第12.5話 憧れの兄( side ‐ 乃愛 )
昨日深夜テンションで下書きを書いたものなので
あまり自信はないですがそれでも良い方は読んでいただければ幸いです。
読みたくないという方はここでブラウザバックしていただくか、次の話に読み飛ばしてください。
個人的なことで申し訳ございませんがどうかよろしくお願いいたします。
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物心ついたときから、私の隣にはお兄ちゃんがいた。
いつもお兄ちゃんが私の前にいて、どんな苦しいときも、どんなに辛いときもずっとそばにいてくれたそんな優しいお兄ちゃん。
そんなお兄ちゃんと私は昔から仲良しで互いにそれぞれのことよく理解していた。
だからこそ、すごいその関係が心地よかった。
それにお兄ちゃんは昔から何でもできた。
捻くれた両親のせいでお兄ちゃん自身は全然ダメダメだと思っていたみたいだったけど、私にとっては憧れそのものだった。
いつからだっただろうか。
お兄ちゃんが中学に進学するあたりだったはず。
急に私とお兄ちゃんは一緒に遊んだりしなくなった。
頭のおかしな両親の影響だろう。
何でも私の両親は本当の普通を普通未満、普通の人が理想とする最高ラインに近いことを普通と解釈しているようだった。
私もこれを普通として小学生までは生きてきた。
しかし私が中学生になってからのこと、初めて親の考えが間違っていると気づいてからはお兄ちゃんと対立することもそれなりに多くなった。
当然ながら私は両親とも意見の対立が多くなった。
出来損ない、親不孝、不良、散々なことを言われた。
両親に周りの考え方をいくら伝えたところで、そこの治安が悪いだけ、と言われるだけで一切私の意見は聞いてもらえなかった。
だから私は根本的に変わろうと思った。
性格も、生活態度も何もかも。
それから両親は私のことを失望したような目で見るようになった。
でも私は両親の考え方が行き過ぎていることを知っていた。
だから私は両親の言葉に従わず、自分の正義を貫いた。
そのせいか両親は私に何も期待しなくなった。
でもむしろ私に怒ってきたりすることがなくなって私としては快適だった。
それでも親の愛がなくなるのは辛かった。
そんな中、お兄ちゃんは私を見捨てず、私の意見を尊重してくれた。
これもその一つ。
ある日のことだった。
私が両親と決定的に対立し、私が家出をしそうになった時だった。
お兄ちゃんは普段は両親の言うとおりに過ごすことがほとんどなのに、その日は私の側について徹底的に両親と言い合ってくれた。
本人には何も得はないはずなのに。
それでもお兄ちゃんは私の勝手でこうなったのにも関わらず、それでも私の意見を尊重した意見を両親に提示し続けてくれた。
傍から見たらそのやり方はカッコ悪いやり方だったのかもしれない。
でもその時のお兄ちゃんは何よりもカッコ良くてどんな存在よりも素敵に見えた。
それ以外の時もそうだ。
私がいじめられていることにもすぐに気づいて解決してくれたり、私が学校の友人とトラブルにあった時も中に入ってすぐに解決してくれた。
いつもお兄ちゃんは私の言葉を聞いたあと、少しむずかしい顔をしていたので、お兄ちゃんの正義とぶつかることも多かっただろう。
それでもお兄ちゃんはどんなときでも私の味方でいてくれた。
私はそんなお兄ちゃんの気遣いがとても嬉しくて、でもちょっぴり子供扱いされたみたいでそれは嫌だった。
それにお兄ちゃんばかりに頼るのは悪いと思った。
お兄ちゃんにこれ以上の迷惑はかける訳にはいかない。
だから私はお兄ちゃんにきつく当たるようになった。
本当はこんなことはしたくなかった。
でも自分が何となくこのままだと何もできなくなりそうだったから。
そして何より私がお兄ちゃんの役に立てるようになりたかったから。
私の勝手な都合でこんな目にあってしまっているお兄ちゃんには悪いと思う。
でもお兄ちゃんの横に立てるようになるまではお兄ちゃんと仲良くはできない。
私は覚悟を決めてそもそも離れていた距離をさらに突き放した。
お兄ちゃんの悲しそうな顔がたまらなく辛かった。
できることなら今すぐにでもお兄ちゃんに甘えたい。
お兄ちゃんと昔のように過ごしたい。
どうしてもお兄ちゃんとこれから先も一緒にいたかったから。
でも今日、その希望は一度砕かれた。
私が家に友達を呼んでしまったからだった。
いつも通りその友達、
お兄ちゃんと瑞穂を鉢合わせさせてしまった。
それだけならよかった。
でも瑞穂はお兄ちゃんと知り合いであるみたいだった。
「それでお兄さん。忘れているようなので言いますが、昨日荷物取り返してくださった方ですよね?まさか乃愛ちゃんのお兄さんだったなんて…なんか運命感じちゃいますね♪」
その言葉を聞いた瞬間私は危機感を覚えた。
どう見ても瑞穂が私のお兄ちゃんに好意を抱いているのはまるわかりだった。
むしろわざとその好意を表に出していたのかもしれない。
お兄ちゃんを誘惑するためだけに…
どうしてか分からないが酷く胸がもやもやした。
私のおにいちゃんが瑞穂にとられる!
突然そんなことが脳裏に浮かんだ。
「クソ兄貴っ」
急に胸が苦しくなって、いつの間にかお兄ちゃんをにらんでいた。
こんなのは逆恨みだ。
「待って。お兄ちゃんはのあが大好きだから。のあ以上に可愛くないと眼中じゃないから。あとのあ以上なんてこの世に存在しないから。ね?」
その言葉を聞いた瞬間安心した私がいた。
そして気持ちが落ち着いて、私にとってお兄ちゃんがいかに大きな存在であるのかを自覚した。
「…そ。クソ兄貴だもんね。仕方ないか。そんなんじゃ一生彼女できないよw」
今はこれで十分。
いつかまたお兄ちゃんと元の関係になれればいい。
それでも瑞穂や周りの女子が心配だから、私が有象無象の女子からお兄ちゃんを守ろう。
お兄ちゃん!私が守るから安心してね♪
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