第44話 クラスの出し物決め・後編
いや、考えれる。
できないって思ったらできなくなるらしいから、絶対に考えれるって思いこもう。
「出し物はどうするんだー!!!」
「みー君もうやめてってば!恥ずかしいじゃん…」
みー君って新島か。
確かに急に暑苦しい反応されると恥ずかしいかもな。
でも微笑ましい限りだ。
俺もあんな幼馴染がほしかった。
持つ者は持たざる者の気持ちは分からないんだよ。
彼は幼馴染がいることの素晴らしさに気づいているのだろうか?
でも逆に妹がいないと思うとかわいそうだな…
乃愛…お兄ちゃんと仲良くしようよ…
「才人君?やっぱり大丈夫?」
「乃愛成分が足りない…」
「みゆに慰めてもらえば~?」
そんなんで済む問題じゃないと思うけど。
だって俺、乃愛が足りないだけだし。
こんな抜けてるようじゃお兄ちゃんとして胸は張れないよな。
しっかりしなきゃ俺。
「で、どういうのがいいと思う?文化祭の出し物と言っても本腰を入れるのって大体は二年生からだろ?一年のうちはそんな大層な出し物をするのは初めてってこともあるし厳しいだろ。」
「おっいきなり元気になったじゃんか。え?どうした?やっぱり中野さんに慰められるのは恥ずかしいかw?まあ中野さんに限ってお前を慰めるとか絶対にないと思うけどなw」
「うっさい。俺は今機嫌悪いって言ったよな?」
「……はい…」
で、中野さんはなぜガッカリしたような顔をしてるんだろうか。
まあいっか。
「えっと確か文化祭の出し物と言ってもいろいろあるよね。僕は僕の素晴らしさが表現できれば満足かな。」
「却下で。」
「僕の…」
「却下で。」
ペディアの素晴らしさとかどうでもいいし。
それって単なるペディアのペディアによる自慢大会じゃんか。
そういうのはよくない。
「それじゃあさ、お化け屋敷とかどうよ?集客間違いなしだぜ?」
「堂川、多分ほかのクラスも同じ考え方だぞ。」
「そういえばどこかの二、三年のクラスでお化け屋敷と仮装カフェ、迷路、縁日、レストラン、あとはフォトスポットでしょ、あとジェットコースター、ハンドメイドと迷路をそれぞれやるらしいって会長から聞いたかも。あと、二つのクラスでいくつかの屋台もやるらしいよ。」
「それだとほとんど普通の案は全滅だな。どうするよこれ。マジで選択肢なくないか?」
「クイズ大会とかどうだい?」
「却下で。」
「どう…」
「却下で。」
でも本当に選択肢全滅だな。最悪かぶることも想定しないといけなさそうだ。
「演劇とかはどう?結構良さげじゃない?」
「美亜ちゃん…うちの学校って演劇部あるんだよ?」
「あっ…」
部活が多いっていうのも考えものだな。
「じゃあさ~バンドとかどう?天川普通に歌うまかったじゃん。」
いやうまくないし。あと軽音部あるだろ。
「柚歌ちゃん…軽音部もあるよ?」
中野さんがツッコミ役に回っている。
なんからしくない。
いつもの俺の立ち位置だけどそんな暇ないから助かる。
「みんなすまない、他の人たちと話してたんだ。いきなりだが映像制作とかはどうかな?なかなか大変そうだけどそれなりにやりがいはあるんじゃないか。」
「それ、生徒会の出し物だよ…」
本当に詰みじゃんか。
ほかに何があるんだよ。
「うがっちいるなら、脱出ゲームとかよくね?昨日実況みててさ~」
「それならクイズ大会で!」
「却下で。」
「…いや僕の頭脳が…」
「却下で。」
ペディアにあまり調子に乗らせるのはよくない。
ここはキツくいっておこう。
「でもさあ脱出ゲームだと地味じゃね?」
「じゃあほかに何やるんだよ。言ってみろよ。」
確かにそれは正論だな。
でもやっぱり上級生から出し物を決めるのは俺たち最下級生にとっては不利だよな…
そもそも部活が多くて、かなり絞られるっていうのもある。
正直そのぐらいしかないのかもって思えてきた。
「はいっ!俺ミスコン、ミスターコンがいいと思う!」
「堂川それはお前がやりたいだけだろ。確かに盛り上がるだろうけどさ。嫌がる人もいるだろうし却下で。」
「俺の扱いひどくね?」
それを言うなら、ペディアの方がより雑に扱われてると思う。
でもそれを言ったなら次はペディアの方が文句を言いそうなので言わないけど。
「じゃあダンスとか?」
「それ練習きつくね?俺嫌だな〜放課後とか遊びたいし?そんなことに時間かけたくない的な?」
「それ言うなら他のだって練習やら用意とかキツイぞ。」
「それならもういっそ出さなくて良くね?俺やりたいやつやれないってなら文化祭だけ楽しめればいいし。」
それはあまりにも身勝手だと思うぞ。
俺もその意見には賛成したいが、絶対に駄目だってことは分かる。
しかしみんなが真剣に考えてるのだから場を茶化すような意見はやめて欲しい限りだ。
とはいえ、俺は文化祭実行委員なのでクラスの出し物には準備くらいしか関わらないだろうし、準備したとしてもほんのちょっと程度だろう。
正直いってどうでもいいのだ。
まあ準備が楽なのには越したことはないけど。
「もう脱出ゲームでいいんじゃないか?ペディアがいるからそこまで時間は掛からないだろ?それにそれ以外は比較的準備も楽だろうしな。」
「賛成〜!みんなはどうなの?私は天川のに賛成だけど。」
「俺のじゃなくて元は国立のだろ?で他のみんなはどうなんだよ。俺はもうこれしかないって思ってるけど。他に意見はない?」
正直俺はクラスの出し物には参加しないのでダンスにしてもらうのが一番楽なのだが、そういうわけにはいかないしな。
「じゃあ私も。それでいいと思う。」
「ミスコン無理ならもう何でもいいや。勝手にやっとけ。」
そういえばミスコンとミスターコンをどこかの部活でやるっていってたな…
まあいっか。
結局クラスの出し物は脱出ゲームに決まった。
特に捻りもないが、他のクラスと被らないとなるとこれくらいしかまともに出来そうなものでなかったというのが本音だ。
それに俺には関係ないし。
だって俺、文化祭実行委員だもん。
やることは生徒会と変わらないけど…
ってあれ?それってもしかして動画撮らないといけないやつ?
あ〜面倒くさ。
今のテンションじゃやる気なんて起きないし、また明日考えればいっか。
そうして俺は乃愛と仲直り?をすべく家に一目散に帰るのだった。
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