最後のブイが海面へとぶつかってから、徐々に安定していき、水面に波紋が立たなくなるまでを見届けるとブイに背を向け、テントへと帰っていった。

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