第15話 休日の学校
疲れる。
いや、最近俺の生活が普通から遠ざかっていっている気がする。
そういえば今日は休みなのに部活がある。
ただでさえ乃愛と仲直りできていないというのに部活になど行ってられるか。
今週の月曜日に行くのを忘れていたこともあり行きづらくもある。
しかし、今日部活があることに気付いているのに休むのはおかしい。
だから行きたくないけど行かなくてはならない。
俺はせっかく芽生えたやる気が途絶えないうちに制服に着替え、鞄に最近買った新作の推理小説と恋愛小説、ラノベを突っ込み、勢い良くドアを開けて学校へと向かった。
部室の前に着いた。入りたくない。
「ふぅ。面倒くさいな。特に高坂先輩とか、どんな絡みされるかわからないな~」
「何をさっきからブツブツ言ってるの~w?うちに言ってみ?」
「高坂先輩。からかうのはやめてください。本当に周りから誤解とかされたらどうするんですか。面倒ごとになるのは勘弁です。」
「むぅ。本当に君はつれないね~ そんなんじゃ一生彼女どころか最悪、女友達すらできないかもよ?」
「先輩彼氏持ちですよね?本当にやめてくださいよ。もしその彼氏が俺に絡んできたりしたら呪いますからね?」
「あははは。それじゃあうちもう行くから。じゃあね~」
本当にこの人はマイペースだな…
正直どうかかわったらいいのか未だに分からない。
「才人君じゃん!おっはよー!どうして月曜日来なかったの?もしかして~あたしに呼んでほしかったとか?」
げっ。稲城さんかよ。
でもこのまま無視しても余計面倒になるだけだしな。
適当に言い逃れできそうな言い訳を…
いや普通に本当のことを言った方が良さそうだ。
ばれた時のリスクがデカすぎる。
普通の人ならこんなハイリスク ローリターンなことはしないだろうし。
…それでも面倒なことには変わりはないか。
「おはよ。えっと、何で月曜部活に来なかったか、だっけ?普通に忘れてただけだ。で?流石にそれだけじゃないんだろ?」
「流石~相変わらず勘はいいよね~鈍感だけど。」
鈍感?俺が?なわけあるか。
普通の人並みの感覚はありますけど?
「俺が鈍感なのはよくわからんが、何の用か早く教えてくれよ。変にじらされるとモヤモヤするからさ。」
「じゃあ部活の終わりまで言わないでおこうかな♪」
絶対にこいつ面白がって言ってやがる。
これじゃあ気になって文芸部の活動に集中することができないじゃないか。
「勘弁してくれ…」
「ハイハイ、言うから許して?ね?あたしさ~明日友達と映画館行く予定だったんだけど、急にその友達がさ~体調悪くなっちゃってチケット1枚余ってるんだ~」
で? 何の用事? え?
もしかしてそれだけか? それなら用事じゃないだろ。
「そっか。それは残念だったな。それで何が言いたいんだよ。全然分かんないんだけど…」
「……やっぱ才人君って鈍感じゃんw まあそれは置いといて、才人君ここにチケットが2枚あるんだけど、」
「あるからどうしたんだよ。さっぱりだ。」
「だから一緒に行かない? って話なんだけど。」
「それ何の映画?」
「最近話題の恋愛映画だよ!」
「却下で。」
「え~? 何でよ~行こうよ~~!」
え?嫌だ。興味ないし。
俺にだって拒否する権利はある。
だからここで行使させてもらう。
「却下で。」
「少しは考えてよ!」
乃愛と過ごす休日の時間を減らせるか。
そんなことできるわけない。
よって、映画の申し出も受け取ることはできない。
いや、待てよ…さっきのチケットは自由席のだったはず。
それなら乃愛の分も買えば…
もしかしたら仲直りもできるかもしれない!
そうとなればネットでチケットを一つ購入してっと。
「いいよ。俺お前と一緒に映画見に行ってやるわ。」
「え? いいの? どういう風の吹き回し? でもそれなら良かった…」
おい。最初の反応なんだよ。
そんなこと言うなら俺チケットもう1枚買って、その後二人っきりで兄弟デートしに行くぞ。
…そっちのほうがいいかも。
まあ口約束はしちゃった訳だし。
「二人とも~?何の話してるのかな?うちに聞かせてみ?」
高坂先輩、入ってこないでください。
あんたが入ってきたらいっつもややこしくなるでしょうが。
あと話に割り込んでくるなよ。
普通に考えたらわかるだろ。
「高坂先輩には関係ないので。話に入ってこないでください。迷惑です。」
「そ、そうそう。それにあたしたちそこまで大した話はしてないもんね?」
「まあ、それはそうだな。」
「え~それでも気になる!教えてよ~ねえさうちに教えて?」
鬱陶しいにもほどがあるな。
稲城だったらあそこまで散々言われた時点で諦めるぞ?
この先輩はどうやら無駄に精神も図太いらしい。
「嫌です。ほら、そろそろ活動始めますよ。俺も小説の感想とか聞きたいですし。それにそもそも今日はそれを目的に集まってますよね?」
「うぅ。正論禁止!正論とかやめてよ~」
「あやな先輩、部長ですからそこはしっかりした方が~いいですよー」
「楓花ちゃんまで酷いよ~」
そうして何とか高坂先輩を説得した俺たちは小説の感想を言い合った。
実に有意義だったと思う。
このあと絶対に映画に来るように稲城さんにくぎを刺された。
俺って信用されてないんだな~
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