十一月

⬛⬛月⬛日


 ⬛⬛⬛⬛

 ⬛⬛⬛⬛

 ⬛⬛⬛⬛

 あはは

 あははは

 あはははは

 大好き


十一月二日


 昨日の事を覚えていない

 日記を見ても黒塗りばかり

 先生に聞いてもいつも通りだったと言っている


十一月五日


 風邪をひいたみたい

 寒いよ

 ストーブで部屋は温かいはずなのに寒いよ

 書き終わったらおふとんに潜り込んで寝よう


十一月八日


 風邪は治ったみたい

 風邪の間は甘いおくすりと苦いおくすりを一緒に飲まされた

 甘くて苦くて最悪だった

 もう二度と飲みたくない


十一月一三日


 父様と母様が久しぶりに来た

 年が明けるまで外国に行くみたい

 暫く会いに来れないんだって

 父様も母様も嫌いだ


十一月一四日


 嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ

 お姉ちゃんは大好きだよ

 だから早く私を連れて行って


十一月一八日


 先生が寝てから箱を取り出す

 月明かりでキラキラして綺麗だ

 これは私だけの宝物

 誰にも見せてあげない


十一月二十一日


 先生が君にお姉ちゃんなんていなかったのだよなんて言ってきた

 先生は嘘つきだ

 だって今も一緒に日記を書いているんだから

 ねお姉ちゃん


十一月二五日


 先生に日記を見られそうになった

 はずかしいとごまかしてなんとか見られずに済んだ

 わたしが死んだら読んでいいよと言ったら悲しそうな顔をしていた

 そんな顔しなくてもいいのに

 わたしの病気が治らないのは知っているから


十一月三十日


 今日で11月も終わり

 わたしはきっと来年まで生きられないと思う

 毎日体が痛い

 おくすりは全部甘いおくすりになった

 甘いおくすりを飲むと痛くなくなる

 わたしは死ぬ日にちは決めている

 それまではがんばろう

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