第58話 いつも通りの学校、なのにすごく違和感。
昨日の稲城との勝負から一夜明けて、俺はいつも通りの学校にいつも通り来ていた。
しかし周りの視線が変である。
なんか無性に同情されているような気がするのは気のせいだろうか。
……きっと気のせいだ。だよな?
「よう! おはよう! 朝から察しが悪い天川か? ww」
「堂川、意味不明なことを言うなよ。頭悪くなったか? いや、元々悪かったな。すまん……」
朝からわけのわからないことを言ってくるのはやめて欲しい。
だって頭がおかしくなるじゃないか。
俺はあくまでも普通(本人目線)に過ごしたいんだよ。
その邪魔はしないでほしい。
「おい! ナチュラルに煽ってんじゃねーぞ! 聞いてんのか!」
「やあ、天川くん。今日も堂川くんとお戯れかい? 僕は君たちの戯れには入れないよ。だってさあ、馬鹿馬鹿しいからね。」
こいつ絶対にまた煽るな。
見てられないから注意くらいはしておくか。
きっと無駄だろうけど。
ここで完全に見捨てるのは流石に心が痛むからな。
「堂川、煽るなよ。絶対に煽るなよ。これはお前のために……」
「いや、お前もいつも一緒にふざけてるだろ!? そうかウガペディア~~今の特大ブーメランってやつだな! 少し滑ってたぞ!ww」
やっぱりか……
「ったく堂川……余計なことを……」
「堂川くん? それはどういう意味だい? 教えてもらえるかな?」
「おいっ! 天川ぁ~~助けてくれ~~頼むからぁ~~」
「だから言ったんだ。言わんこっちゃない。俺は知らないからな。自分で何とかしろよ。」
全く、この悪ふざけには関わってはいられない。
そう思った俺は二人からそっと離れて自分の席についた。
「おはよう、才人くん。えっと……」
大丈夫。俺もなんか知らないけど気まずいから。
多分中野さんだけじゃないよ。
本当になんでクラスのみんなは奇異の目で見てくるのだろうか。
俺はただ普通(本人目線)に過ごしているだけなのに。
「中野さん、どうかした?」
「今日も文化祭の集まりあるから来てねって連絡。昨日伝えるのを忘れてたからなんか気まずくって。」
あ~~そういうことか。
確かに伝え忘れてたら気まずいもんな。
そっか。確かにそれは納得だな。
仕方がない。
でもそれなら俺のこの気まずさとは関係なかったのか。
……気になるから誰か教えてくれよ……
「中野さんありがとな。別にそんなこと気にしてないから。全然気まずく思わなくていいよ」
「……はあ」
「……天川くん、ちょっといい?」
「えっと……何? 俺何かした?」
本当になんで話しかけられた?
全然分からない。
俺なにか悪いこと今したか? いや、してないはずだ。
……もしかして俺が知らないだけで何かやらかしてた?
その瞬間クラスの生暖かい目が増したような気がした。
すごい馬鹿にされている気分だ。
そして中野さんには同情の目が向けられている。
これはどういうことだ?
マジで何なんだよ。教えてくれたっていいじゃんか。
……ちゃっかり堂川とペディアも混ざってやがる。
後で覚えておけよ。
そのまま午前の授業も終わり、昼休みになっても俺たちは変な目線で見られたままだ。
本当になんだって言うんだ。
その瞬間、めちゃくちゃ強い勢いでドアが開かれた。
と思ったら、勢いでそのまま閉まった。
そしてまた勢いよくドアが開かれた。
誰かは知らないが何がしたいんだろうか
「天川才人くんはいるか〜〜?」
既視感。
この呼び出し方は稲城か?
「って先輩じゃないですか! どうして来てるんですか? あ、もしかして堂川ですか?」
「いや? 違うよ? 部活の出し物について相談したくて来ただけ〜〜駄目だった?」
「先輩、あの呼び方流行ってるんですか。稲城も前やってましたよ?」
「そんなのどうでもいいじゃん! ほらサクッと終わらせよう!」
「俺の意志は?」
無視かよ。
まあ行くけどさ〜〜
俺文化祭実行委員ぞ?
なんで俺がやらないといけないんだよ。
「それでは失礼しました〜〜」
失礼しましたじゃないよ。
どうしてくれるのさこの雰囲気。
何もかもめちゃくちゃだよ。
「天川、ドンマイ」
堂川、お前ムカつくな。
絶対に面白がってやってるよね?
やめて欲しいんだけど。
そうして俺は先輩に強引に引っ張られながら部室に向かうのだった。
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