第2話 海竜リヴァイアサン
男は、船の動きが鈍くなったことを確認すると、岩場のすぐ隣から広がっていた砂浜へと歩き出していった。砂浜はいくつか流木があるくらいで、いたって普通の薄い黄色の砂が広がるものだった。
男は、砂浜の中央あたりにたどり着くと、周りを見た。
砂浜の背後には山があったが、標高は10mもないような小山だった。
男は、この島は体を傾ければ、すぐに島の向こう側に広がる海を見れるような小ささであることを思い出した。
しばらく、見渡したのち、男は砂浜へと勢いよく座り込んだ。
男は腰から下げた布袋のうちの一つを手元へ持っていくと、中から小さく折りたたまれた小麦色の紙を取り出した。
そこには「海竜 リヴァイアサン」と大きく書かれた文字とともに鮮やかな色の体色をしている細長くも荒々しい体つきをした生物の絵が描きこまれていた。
男は紙から目線を外すと、今度は海を見つめた。
見つめながら何かを考えるような表情をしばらくしたのち、男は小麦色の紙を布袋の中にしまい込むと、立ちながらズボンに付いた砂を軽く手で払いのけ、船が括り付けられている岩場の方へと小走りで向かっていった。
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