第8話

 うるさくて抜いていた携帯の電池をはめて電源を入れると直ぐに、けたたましく三和音で着信が入った。表示された名前は先生だったので、少し嫌々ながら電話に出た。


「あ、もしもし?あのさぁ、成人式である人と会っていてね、あれから色々話を聞いていたんだけど驚きの事実が分かったの。どうする?聞きたい?」


 主語が無く話し出している。本当に教師か?とまた疑問に思えるがまぁなんとなく分かる。トオルのことだろう。それにこの先生は確か社会か理科だった気がするし。国語の先生だったらマジありえないが、そこがまたギリギリ許せた。それに僕としても丁度良かった。調べる手間が省けるので

「あ、はい、聞きたいです。でも先生、今日平日ですよ?学校大丈夫ですか??」


「ああ、そうね。えっとね、夕方、七時に学校前で。いける?」


「分かりました」

 そう約束をして、僕は昼の間に当時の事件を知るため図書館へと向かった。



【○○県○○群、某マンションにて一五才の少年が突然死。警察は事件と事故の両方から捜査開始。マンション内に設置されている防犯カメラに不審な人物の姿は無く、マンション内部及び家庭問題のよる原因と見られている。少年の父親は別宅にて居住していて事情を聞き取り中。司法解剖の有無が裁判所の判断次第となる。】



 恐らくこの記事だと思われるが、未成年の事件により身元は分からなく配慮されていて明確ではなかった。だが、だとしたらなぜニュースとして取り上げられたのだろうか。

 先日、先生から聞いた結果でも殺人や外部的意図のある外傷や痕跡は無かったはずだ。死亡診断書の結果や、なぜ両親は死因を解明しようとしなかったのか。


 色々と、確かに疑問が浮き上がってくる。この時、少し探偵気分になってしまう先生の気持ちが少し分かってきた。とりあえず、今僕が出来ることと言ったらこのような疑問の解明かもしれない。新聞やメディアが取り上げた経緯。そして家庭の事情とやらを明実に。それが、トオルの気が済むことなのであれば・・・・・・


 トオルの両親に話を聞ければ早いのだが、聞いていいものだろうか。そもそも教えてくれるだろうか。


 計画していたことはトオルの死を知らないフリをしてトオルの実家を訪ねてしまおうという、卑怯な手しか思い浮かばなかった。しかしそれは最終手段として、ひとまず先生の話を聞いてからにしようとこの時は思いとどまった。

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