第61話 捜索と厄介な人たち
俺は商店街の北側、日野さんは南側を探しに行くことになった。
何ともないと思うが、もし何かあったら困るし、大変だからそこまで大袈裟ではないと思う。
あくまでも何もないのが一番だし、俺も何もないと思っている。
だからこそリスクに目を向けるべきってことだ。
普通のことだろ?
閑話休題。
「こっち側にはいないか……」
商店街の北側にはいないということを確認した俺は日野さんに連絡をかけた。
でも出なかった。
何かあったのだろうか?
妙に胸騒ぎがする。
まあそんなこと起きるはずはないか。
でもこのままだとサボりとか文句言われるかもだし俺も南側探しに行くか。
俺は小走りで南のほうに向かった。
「……日野さんすらいない………二人とも全くどこに行ったんだよ………」
……本当に二人ともどこに行ったんだ?
もしかして裏のほうとか?
その可能性は十分あり得る。
もしかしてだけど何か面倒なことに巻き込まれた可能性もある。
探さないと。
あの人影は………日野さんかな?
「あ! 日野さん。羽村のやついた?」
「いなかった。本当にどこに行ったの………」
「そっか、こっちもだ。」
うーん……ほかにあいつが行きそうなところはどこだろうか。
乃愛が行きそうな場所なら思いつくんだけどなあ……
商店街って迷子の人を連れていくところとかないだろ?
だからどこに行ったのかもさっぱりだ。
「駅側は見てなくなかった? そこ行こう」
「ごめんだけど多分これ会長……お兄さん呼んだほうがいいって。だってさ、もしかしたら結構やばめかもしれないだろ? 日野さんからしたら迷惑だろうけどもし何かあったとき、男手が多いほうが安全だろ? だから頼む」
「……はあ。分かった。でももし何もなかったら今度クラスでカラオケ行く時奢ってよ。分かった?」
「そのくらいなら構わないよ」
それから少し経って、変態会長が来た。
相変わらず変態である。だって……
「愛しの柚歌!! お兄ちゃんに頼りたいってなんだい!? なんでも叶えてあげるからね?」
ほら、変態じゃないか(ブーメラン)。
どうやって叶えるって言うんだよ!
そんな絶対にかなえられないことを妹に言うとかお兄ちゃん失格じゃないか!?
……やっぱりこの会長には共感できない。
「ゴミ兄貴。今はそれどころじゃないって。やって欲しいこともあるかもだし。とりあえず瑞穂を探しに行くよ!」
「了解。会長もそこで絶望してないでついてきてください。活躍出来たらもしかしたら妹さんに褒めてもらえるかもですよ?」
「ふっ。そういうことなら仕方ないね。俺に任せなさい」
本当に単純な人だなあ。
俺はそんなことを思いながら、駅のほうに羽村を探しに行った。
でもそう簡単には見つからない。
一体どこに行ったんだろう……
「柚歌、天川くん、こっちに来てくれ」
「何かあったんですか? って羽村が男たちに絡まれてる!?」
「え!? どうしてお兄さんがここに……」
「あのさあ、俺の連れに何の用?」
こんな事絶対に許されない。
無理矢理嫌がる女子を裏道に連れ込んでナンパなんて悪逆非道以外の何物でもない。
きっちりと罪を償ってもらわないと。
でも俺は暴力をするわけにもいかない。
暴力を振るってしまったら俺もこいつらと同じになる。
そんなのは絶対に駄目だ。
ーーーー
「あ、ちょ、待ったほうが……はぁ。仕方ない……ゴミ兄貴警察、呼びにいくよ」
「それはあまり良くない気がするな。俺はここで何かあった時のために見張っておくよ」
「了解。私は近場の交番に行くことにするよ」
ーーーー
「はぁ?あんさ〜〜俺ら今この子に話しかけてんだけど?お前みたいなやつが邪魔していいとでも思ってんの?」
「逆に何で俺の連れにちょっかいかけてるんですか? クソ迷惑なのでやめてください」
「あ? なに口答えしてくれちゃってんの? クソ陰キャのクセによお!!」
そういえばコイツら俺の大切な大切な乃愛の友達に失礼なことをしまくってたよな……
あ、キレたわ。
コイツら許さない。
心ゆくまで説教してやろう。
「別に俺、陰でも陽でもないですから。勘違いしないでください。それよりも俺の大切な大切な生命よりも大事で最カワ天使の乃愛の友達に何してくれてるんですか? 覚悟はできてるんですよね? ね?」
「おい、コイツなんかやばいぞ! こんな奴に絡まれたらあとから面倒だって……逃げたほうがいいんじゃないか?」
「いや、コイツどう考えたって雑魚じゃんかw どうして逃げんだよ! ボコるのが先だろ」
あ……俺、もしかして失言した?
もしかして俺……かなりやばい?
……あのときもそうだったな。
確かストーカー先輩の迷惑告白の仲裁に入ったとき。
その時も考えなしに突っ込んでこんな目にあったけ?
……まあボコボコにされるだけで羽村を守れるならいっか。
……今度からは気をつけよう……
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