第7話 第2段階

男はテントに戻った後、寝袋に入るとそのまま眠りについた。

夜が明け、朝になり、男は再びあの岩場へと向かっていった。

岩場に着くと、再び双眼鏡で海を見た。

何も無い。凪。

昨日の出来事が無かったかのように海は穏やかで、朝日の光を均等に照らし続けていた。

だが、男は解っていた。この海の下ではリヴァイアサンが唸り声を上げながら、駆け巡っていることを。

リヴァイアサンの生態的に考えて、たった一晩で銃弾を撃たれた怒りが収まるとは思えない。

一度、島の周りを回遊するリヴァイアサンを怒らせたら1ヶ月は島外に出ることはできないと言われている。

過去には忠告を無視して強引に海を渡ろうとした商船が、狩り損ねられ、傷を付けられたことで怒り狂っていたリヴァイアサンに沈められるという事件が起こったこともある。

だが、男からしてみれば、怒り続けてくれる方が今後の作戦に好都合である。

男は岩場からひとしきり海を見つめた後、今度は、自分のテントの方へと向かっていった。

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