第47話 かなりヤバめの出来事。
えっと、座れそうなところは…
あったあった。
それにしてもカレーパンが余ってるのは予想外だった。
昼休憩始まってすぐには大体は売り切れてるのに。
やっぱりあれか。
今日は学食の限定メニューがあるからか。
…ていうかよくそれ頼む気になるよな。
だってシークレットだよ?
中身分からないんだよ?わざわざ当たるか外れるかも分からない料理を頼む気にはなれない。
ってことで俺は購買にしといて正解だったな。
絶対に今頃は長蛇の列になっていることだろう。
ムカつくけど今は堂川に感謝だな。
本当にムカつくけど。
カレーパンから先に食べよう。
冷めたら味も落ちちゃうだろうしな。
やっぱり美味しい。
程よい辛味と具材のごろっと感、そして出汁が効いていて旨味が存分に入っている。
パンのサクサク具合といい絶品である。
前に聞いたペディアの自慢でもすごい美味しそうだったから気になってはいたけどマジでうまいなこれ。
来年乃愛がウチの高校に合格して入学した暁には是が非でも手に入れて乃愛に渡してあげなければ!
そう決意した数分後、稲城から電話が来た。
昨日の一件で鬱陶しくなっていた俺は、校内での電話禁止のブラック校則をついに破り、電話に出ることにした。
『えっともしもし、急にどうしたんだよ。学校では電話は禁止じゃなかったか?』
『なんで昨日の夜電話に出てくれなかったの?』
なんでガチトーン…すごい怖いんだけど。
母さんの目が笑ってない笑いくらい怖いんだけど。
…流石にそれは言い過ぎかな。
『えっと、あのあと、すぐに風呂入ってその後に夕飯作って、そして乃愛のご機嫌取りしてたらもう遅くなっててさ。それですぐに連絡できなかった。というかスマホをその後に使ってない。』
『ライムで返信くらいはして欲しかったな〜』
『それはごめん、完全に忘れてたわ。』
女子に対してもだけど誰に対しても気遣い以外では嘘をついてはいけない。
母さんに教わったことだ。
確か、嘘をついてもすぐにバレて正直に話したときよりも酷くなるからそれなら嘘はつくならしい。
人間は本質的に嘘をつく生き物ではあるが、やはり相手を騙すという行為にはそれなりの代償がかかる。
それならリスクを負うよりも、最初に罰を受けるべきだという話だ。
母さんが言っているのでこれは世間一般的には普通のことだろうし、みんなもやってることだろう。
俺もたまにうっかりで嘘ついてしまうときはあるが、その程度だ。極力しないようにはしてる。
だから俺はどんなヤバいことが想像できても、意識できる限りでは嘘は極力つかないって決めている。
閑話休題。
『ふ〜ん。忘れてたんだ…酷っ。』
『ごめんって…で何のよう?早く言って欲しいんだけど。』
『えっとね、今日か明日帰りに近くの…』
誰かが歩いてきた。
話し声が聞こえるってことは二人以上はいるようだ。
俺が電話してるのをバレる訳にはいかないし、稲城には悪いけど切るしかない。
『ごめん、急用できたから切る。』
『えっ、ちょ』
すぐさま電話を切った俺は歩いてきた生徒たちに見つからないよう校舎裏から少しズレた、階段の段に座った。
【ごめん、ちょい面倒事あって】
すぐに稲城にライムを送る。
あまり勘違いされたら面倒だし当然の判断だろう。
【急に切るってどしたの?】
【ウチ電話禁止だろ?校舎裏で見つかりかけた】
【おけ。話の続きしていい?】
【おけ】
【今日か明日の帰り開いてる?】
【むしろそれまでしか空いてない】
【急にどした?】
【一緒に遊ぼって思っただけ】
【わかった明日な】
【いいの?】
【断る理由がない】
【ありがと】
【どうも】
ふう。
取り合えず大惨事にはならなくて済んだらしい。
まあ、明日一緒に遊ぶことにはなったが必要経費みたいなもんだろうし別にいいけどさ。
で、問題は俺の電話がバレてないかだけど…
大丈夫そうだ。
というか男女二人ってもしかして告白か?
今どき校舎裏に呼び出して告白?
何それ…呼び出したやつドラマとかマンガとかに毒されてないか?
「なあ〜さ、いい加減俺と〜付き合ってくれね?」
典型的なモブだな。
何に憧れたんだろう。
そういうレベルでマンガとかのモブをしている。
ということは女子の方はあれか?
付き纏われて迷惑してるからもう付き纏わないでとか言うやつか?
なんかそうとしか思えなくなってきた。
「いい加減やめて下さい!こっちは大分前に断りましたよね?どうして毎日、毎日私の周りに付いてくるんですか。すごく迷惑です!付き纏わないで下さい!」
あ〜だと思った。
これって相当まずい現場だよな…
あ〜クソっ
俺は頭をかきむしるという至極汚らしい行為をしたあと、決死の思いでその場に出ることに決めた。
一応何かあったときのために録音しておこっと。
大丈夫だよな?盗聴とか言われないよな?
まあ、言われたときはその時か。
俺はスマホの録画機能をオンにして告白の現場いや半ば脅迫の現場になっている校舎裏に駆け込んだ。
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