第62話 会長、それ以上ボロを出さないでくださいよ……
ヤバい……どれだけ痛いんだろ。
……まあ、小学生の男の子の代わりに車に轢かれたときよりはマシか。
それはそうと、会長はどうして頬を赤くしているのだろうか。
この展開からネタ展開になりそうな予感が……
まあ、そんなことないか。
でも許せないのは確かだし……
会長に何かいい策があるのかな?
……さっぱり分からない。
その瞬間、拳が飛んできた。
……あれ? 当たってない。一体何が……
俺の前にはどっしりと構えながら拳を腹で受け止めている会長がいた。
きっと会長が助けてくれたのだろう。
本当に妹が絡まなければ、普通に頼れる人なんだよなあ……
「ああ、いい!」
なんかダメなものを見た気がする。
これは何だろう。とりあえず羽村には見せちゃいけないやつだ。
ちょっとどころかかなり悪影響与えてしまうかもしれないし。
もしそれで羽村まで何かに目覚めちゃったら、俺は責任は取れないし。
「羽村、とりあえず……お前は表通りに出ておけ。これは教育上悪いから」
「うーん……まあ、分かりましたけど……お兄さんは大丈夫ですか?」
「あ、ああ。たぶん大丈夫。会長が何とかしてくれると思う……そう、多分……」
「なんかすごく心配になってきたんですけど、お兄さん本当に大丈夫なんですか?」
そう言われると、とたんに不安になってきた。
あのシスコン会長のことだ。
妹に頼まれたからって、最悪こいつらをボコボコにしてしまうかもしれない。
もしくは逆にボコボコにされるかもしれない。
俺はこの裏に念のため残るけど、心構えくらいはしといた方がいいのかもしれない。
「とりあえず……大丈夫だから。羽村は避難しとけ」
「う、うん……分かりましたけど……」
よし。戻るか。
会長大丈夫かな? とりあえず急いで戻ろっと。
「……こいつら本格的にヤバイ奴らだよ! かかわらないほうがいいだろ! だって殴られてあんな表情するとか頭おかしいんじゃね!?」
「……そんな舐めた口聞いてんじゃねーぞ! ボコれって言ったらボコんだよ!」
「……やっぱりもう終わりかい? 終わってしまうのかい? 気持ちよかったのに……それともまたやってくれるのかい?」
……これは羽村を避難させておいて正解だった気がする。
だって多感な中学生にこんな人見せられないもん。
まあ? 人に言わなかったり、人に見せないなら性癖は持って生まれたものってところもあるし仕方がないと思うけど。
でもそれを人に対して見せている時点で余程会長は頭おかしいと見える。
「ああ! 気持ちいい! 気持ちいぞ。」
これ以上はもう見てられない。
というより、俺の精神が耐えられない。
そもそも会長はシスコンってだけでもなかなかなのに(ブーメラン)、それに加えて中々な性癖を持ち合わせている。
こんないろんな属性が混じった人間だと頭がおかしくなりそうだ。(ブーメラン)
「会長……俺、ここから出てってもいいですか?」
「むしろそのほうが大歓迎さ//」
うん、これは出てっていいやつなのだろうか。
いいんだろうけど、なんか出てっちゃいけない気がする。
「は、はあ……でもなんかいやな予感がするので残りますね……」
会長が何かもっとやばいことをやらかすかもしれない。
なんだろう……うーん……頭がおかしくなりそうだ。
「天川! 大丈夫!? 警察呼んできたから!」
「ありがとう! 日野さん! あの警察の方ですか? 早くこっちに! 逃げるかのしれないので回り込んでください!」
ナイスだ、日野さん。
これでようやく会長の醜態が止められる。
それはそうとこの状況で残念そうな顔しないでよ会長。
ややこしくなるし、警察も何言ってんだこいつって感じるよ? きっと。
「マジかよ。あいつら警察呼びやがったぞ!」
「おいっ! お前ら逃げるぞ! 遅れたら見捨てるからな!」
「はあ!? ちょっ! それはないでしょ!」
「おいっ! 囲まれてるぞ!」
「警察です。 署まで同行してもらいますがよろしいですか。」
「「はい……」」
「ちっ。俺は逃げるぞ!」
「逃がすとでも? 俺の可愛い可愛い乃愛の友達に手を出そうとした罪と、会長の性癖を見せてしまいそうになった一件、ちゃんと償ってもらいますよ?」
それから俺は相手からつかんできた手を振りほどくと腕を掴んでその不良を拘束してやった。
もしかしたら羽村は俺を利用してこいつらを懲らしめたかったのかもしれない。
なんて正義感の強い子だろうか。
俺は勝手ながら、羽村に感心するのだった。
それにしてもまた会長の株が下がるなんて思わなかったなあ……はあ。
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