第2話 ゴミ拾い




 今日は公園のゴミ拾いに来ている。

 というのも昨日ランニングに来たときにゴミが散乱しているのを見て、これはいただけないなと思ったからである。

 至極一般的な考えではないだろうか?  

 他の人達も面倒くささが勝つだけで、怠惰ささえなければ、全員俺と同じように行動をするに違いない(本人目線)。


 さてと、相変わらず散らかってるな…

 あそこのゴミは、隣のカフェの飲みカスだろうか?

向こうのは某ハンバーガー店の袋だな。

 ここをゴミ捨て場か何かと勘違いしているのだろうか。

 全く俺みたいに普通な奴はここらへんにはいないのだろうか。

 ここは相当治安が悪いらしい(本人目線)。


「いや、流石にこれは多すぎるだろ…」


 思わず声が出てしまった。

 裏の茂みをチラッと見てみると、まるでゴミ屋敷みたいな量のゴミが散乱していた。

 これは骨が折れそうである。

 ゴミ袋買ってきたけど足りるだろうか?

 いや、文句ばかり言っていても掃除は終わらない。

 取り合えず作業に取り掛かりますか。


______________


 いや〜やっぱり量が多いな。

 流石に一人はキツイかもしれない。


「あの〜どうしました?」


 一人の女性が話しかけてきた。

 手こずっている俺を見かねて声をかけてきたのだろう。


「え〜っと、ゴミ拾いをしてたんですけど、あまりにも量が多くて…一人ではやり切れなさそうで…。本当に情けない話です。」


「あの〜もしよかったら手伝いましょうか?今私暇なので…」


 この街にもどうやら普通の感性を持った人はいるようだ(本人目線)。

 この街の治安を気になっていたが、ちゃんとしてる人はちゃんとしているようだ。

 全く見習ってほしいものである。


「いいんですか!?ぜっ是非お願いしたいところですが…本当に大丈夫ですか?同情でやろうとしてませんか?」


「大丈夫ですよ。何をやればいいんですか。」


「えっと…それならあっちのベンチの裏のゴミと自販機の裏のゴミを取り合えずお願いできますか?」


「分かりました。任せて下さい!」


 元気があっていいことだ。

 少なくとも俺は他人に向かってそこまで元気の良い態度は見せられないだろう。

 本当に見習いたいものだなあ。


 そして二人は黙々とゴミを拾い続けた。

 そしてついさっきまで朝だったにも関わらず、もうお昼時である。


「そろそろ休憩するか帰ったほうがいいですよ。もうお昼ですから。残るならコンビニが近くにあるのでこのお金で買ってきて食べてください。」


「あの、流石にお金をいただくわけには…」


「俺助かっているのでいいんですよ。感謝の印として受け取って下さい。」


「ありがとうございます。それなら私今からご飯買ってきます。」


 そうして俺は家から持ってきた弁当を平らげ、ゴミ拾いを再開した。

 それから少し遅れて、コンビニで買っただろうものを食べた先程から手伝ってくれている女性がゴミ拾いを始めた。


_______


「ふぅ〜。ようやく終わった〜。お疲れ様でした。本当に今日はありがとうございました。」


「そんなことないですよ。全然気にしないで下さい。」


「これ、はした金ですけど自販機で何か買うのに使って下さい。俺はこれで。本当にありがとうございました。」


「こちらこそ。…あ、もしよければLIME交換しませんかっ、てあれ?」


 久しぶりの長めの運動?で体がすっかり疲れた俺は猛烈ダッシュで家に帰ってすぐに、風呂に入って、ふかふかなベッドの上に突っ伏した。

 帰り際、何かを俺に呟いてような気がするが、どうせ「あ〜疲れた〜」とかだろう。

 つまり独り言に違いない。

 もしかして何か報酬を願っていた可能性も…そうなると申し訳ないことをしたかもな。


 そんなことを考えながら布団をかける。

 やはり睡眠こそ正義。

 でも案の定夕食の時間に叩き起こされた。

 別にそこまでしなくてもと思ったが、母さんの性格上仕方ないのかもしれない。

 あー眠いな〜。


 夕食を食べて、歯を磨き終わったあとも母さんの説教は終わらなかった。

 流石に面倒になった俺は自室に入りすぐに鍵をかけた。


 それでもさっきからずっと母さんのどなり声が鳴り止まない。

 ちゃんと話を聞きなさいだとか、なんとかかんとか。

 だから…母さんそこまで怒らなくていいじゃん。

 鍵閉めてるのにすっごいうるさいって。

 近所迷惑になるから、またご近所さんに文句言われるから本当にやめてよ…

 せめて俺を寝させて欲しいな〜

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