第25話 友人を扱こう。
勉強会二日目。
堂川のやつは俺を欺いて先に帰りやがったようだ。
してやられた。
…この方が課題に集中できるからいっか。
でも本当に多いな課題。
多すぎて死にそう
…中学の頃が少なかっただけなのだろうか。
ここ私立だけど、結構レベル高い進学校なはずなんだけどな…
てか、どうしてこの学校に堂川が入れたんだよ。
謎で仕方が無い。
今度堂川に聞いてみるか。
「ねぇねぇ!これどうやって解くの?全然わかんない!」
「へぇ…稲城が分からないなんて珍しいな。この入学次席め。」
そう。以前の会話でしたことがあった。
こんな見た目で勉強ができているのか心配になった俺は直接稲城さんに入試の成績を聞いたのだ。
そうしたら…まさかの次席。
本当に見た目って当てにならないものである。
あれ?同じことを前にも思ったことあったような…
まあいいか。
うちの学校進度早いし、周りの学校だとおそらく期末テストでやる範囲が中間テストでもう出てしまうからな。
そういうこともあるだろう。
「で?何がわからないの?あ〜最大最小か…これ最大値と最小値で求め方違って…」
「ありがとう!よく分かったよ〜頼りになるね?」
「…うっせ。勉強に集中しろ。」
ヤバい。今普通にドキッてしてしまった。
ダメだ。
俺は勉強会で教える立場である。
普通に考えて、いくら健全な高校生だろうがここで邪な感情を少しでも抱くのはアウトであろう(本人目線)。
しっかりしないと。
「照れてる?」
「照れてねーよ。ほらそこ間違えてるぞ。」
「ありがと。助かっちゃった♪」
こいつ動作動作一つ一つがあざといな。
本当にこれで高校デビューかよ。
高校デビューだとしてももう完全に陽の色に染まっている。
俺みたいな一般ピーポーとは大違いである。
俺も高校デビューすればよかったかな…
いや、それは普通でないからダメかな。
あくまで普通に過ごすんだ。
こんな美人な奴らが俺に少しでも好意を抱いているとは思ってはいけない。
俺は普通のことしかしてないから。
よし。これからも普通に頑張ろう。
「むぅ…」
何その反応。可愛い…ダメだダメだ。
で、何で頬を膨らませてるだろうか。
リスみたいで可愛いが、そんな顔普通するだろうか。
いやしない。
漫画で読んだことあるが、不機嫌になったときの反応だろうか。
どうして急に?
取り合えず聞いてみるか。
「中野さん?どうしたの?機嫌急に悪くなったからさ。」
「何でもない。」
「本当に?」
「うん。」
「そっか…それならいいけど。」
「……………この鈍感。」
聞こえなかったがとっても失礼なことを言われた気がする。
気のせいだといいが…
「えっ?なにか言った?」
「何も言ってないよ。大丈夫。」
「そっ。それなら勉強しような。」
本当に何も言っていないのか疑問に思うところだが、ここは深く追及してはいけなさそうだ。
何も言いたくない人に無理やり聞くのは倫理観に欠けた最低な行為だろう。普通とはかけ離れている。
別に?気になってるわけじゃ?ないからな?
______________
勉強会3日目、昨日と一昨日は乃愛の宿題を手伝うためにやれなかったが、今日はまた集まれる。
堂川も無理やり連れてきたので、今日は楽しみだな。
俺は昨日で課題がすべて終わったことにホクホクしていた。
もう中間テストに何の面倒くささも感じていない。
むしろテスト中は午前中で帰れるからラッキーなくらいだ。
あ〜早くテストの週にならないかな…
それはそうと、昨日先生からも堂川の点数を上げるように頼まれた。
どれだけ小テストの成績悪いんだよっと愚痴をこぼしたくなるほどの出来の悪さだった。
これは基礎からやらないとな…
中学の勉強から教えるのかよ…
面倒臭…
よしっ。
最大限堂川を扱こう。
せめて平均点-5点(本人目線)くらいには持っていくか。
あまりにも出来が悪すぎるな…
赤点ぎり回避程度の学力って…
あまり考えすぎるのは良くないな。
女子二人には悪いが、今日からは堂川の指導に集中させてもらうか。
「よしっ堂川。お前は別に俺といけ好かないがペディアで勉強させることにした。ペディアに言ったら快く了承してくれたからな。みっちり扱くから覚悟しろ、そうだよなペディア?」
「そうだね。扱くって天川君と約束しちゃったからね。約束は守らないとだしね?」
お前は絶対にその場のノリで面白そうだって思って言ってるだけだろ。
まあ、ノッてくれたのは助かるが。
「で、お前はまずは、基礎から足りてない。全教科みっちりやるから覚悟しておけよ?」
「だよ?」
いいな、ペディア。
そこノってくれるのはかなりポイント高いぞ。
「ギィ〜ャァ〜」
堂川はいつも叫んでばっかりだな。
少しは黙ろうか。
周りに迷惑がかかるだろ?それくらい考えろよ…
このあと俺とペディアは堂川を扱きにしごいた。
これで少しでも成績が上がってくれればいいんだが…
そしてその次の日、その次の日もと勉強を教え続け、ついに10日が経った。
その間、堂川の悲鳴が続いた。
もしかしたらこのあとに広がる噂はこっちが本命でできたのかもしれない。
まあ俺にはどうでもいい話だ。
勉強会に付き合ってやれなかった中野さんたちに申し訳無いからテストのあとにでも何かしないとな。
特に何も思いつかないけど。
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失礼します。作者です。
多分次回かもしくはその次が別視点になると思います。かなり一話が長いです。
読みたくない方がいるとあれなので先に連絡しておこうと思いここに書かせていだきました。
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