第66話 混乱に混乱の連鎖(自己完結)。
そうやって作業を続けて早4時間、ようやく俺が周囲の納得が貰えそうなくらいサビの歌詞を完成させたころ、同時に日野さんも手を止めた。
「ふぅ……ようやく一つってところかな? と言っても一番作りやすいのから作ったし……これ終わらなくない? 難しいのなんか平気でニ週間以上はかかるよ?」
……知ってた。
でもさ、簡単な奴だからっていっても4時間で一つ終わらせるのはヤバくないか?
もしかしてこの人も天才の類か?
……だろうな。そうに違いない。
周りがどんどん普通じゃなくなっていく……
それだと一人だけ普通(本人目線)な俺が浮くじゃないか。
まあ、それよりも今は歌詞作りがヤバいって話だったな。
……どうしようも無いのでは?
作詞家呼べばワンチャンあるかも。
でもそんなお金持ってないしな。
まあ、最初から全部出来るって思ってないし。
半ば押し付けられたんだから、少しくらい出来てなくてもお咎めはないだろう。
「だ、だよね……ま、まあ出来るだけ多く終わらせられたら万々歳だし。そもそもあのおかしな人たちと同レベルの作品が作れるとは思ってないからさ。まあやれるだけやってできなかったって言って謝ればいいし」
「そもそも、なんで期日がこんな早いわけ? まだ文化祭先じゃん。もっとゆっくりやれば良いのに」
そう、昨日の休み時間の時になんか期日を言われたのだ。
しかもそれは期末考査明けの次の日である。
……馬鹿なのかなって思う。
思いっきり何も考えてないのが丸見えだ。
つまり、高坂先輩さ俺に勉強をするなって言ってるんだろうな……ふざけんなよ。
それで俺が普通の点数(本人目線)取れなくなったらどうするんだよ。
まあ、理由は上映してみての最終調整をしたいという話だったから妥当なんだけどね?
時と場合を考えて欲しかった。
「なんでも上映してみて、全体のバランスとかを丁寧に測りたいらしい。よく分かんないんけど、そういうことを言ってた」
「……まあ、妥当ね。そもそも学生でそのレベルを作ろうとしたのが間違いないがするけど。敢えてそこは触れないでおく」
「おーい清瀬、流石にもうそろそろ終わるぞ。時間が時間だし。俺もうそろそろ昼食したいんだけど」
「確かにもう昼過ぎだしなにか食べないとな。このカフェだと頼めるものは……」
清瀬はあくまで作業を続けてくれるようだ。
めちゃくちゃありがたいが、これ以上やっても俺が書ける自信がない。
つまり、任せきりになってしまう。
それにここは自習可能なカフェだけど、さすがに4時間も滞在すれば迷惑になるだろう。
ということで、俺はやめたほうがいいと思うのだが……
どうやら誰もやめる気は無いらしい。
「私はこの……スープパスタにするけど、駿くんはどうする?」
なんで急に清瀬の下の名前で呼んだんだろう……
まあ、仲良くなったらそういうこともあるのか?
そういうことにしておこう。
無駄に考えるより、そう解釈したほうが楽だ。
「えっと……じゃあ俺は……」
……は?
なんでステーキあるの。
ここカフェだよね? だよな?
……レストランじゃなくて?
「何頼むの?」
「じゃあカフェで頼むやつじゃないかもだけどこのグリルで」
メニューがレストランのそれなんよ。
本当にここカフェなの?
雰囲気だけじゃなくて?
すると、羽村が立ち上がって厨房の方に向かっていった。
は? いやだめだろ。
何を考えてるんだろう……
とにかく止めに行かなくては!
「みや
今「
もしかしてここ羽村のお姉さんの店なのか?
……またよく分からなくなってきた。
そりゃあそっか。
自習オッケーって書いてあっても流石にお店側の迷惑とか考えたらずっと滞在しようとは思わないんもんな。
ということは……安心して滞在出来るってことなのか?
……訳わからなくなってきた。
慣れないことに頭を使ったせいで、少しおかしくなっているらしい。
一応気になるから羽村に聞いてみよう。
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