長年の夢だった辺境魔導士の自由気ままなスローライフ~元同僚達が俺のスローライフを壊そうと躍起になっているんだが?~

一ノ瀬麗奈

第一章

第1話 裁罪…転生魔法…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


この世界は大きく8つの国が存在している。


そのうちの一つである、

世界の平和を願う国

『ルイスピーチ』


その国で生まれ育ち、

魔導士団長に上り詰めた、

青年のお話である。


魔導団長は国王の息子アルザスと、

折り合いが悪く、魔法団長の役職を、

頂く前から、 奴隷のような扱いを受けていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「おい出来損ない!!

 掃除をしておけと俺は言ったよな?

 なんで出来ていねえんだ!!」


「はぁ…俺は剣士様の奴隷じゃないぞ…」


「あぁ?何故出来ていないのか言えないのか?

 …魔導士団長様は俺の事を、

 軽視していらっしゃいますか。。。」


の頼まれ事を消化していたからな。

 今から掃除をするから、

 剣士様は修練してきてください。」


「・・・チッ…姫様か…

 この城、全てを綺麗にしておけよ!!

 俺が帰ってきたときに出来ていなかったら、

 ただじゃおかないからな!!」


「はい…」


さて…この城…もとい王城を掃除…


面倒だな。一旦取り壊して再建しちゃダメか?

駄目だよな…あー面倒だ。


あの怠慢な剣士様は修練中か。

「陥没」…おっ!!いいぞ!!


「ぐへっ・・・誰だ!?」


「「「くふふ…」」」


「アルザス様!!何もないところでどうしました?」


「アルザス様でも躓くことぐらいあるよw」


「アルザス様が倒れた後の土が陥没しているわよ…アルザス様…減量しましょう!」


「そうよ!ぶくぶくと丸くなって…

 自分の実力を驕ると死にますよ!」


「アルザス様って結構重いです。」


「うるさいうるさい!!

 お前らのような出来損ないは首だ!!

 この国から追放じゃ!!」


「「「ははは…」」」


「早く俺の前から去らんか!!」


「いくら国王の息子だからと言って、

 堪忍できないわ。

 私たちが出来損ないね・・・」


「アルザス様は他人の実力を妬み、

 一時の感情で行動してよろしいのですか?」


「それがアルザス様のご意志なら・・・」


「あぁ、俺の行動は正しい!!

 父上も同じ意見だろうな!!

 お前らの変わりは山ほどいるんだよ!」


「「「なるほど。お世話になりました。

 次、顔を合わす機会がありましたら、

 一切手加減しませんわ…さよならです。」」」


あちゃー、あの野郎馬鹿だろ…

の変わりがいるわけがない。


どれだけ優れていようと磨き上げるまでに、

長い歳月が必要なのにな…


おぉっと!さっさと掃除しなくては・・・


「クリーン」よし…作業終了。


この王城を聖域に指定することも、

出来るが、協会と揉めるからなぁ…


必要最大限のことを必要最低限で、

終わらしたんだから休んでいいよね…


ドスドスと足音が近づいている。


「ライ!!てめえサボってんじゃねえよ!!」


「ぐへっ…」


アルザスは怒りに任せ、ライを蹴った。


「申し訳ありません。」


「謝罪すれば俺が許すとでも?」


「・・・サンドバックでもお探しですか?」


「ははっ!!それもいいな!

 だけど、国王に報告したらどうなるかな~?

 黙っていてほしければ、

 魔導の知識、技術を放棄しろ。」


「あ?放棄…?何を捨てろだって?

 国王に報告したければ報告しろよ。

 死刑だろうと甘んじて受け入れるぜ!」


「・・・おまえも高が知れているな!!

 なら、お前の言う通り、

 今から国王に報告してやる。」


「あぁ。報告してこい。」


アルザスは国王に急ぎ報告しに行った。

ライは自室で団員となにかの研究をしているようだ。


「団長~死なないでくださいよ!!」


「団長!反抗するべきでは?」


「ライさんは死が怖くないのですか?」


「死を恐れていて、

 魔導を極めることはできない。

 俺の死後発動する魔法を構築しているんだ。

 アルザスのことだから、

 俺は死刑になるだろうからな…

 限られた時間は短いだろうが、

 団員の成長に繋がるように、

 俺が培ってきた魔導の神髄を披露する…

 学びがあるといいな!」


「「「学ばせていただきます!!」」」


「いい心意気だ!

