【5万PV感謝！】無自覚善人さんは、今日も今日とて、モブにはなれないようです！

第48話 再々遭遇。

「あの〜すいません。彼女迷惑してると思うんですが、そこまで詰め寄るのは宜しくないかと。」

「はあ？何？なんで急に入ってきて偉そうな口聞いてんの？ぷっwてか一年じゃんw。一年が出しゃばってくんじゃねーよ！」

　割とマジか。

　ここ結構偏差値高い学校だぞ？

　具体的にはAラン高校とBラン高校の中間くらいだ。

　なのにこんな所謂チンピラみたいなやつがいるなんて信じられなかった。

　話せばわかる程度の考えでいた。

　でもこれは無理そうだ。

　こいつたまたま受かっただけか、頭良いだけのバカってやつだろうな。

「ぷっ、ははwビビって声も出ないってかあ？そんな度胸もねーのに突っかかってくんなっつの。」

　うわぁ。割と引くんだけど。

　マンガの世界だけだと思ってた。

　ここまでまんまだと笑いそうになりそうだ。

「…先輩、流石に付き纏うのはやめましょう。それストーカーですよ？」

「はっ？何口答え？俺そういうの嫌い。」

　…俺も嫌になってきた。

　何でこんなイレギュラーな人を相手しないといけないんだよ。

　でもここで引き下がる訳にはいかない。

　俺は反撃に出ることにした。

　仮に振られてどうしても諦められないなら、自分を高めてその子を振り向かせられるくらい努力すべきだ。

　もしそれでも振り向かせられないのだったら単純に自分の努力が足りなかっただけだということだ。

　また努力すれば良い。

　これは乃愛との関わり方で学んだ。

　この先輩は一つも努力することの重要性がわかっていない。

　せめて、俺の考えをぶつけよう。

　まあそれで分かってくれるとは思わないけど。

「先輩、強引なやり方だとモテませんよ？振られて諦められないからって付き纏うのは引かれるに決まってます。付き纏うのではなく、自分磨きにその時間を使った方が勝算はあったはずです。」

「一年の説教とか聞く意味ね〜w。もうダルいからお前は帰れw」

「あのですね、少しは人の話を聞いたらどうですか？」

「聞く意味のない話なんて聞いても無駄じゃんw何？文句ある？あるわけ無いかw」

　この人には何を言っても無駄なのかもしれない。

　罪の意識が芽生えたら直るだろうか？

　脅すような言い方は堂川以外にはあまりしたくないが仕方ないか。

「先輩？あなたのやっていることは犯罪です。訴えたら先輩は退学どころか捕まりますよ。」

「そんなの証拠がないだろ？ほら論破w」

　こいつ…誰よりもムカつくな。

　マジで今録音しといて正解だったわ。

　まだボロを出すかもしれないしもう少し録音しておくか。

「先輩。あのですね。証拠が無くても最悪退学になりますよ？」

「いや、ならないっしょ。退学とかで脅すとか笑うわ〜w」

　…なんなんだコイツ。

　先輩一人だけ違う世界から来てないか？

　世紀末的な世界から来てるよなこれ。

　そんな様相はしてないけどもうそれにしか見えない。

「あのですね先輩…これは多分言っても無駄ですね。取り合えず今回の一件は全て会長に報告しますのでそういうことで。あの〜すいません彼の名前とか分かりますか？」

「おまっ、やめろ！」

　うわっ、こいつ手を出して来たんだけど。

　え？マジで何なの？こいつどこまで頭悪いの？

　流石に手は出さないって思ってた。

　だってここ進学校だよ？一応だけど。

　ここまで露骨なやつはいないって勝手に決めつけてた。

　俺も考えが浅いな。

「先輩、暴行罪です。分かってますか？」

　取り合えず録音しておこう。

　よし完了。

　それと誰でもいいから電話してっと。

　これでこのキチガイな先輩を追い詰める。

「何？文句あるわけ？誰も見てないなら殴っても無罪だろ？」

　この人は救いようがない。

　最初は話せば分かってくれると思っていたが、どうやら無理みたいだ。

「先輩、今までの会話録音してたんです。言い逃れはできませんよ。」

「ちょっ！おまっ今すぐ止めろ！そして消せ！」

「あ〜すいません先輩。どうやら電話になっていたみたいです。」

「はっ？お前何言ってんの？ふざけんなよ！」

　あ〜激昂させてしまったか。

　でもこれしかもう止める方法なかったし…

　あ〜これ、ボコられるってやつか。

　この学校ではあり得ないと思ったんだけど…

「はあっ、はぁ、先生！こっちです！」

　え？稲城！？何で？

　ともかく助かった。感謝しないと。

　奇跡というのは起きるみたいだ。

「っチッ。クソっ」

「先輩逃げないでください。」

「椙山…お前今度問題起こしたら退学だって言ってたよな？どうしてこんなことをやったんだ…もうお前はこれで退学だろうな。残念だよ。」

　こんなに担任が頼もしく見えたのは初めてだった。

　あ〜俺カッコ悪いよ。俺ももっと威圧感とか出せたら舐められないだろうに。

　あのチンピラ先輩の名字って椙山って言うのか。

　ま、今となってはどうでもいいけど。

「才人君…ごめん、はぁはぁ、すぐに、行けなかった。」

「大丈夫、随分早かったよ。まさか来るとは思わなかったけど。不幸中の幸いってやつだね。」

「天川、稲城、君たち二人には放課後に話がある。」

「話って何ですか？」

「今回の一件と電話のことに関してだ。」

　あ、俺そういえば電話使って稲城を呼んだんだよな…

　え？これって俺叱られる…

　ごめん稲城巻き込んでしまったみたいだ。

「あはは…分かりました…」

　あ…露骨にテンション下がってる。

　本当に申し訳ない…

「あの、ありがとうございました！」

　さっきキチガイ先輩に迷惑絡みされていた先輩だ。

　俺にわざわざ感謝する必要なんてないのに。

　だって俺は普通のことをしただけだし。

「いいですよ先輩。それに今回に関しては先生をそのまま連れて来るべきでした。すみません。」

「って、え？」

　何でこの人は人の顔を見て驚いたんだよ。

　いくら何でもそれは失礼じゃないか？