第49話 先輩登場!
「あの〜すみません、以前にお会いしましたよね?」
はて?いつ会っただろうか?
全然記憶にない。
失礼かもしれないけど、ここで変に知ってる風を装おって、それがバレたとしたら失礼極まりないはずだ。
素直に自分に覚えがないことを伝えるべきだ。
「えっと…どこかでお会いしましたっけ?すいません覚えがないのですが…」
「以前、バス内で傘を貸してもらった者です。本当に覚えていませんか?」
あ〜そんなことあったような…
前に風邪引いたときだっけ?
そういえば傘バスに忘れたとか言って母さんに怒られたんだったかな…
徐々に思い出してきた。
あのときの女性か。
犬確か…ライちゃん。
元気かな〜…
最近忙しすぎて日課の公園ランニングできてなかったし、そりゃあ会うのも久しぶりになるか。
あのワンちゃん撫で撫でしたいな〜
チャイムが鳴った。
高校風に言うなら予鈴ってやつだ。
ってことは…うわっ、もう昼休み終わるじゃん。
クロワッサンまだ食べれてないのに…
ひとまずクラスに戻らないと。
次の時間移動教室じゃんか、ヤバっ。
「すみません、先輩。もうすぐ授業なので失礼します。」
「あ、私も!すみませんね〜」
俺は急いで教室に戻った。
なぜか稲城までついてきたが、今日C組って5限別に移動教室でも体育でもなかったよな?
それなら走らなくても…
…稲城なりの考えがあるのだろう。
深く考えないでおくか。
「お前何wそれっw何で首筋に痣w」
堂川…そこは笑うところじゃないだろ。
むしろ心配するところなはずだ。
コイツがこういう性格なのは知ってるけどさ…
「いろいろあったんだよ。そのせいで放課後も呼び出し受けてるしな。」
「もしかして退学か?…そうか…天川、お前は本当にいい奴だった。残念だよ…」
「おい!俺の退学前提で話を進めるなよ。流石にそれは酷いだろ。」
「嫌だってな…そんな殴られたような痣とか引っ掻かれたような傷があったらな…やっぱり天川退学なんだろ?そうだよな…」
「変なこと言うなよ。俺が人に手を出せると思うか?」
「乃愛のためなら〜とか言って平気で人を殴りそうだな。というか間違いなくその時はお前は殴る。」
…確かにそれは否定できない。
だけどここは学校だぞ?
乃愛とはまるで関係ないじゃないか。
「…ほらさっさと化学室行くぞ。実験遅れたら班員に迷惑かけるしほら。」
「話逸らしたってことは図星か〜?図星なんだな?やっぱり図星なんだろ!」
すると教室の外から清瀬が入ってきた。
忘れ物だろうか?
…いや俺達を呼びに来たみたいだ。
多分先生に頼まれたのだろうな。
「暁大、ふざけるのもいいが次は移動教室だ。早く準備したほうがいいんじゃないか?」
ナイス!清瀬。
普通に助かった。
いつもは話しかけてくるとうざいが、こういうときは頼りになるから憎めない。
まあそもそもの話、清瀬自身の性格が良すぎるっていうのとイケメンで完璧なのもあるだろうけど。
全く、シスコンじゃない。というたった一部分で会長に勝ってるだけなのにこんなにも好印象か悪印象なのかがキッパリと分かれるなんて恐ろしいものだ。
会長の場合は程度がストーカーのそれだから余計にマイナスに見えてしまうのかもしれないけど。
「…そうだな。お前をいじるのは化学室までお預けだ!」
「俺とお前じゃ班が違うけどな。」
取り合えず今は授業に間に合うことが先決だな。
そのまま俺と堂川、清瀬は急いで化学室まで向かった。
俺達を呼びに教室に来た清瀬を除く俺と堂川の二人は先生にこの授業のあと、こっ酷く叱られた。
俺別に悪くないんだけど…
______________
放課後になった。
案の定俺と稲城は呼び出された。
予想通り、今回の一件についての聞き込みと、校内で電話を使用したことに対する注意だった。
しかし、電話の件に関しては事態が事態ということもあり、反省文などは特に書かなくても良しとなった。
正直そういう配慮をしてくれた学校側には感謝だ。
しかし今回の件を明るみには出したくないらしく、なんか口止め?ただの注意?みたいな感じだけど、そういうことも言われた。
本当に学校ってブラックだなって思った。
労働環境や労働条件に加えて内情すらも真っ黒だ。
流石に内情までブラックなのは一部だとは思うけど。
本当になんかいろいろ疲れた。
「いや〜大変だったね〜流石にこんな遅くなるとは思わなかったよ〜」
「ホントにな。マジで疲れた…」
「あ、お疲れのところ悪いけど来客みたいだよ。」
「何?誰か来たのか?」
「いやそう言ってるじゃん!」
「先程は助けて頂いてありがとうございました。」
「いえいえ、俺も最善に行動できていたら良かったのですが…」
「ふふっ。その話は先程も聞きましたよ。全然気にしてませんから。あの…天川さん、でしたっけ?」
「えっと…そうですが、どうしてその、名前を?」
「助けていただいた際に先生が言ってましたので。」
あ〜そういうことね…
……どうして俺はこんなイレギュラーばっかりに当たるんだろうか?
はあ。俺の平穏な学校生活が崩れていく音がする…
「あ、そうなんですか。ところで先輩のお名前をお聞きしてもよろしいですか?先輩呼びだとある先輩と被ってしまうので混同しちゃいそうで…」
ある先輩とは現堂川の彼女である部長の高坂先輩のことである。
部長感が一切ないので、親しみを込めて誰も部長とは言わない。大抵の下級生は先輩呼びだ。
そして俺も例外ではない。
…金輪際この先輩とは関わらないと思うけど、一応名字を言わないと失礼かなと思ったから一応名前を聞いたが駄目だったかな?
「名前ですか?」
すごいテンポ遅れて反応してきたな。
まあいいけどさ…
「嫌なら別に構いませんよ。」
「…
なんだろう。調子狂うパート2だな。
稲城並に調子が狂わされる。
本人はすごく真面目なんだろうけどな…
「あの…ライム交換しません?」
…はっ?何で!?え!?
大島先輩の突然の爆弾投下に俺は硬直した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます