十月

十月一日


 お姉ちゃんが箱を置いていった

 何だろうこれは

 でもなぜか大切なものな気がする

 誰にも見つからないように隠しておかないと


十月二日


 お気に入りのコートがみつからない

 去年のお誕生日に誠一さんから貰った

 白くて白くてまっかっかになったコート

 あれ?赤かったかな

 白色のきれいなコートだったはずだけど

 まあいいか


十月三日

 

 警察の人が訪ねてきた

 誠一さんが行方不明らしい

 私は何も知らない

 どうして私の所に来たのかな


十月八日


 また警察の人が来た

 私は何も知らないのに

 父様と母様が来て警察の人を追い払ってくれた

 どうして父様も母様も私を怒るの?

 私は何も知らないよ


十月十日


 ⬛⬛の事は誰にも言っちゃ駄目

 ⬛⬛は私の物

 ⬛⬛大好きだよ


十月十一日


 昨日の記憶がない

 日記の黒塗りはなんだろう

 知らない知らない知らない


十月十三日


 朝は甘いおくすりだった

 昼は苦いおくすりだった

 夜は夜は

 何だったかなお姉ちゃん


十月十五日


 今日はご飯もいっぱい食べることだできた

 今日は体調がいいのか体が痛くなかった

 明日も今日と同じなら良いな


十月十八日


 警察の人が来て謝られた

 誠一さんが見つかったみたい

 でも詳しくは教えてくれなかった

 私みたいな女性には無理な事って言われた

 よくわからないけどもう大丈夫らしい

 それにしても誠一さんが見つかって良かった


十月二十日


 父様と母様が久しぶりに来た

 甘いおかしをいっぱい持ってきてくれた

 怒ってごめんねって言われた

 何の事かわからないけど

 うんと言って笑うと父様も母様も笑ってくれた

 今日は良い一日でした


十月二十一日


 もう大丈夫

 もう大丈夫

 もう大丈夫だよ⬛⬛


十月二十七日


 昨日から体が痛くて眠れなかった

 朝に甘いおくすりを飲んだら痛くなくなったから眠れた

 起きたら夜だった

 今日の夜は痛くないといいな


十月三十一日


 今日で10月も終わり

 私はいつまで生きていられるのだろう

 教えてお姉ちゃん

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