第10話

「・・・で、少しこの町について話すんだけど・・・・・・」


「あ、どうやら着きましたね。どうします?」


「・・・行きましょう」


 そうして僕らはトオルを検死したという医者の元へと雑誌記者のフリをして向かうのですが、やはり殆ど門前払いでした。最終的な死因の判断と推察が知りたかったが、しいての収穫はその医者の名前と顔を把握したぐらいで、僕らは大人しく車へと戻りました。


「・・・あ、そういえば、驚きの事実ってなんですか?」


 僕はこの無駄足だった雰囲気を変えようと話題を振った。


「ええ、そうね。・・・ねぇ、お腹空いた?」


「・・・まぁ、はい、時間も時間ですしね」


「今日は付き合ってもらっているから驕るわ。何がいい?」


「え、マジすか?えー、じゃあ・・・やっぱり、ここと言えば海鮮丼ですよね。おススメのお店知りませんか?子供の時は食わず嫌いだったから、今食べてみたいっすね」


「この時間はもうそうゆう店は殆ど閉まってるからねぇ・・・あるよ、おススメ。それはまた週末行かない?」


「あ、そうっすかー、まぁそうですよねー大体、美味しい店は新鮮を売りに早朝から昼にかけてだし、田舎の個人店は閉めるの早いからなぁ」


「まぁ、あまりには聞かれたくない話だし、チェーン店でもいい?」


「いいっすよ、あ、丁度あっこにイタリアンレストランがありますね。あそこにしますか」


 そう言って車をレストランの駐車場へと止めに入った。


 注文を終えて、話を戻す。


「そのある人ってのが、成人式だから当然のように町長とかも同じく顔を出しにだけ来るんだけど、今の新しい町長が私とちょっとした知り合いでさ。君とお墓参りに行って話したりしたから、丁度その夜、町長と夕飯を一緒する約束もしてたしこの町について聞いてみたの。この土地の歴史、みたいなものをね。都会では分からないけど結構、地方では土着している文化なんかは最低限の知識として持っておかなくてはダメなの。選挙とか問題が起きた時、視野に入れて喋ったり対応しなきゃならない。でないと対立選挙の抗争になってしまいがちだからね。『』って、知ってる?」


「いや、知りません」


「あ、そう。まぁいいわ。とりあえず、前の町長は結構長く勤めていてトオルくんの事件時も着任していたわけ。関係があるかどうかは証拠も何も無いけどね」


 ちょっと話が遠くて何の話をしているのか疑問でした。


「さっきのイジメの話なんだけど、要するに一種の『村八分』じゃあないかなってこと」


「・・・え?子供達が??」


「あぁ、そこはちょっと遠いか・・・ごめんね、えっと順番に説明していくね。あくまでも私の予想と想像が混ざっているから、鵜呑みにはしないで」


「ああ、はい、落ち着いて、時間は十分にありますから」


 僕はもう次の日の仕事のことなんてどうでもよかった。


「ありがとう。そうね・・・ちょっと、この町の歴史みたいな部分から言った方が早いわね・・・・・・」

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