第4話
親友だったトオルのお墓は比較的に近くにあるそうで、小学時代の先生に僕はもう用事が無くなった成人式会場から墓場まで連れて行ってもらった。その間、僕が転校後に何があったかを先生が知ってる範囲を聞いた。
「親友だったっていうのと、この辺じゃあもう有名だったのに知らないのも可愛そうだから・・・後、もう君も大人だろうってことで話すけど、トオルくん家の神社では代々、人知れず守ってきた風習があったみたい。その経緯は何百年も前からの古いものらしく、その詳細は家族の直系、長男の筋にしか継がれないみたいなので直系関係者の人たちに聞かないとだれも知らない事だから、私もそういうことがあるとしか聞いてないの。ただその”継承”は長男が十歳になったときから開始するらしく、そんな家庭事情でということで学校への登校は週に四回、三回、二回と減っていって、別で宿題や課題を出す必要があったからあまり先生勢も無暗に介入しないようにと、事前に担任はそんな説明があったの。小学六年でまた私は担任になったんだけど、元気で明るかったトオルくんはどんどん大人しくなっていって、少ない登校の時でも誰とも遊んだり話したりもしなくなっていったわ」
衝撃の事実を聞いた。僕の引っ越し後にそんなことがあったなんて・・・貰った手紙ではそんな様子は一切見られなかったような気がする。たった二、三回のやりとりだったし、その時はそんなに大変な期間が開始していなかったのか。まぁでも何かあったとしても男同士の会話で愚痴や不満を言い合うようなことはあまりない。僕たちはそんな世代だったし。
「トオルくんの悲報通知が来たのはその六年後ぐらいだから、亡くなったのは中学三年生。当たり前だけどご両親や親族に何があったかなんて聞けないから、当時の同級生の子に聞いてみたら『進路で悩んでいた』『家出しようとしていた』『殆ど不登校だった』っていう話ばかり。一部の子からは『イジメられていた』って意見も聞こえたから、本当に色々と追い詰められていたんだと思う」
中学三年生??・・・いや、ちょっと待て。その言い方だとまるで・・・と思った矢先、先生は続けて
「死因は不明。最終的には事故だったと
先生の眼差しが真剣になっていくのが見えた。まるでちょっとした探偵気取りのような考察の姿勢が教師であることを忘れさせているようだった。
「あ、ごめんね、ちょっと私、熱帯びちゃってた?当初は変死体だってちょっとニュースにもなってね。だから私もトオルくんって名前を聞いてすぐにピンときてさ。そして多分、最後まで友達だった君のこともすぐにちゃんと思い出したのよ」
それはありがたかったが、僕は幼馴染だったといっていい親友の悲報を聞いてショックなのに、不謹慎なほど饒舌な元担任に腹を立てていた。しかし情報を聞ける唯一の人間なのでなんとか黙って我慢していた。
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