第46話 カップル成立への嫉妬と謎の賞賛
俺は今、すごく満足な顔をしているに違いない。
なぜなら乃愛との仲直りが完了して、テンションがハイになっているからだ。
「うわっ今日のお前なんかニヤニヤしてそうな顔しててキモイなwっていうか昨日とのテンションの上がり幅よ!すっげー面白いんだけどww」
「堂川、お前だけには言われたくない。それに俺はニヤニヤはしてないぞ?」
「口角がぴくぴくしてるじゃん!めちゃくちゃ我慢してて笑うんですけど。」
そりゃあ爆発しそうな喜びを必死に耐えてるからな。
ぴくぴくしていても仕方ない。
でもこれで俺は普通の状態を装えるように必死に我慢してるんだぞ?
堂川なあ、本当に…あ、こいつの自慢でも聞けばこの喜びも少しは収まるか。
もう別れたかもしれないけど一応聞いてみるか。
「お前なあ。…そんな話はいいからさ、高坂先輩とどうなの?」
「え?普通に付き合ってるけど?」
あー高坂先輩、別れるタイミングミスったのかな…
それとも本当に堂川のことを…それならマジで爆発してほしいものだ。
どうして堂川には彼女ができたのに俺にはできないんだろうか。
そりゃあ俺って平々凡々だし(本人目線)?だから誰一人からもモテたことないし(本人目線)?当然といえば当然か…
それに比べて堂川は変だけど個性はあるからな…
俺は個性ないし(本人目線)、持てる要素もギャップの欠片もないもんな。
いい感じにテンションが下がってきた。
まあこれで良かったのか?
「あ、そうなんだ。よかったな。それ長く付き合えるかもよ。」
「は?どういうことだよ。」
そっか、堂川お前まだ知らなかったのか。
「高坂先輩って告白されたら誰にでも付き合うって有名なんだよ。んで、その後気にらなかったら一週間別れるっていうのも有名だな。どうやら一週間以上付き合ってるのはお前が初みたいだぞ。よかったじゃないか。末永く爆発してくれ。」
最後に一応俺の嫉妬を込めておいた。
そうじゃないとこいつ絶対調子乗るし。
まあ今更かもしれないと思うんだけどさ。
「え?マジで!?めちゃくちゃ嬉しいんだけど!これ自慢して良いよな?な?」
「うざいって言われるからやめとけ。先輩からの印象も悪くなるだろうしな。」
「お前さっき爆発しろって言った割には俺のこと気遣ってくれるよな。どうしてだ?」
「ほらだってさ、お前みたいなむかつく奴だとしてもさ、仮にも友達なわけじゃん?友達が傷つくとこなんて見てらんねーよ。それにお前が振られて俺一人が満足してもその後俺がお前を慰めなきゃならないだろ?そんなことしてる暇があったら乃愛に構いたいしな。」
そう、俺は友達が辛い目に合うと知っていて見捨てるようなイレギュラーな友達ではない。
極めてレギュラーな友達なのだ。
まあ?乃愛に構いたいっていうのが一番の本音ではあるけどな。
「…お前って口調雑だけど優しいよな。」
は?え?堂川って人を褒めるようなキャラだったか?
ダメだ。人を面白がっておふざけで馬鹿にするキャラとしか思えない。
「いやそんなことないだろ。優しい奴は友達のあることないこと行ったりしようとしないと思うぞ?それに友達を脅したりしないはずだが?」
「それはただその場のノリでやってるだけだろ。お前が気づいてないだけで十分優しいわお前。」
急にこいつどうしたんだ?堂川らしくもない。
というか気持ち悪いレベルだ。
「え?お前マジでどうしたよ。人を褒めるとかしないだろお前。」
「いや俺だって彼女くらいには褒めるぞ!」
「俺はお前の彼女じゃないんだけど?てか今の発言普通にキモイから。お前が高坂先輩と付き合ってるって知ってる俺だったからいいけどさ、それは他から見たら俺が好きみたいないい方してるからな?」
「うげっ。それはヤダな…」
その言い方はないだろ。
ガチトーンは普通に傷つくわ。
確かに俺も嫌だけどさ…
「まあいいや。俺今からさ学食行くけどお前も来るか?」
「残念だったな。俺は高坂先輩と一緒に食べるのだよ。あ~彼女がいるって素晴らしいなあ~」
前言撤回。こいつは今すぐにでも爆発すべきだ。
俺の全細胞が俺にそう言っている。
本当にこいつ調子乗りすぎだろ!
「ハイハイ、彼女自慢は程々にしろよ…」
えっと、どうしようか。
一緒に食べる奴がいないなあ~
学食じゃなくて購買でパンでも買って校舎裏に行ってそこで一人飯にでもするか。
そうとなったらもう行こう。
いつも余ってる野菜パンだけになったら嫌だし。
そのまま俺は購買でカレーパンとクロワッサンを買い、校舎裏に向かった。
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