第6話 状況開始

「ガチッ」というトリガーの音と共に、火薬が炸裂する音が辺りに響き渡った。

弾丸は薬莢を脱ぎ捨て、硝煙の匂いを引き摺りながら、銃口を脱する。

月明かりに照らされたリヴァイアサンの頭へと弾丸は向かってゆく。

世界がスローになる。

男はただ、じっと、飛び出した弾丸を目で追い続ける。

あと、10m。

そして5m。

やっと1m。

男は息を飲み込む。

弾丸がリヴァイアサンの頭に直撃した。

どうだ。そう思いながら男は双眼鏡を顔に当て、リヴァイアサンを見た。

その瞬間、竜は大きく吠え上がった。

海が震える。

音は海を超え、岩へと届き、男の耳にも届いた。

男は耳を抑えると、また、直ぐに竜を見る。

竜は生きていた。銃弾は確かに頭に当たった。だが、当たったのは、見る限り硬そうな場所だった。

リヴァイアサンは、その間にも吠え続ける。

男は、銃を岩から離し、背中に担ぐと、静かに体を丸めながら岩場を離れていった。

「これで、アイツは怒り狂い始めるだろうな」

やや小走りで走りながら、男は独り言を漏らした。これで作戦の第一段階は終了。

男は、次の段階に備えるべく、テントへと戻っていった。




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