 これが俺の最後の魔導になるだろう…」


「これが・・・」

「これはっ…」

「団長…超越しちゃダメっすよ!!」


「この魔法は転生魔法と呼ばれている。

 条件を弄ったおかげで、

 俺は来世でもこの世で生活ができる。」


「何年後に転生するんですか?」

「いつ戻ってくるんですか?」

「肉体はどうするんですか?」


「肉体は準備済みだ。

 3年後に転生するぞ。

 だが、此処には戻らない。

 お前たちが成長して俺のもとに来てくれ!」


「「「わかりました!!」」」


「アルザスは虎の威を借りる狐…」


「処す?」


「滅ぼす?」


「あぁ、だけど、油断できる相手ではない。

 剣を習った者として言えることは、

 あいつの技は一流だぞ。

 痛い目を見ないよう、他人を貶さず、

 日々、研鑽あるのみだぞ・・・」


「団長の意見を心に留めておくわ!」


「んっ?人の気配が近づいているわ!」

「やっちゃだめ?」

「逃げる?」


「やっちゃだめだよ。もう来たのか。」


「このような形で再開したくなかったな。」


「なら、やめてよ…無理だろ!」


「あぁ。俺の息子の将来を潰したんだ。

 ライの言い分もあると思うが、

 言い訳を聞くほど俺は。」


「あぁ。アリバが息子の言い分しか、

 耳に入れないのはわかっていたよ。

 俺は俺のすることをした。」


「国王として命令する。

 広場に着いて来るのだ。」


「…かしこまりました。」


「ライが率いていた団員達に、

 団長の死を特等席で見せるか!」


「私たちの決意は固いです。

 団長の死を特等席で見れることが、

 叶うのであればです。」


「あぁわかった。特等席で見るんだ。」


さて、ここで国王と騎士を相手取っても、

俺は無事生還できる自信があるが、

ルナ、イオリ、サチ、サアヤ…

団員を置いて行けない・・・


犠牲が必要なら団長としての、

責務を果たしに行く。


迷惑だと思うが、許してくれ…



広場・・・


広場には人だかりができていた。

団長の死に際を見たがる人は多いんだな…

恨まれもしたが、喜びの表情をしているのは、

国王の息子…アルザス。たった一人であった。


「諸君!急な案内で集まっていただき、

 誠に感謝する!これより魔導団長ライの、

 罪を斬罪する!!」


「「「「「「・・・」」」」」」


「魔導団長ライの犯した罪は、

 国王の息子アルザスの将来を潰し、

 魔導の全てを放棄しなかった。

 ライ…何か言う言葉はあるか?」


「そこで俺に振るのかよ…

 アルザスやなにかと比較する奴らに…

 魔導士や剣士を下に見るのは、

 構わないが、いつか痛い目みるぞ…」


「それが最後の言葉でいいのか?」


「本当のことを話してもいいのか?」


「儂の判断が偽りだと言うなら、

 証明してみせろ!!」


「わかったよ。俺は面倒なことが嫌いだ。

 だから、いつでも死ぬ準備も出来ているし、

 必要になる証拠も握っている。」


「「「「「「・・・」」」」」」


「俺は魔導団長と言う役職に就こうが、

 一魔法使いとして生きてきた。


 王城の中での人間関係なんて糞だ!


 剣士は魔法を軽視し、

 魔法使いは剣士を軽視している。

 

 俺が団長になった経緯はどうであれ、

 奴隷と変わらないぞ!」


「おまえ!!」


「ライ!!口では何とでも「うっせえな」」



「「「「「「・・・」」」」」」


「俺の罪はアルザスの将来を潰した?

 魔導の全て…それは俺…俺達が、

 命を懸けて研鑽したものである。」


「渡さなかったおまえが悪いだろ!!

 だから放棄しろと提案したのに、

 従わなかったお前が悪い!!」


「渡さなかった俺が悪い。

 提案を呑む必要があるのか…

 国王の決定に逆らうのが悪だと、

 思うならそれまでだな。

 国王の息子だからって、

 何をしても許されると思うな。

 それと国王アルバよ…

 証拠は世界中の魔法投射でな。」


『スクリーン、魔導記録投影!』


・・・・・


「「「「「「・・・」」」」」」


各自…国の内情がどれだけ酷く、

汚いか痛感した。


だか、魔法師団長の思いを、

踏みにじるわけにはいかず、

必死に我慢していた。


「俺の言い分は終わった。

 さぁ、国王アルバよ!

 自慢の息子のために俺を処せ。」


「・・・俺にはでき「そんな覚悟なのか?」

 …これより魔法師団長…

 ライ・スチル・フェンダルを処刑する…」


「…(団員達よ…さよならだ…)」


ライ・スチル・フェンダルは処刑され、

20歳でこの世を去った。


人々は怒りを抱いたが、

思いを胸に、ただ立ち尽くしていた。


憧れの存在の悟っている表情を見るに、

こうなることを予見していたのではないだろうか。


彼が起こした行動が国の命運を変化させた。

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