その立方体は彼らの家にして墓所だった。

遥か未来、可能性の多寡によって人類が選別された世界。
その星は数多の花で覆い尽くされていた。
そこにポツンとあるのは可能性は無いと見做され見捨てられた者が住む立方体、そこは届かぬはずの手、聞こえないはずの嗚咽、干からびていくだけの膿が詰められた絶望の箱だった。しかして彼らの絶望を聞き届けた者はいたのだ。今や朽ち果てたロボットたちの手によって彼らの嘆きは溢れんばかりの花園を可能にした。