第57話 レトファリックvs重複、不運のカード決着、国王ゼレラの授業
レトファリックはレッサーパンダに向かって石になって走っていた。
「カメレオンの7。氷の粒。」
レトファリックは擬態能力を使用して氷になって滑るようにレッサーパンダの足元を移動していた。
「よしこの木の上だ。カメレオンの7。レミゾカのつる。」
先程と同じようにつるでは木の枝に巻きつき上に移動した。
「カメレオンの7。ファイアボール。獣なら火は苦手だろう。」
擬態能力で魔道具のファイアボールになり火の魔法がレッサーパンダのモンスターに襲い掛かった。しかし、木の上にいたレッサーパンダを倒しても分身は保たれたままだった。
「不正解って事か。レッサーパンダの本体はどこにいるんだ。」
分身したレッサーパンダにジジベムパワーで麻痺にさせながらレトファリックは頭を回して考えた。
「分身が急に増えた時、僕が初めて毒エキススライムに化けた時だ。毒がキーワードか。」
レトファリックの考察は続く。
「いやレッサーパンダのモンスターの動きが積極的人間なったのは僕がドリルレーダーを使った時だ。ジジベムパワーを使わせるほどレッサーパンダの群れが迫ってきていたんだ。」
レトファリックは答えを導き出した。
「ドリルを使わないと通れない場所。つまり地中だ。」
レトファリックは擬態能力を使用した。
「カメレオンの7。ドリルレーダー。」
レトファリックはドリルレーダーに化け地中に潜り始めた。
それを見た不運のカードは罰が悪そうだと判断した。
「地中に潜ったら追いかけられし転送もできないじゃん。」
ドリルレーダーの潜った先にはレトファリックの読み通り小さな道が続いていた。
道を辿っていると本体らしきレッサーパンダが中で睡眠をとっていた。
レッサーパンダはドリルの振動で危険を察知し逃げ始めていた。
「カメレオンの7。コールドボール。」
氷魔法を使いレッサーパンダの動きを止めた。
「カメレオンの7。ドリルレーダー。」
ドリルで身動きの取れないレッサーパンダを攻撃しようとしたら手元に画面表示が現れた。
[おめでとうございます。固有スキル、小熊猫の分身を獲得されました。使用の際にはNon Player Clown FONUMEES SKILL〔レッサー・パトラの3〕を唱えて下さい。
トランプカードではダイヤの3です。このカードの意味は重複です。]
「よし。分身能力を手にしたぞ。これで一度に擬態できるアイテムやモンスターの数が増える。」
不運のカードモンスターの幽霊も満足したのかレッサーパンダの群れが消えたことに気づいた。
「またレトファリック君に会えたし楽しかったからいいや挨拶したら帰ろうっと。」
そう言い残すと不運のカードも家に帰って行った。
レトファリックが地中から出てくると不運のカードは挨拶した。
「おめでとう。またスキルゲットだね、レトファリック君。君がカメレオンの能力を手にする所見てたよ。後がないギリギリを生きてる人はかっこいいね。じゃあ僕もう帰るから。」
レトファリックは不運のカードの幽霊を静止させた。
「待ってよ。洞窟にいた時エルフから僕を助けたのは君だったの。」
不運のカードの幽霊は質問に答えた。
「そうだよ。エルフが復讐でつまらないことをするから君を逃した。ただ逃してもつまらないし地下遺跡に送ってみた。」
レトファリックは謎が一つ解けて気分が良くなった。
「そうか、ありがとう。幽霊、不運のカードモンスター。」
レトファリックは幽霊に感謝を伝えた。レトファリックは彼に会いたくて質問をした。
「君に会いたいしスキルも強力だから欲しい。君は普段どんな所に住んでいるの。」
不運のカードは話を始めた。
「サーバーとサーバーの間みたいな空間に住んでるよ。面白い人間がいたらこうして地上に降りてくる。今のところ面白いのは二人かな。君と獅子川って人。」
レトファリックは幽霊の目を見つめて語りかけた。
「どうすれば君の承認を得られる。」
「最高に面白い人間と出会ったらかな。後殺されそうになったら僕は承認するよ。」
レトファリックは幽霊の言葉を受け入れた。
「分かった。君にとって一番面白い人間になってみせるよ。」
幽霊は嬉しそうに答えた。
「もう既に君の事は気に入ってるけどね。分かった。君が最高に面白い人間になるのを見ているよ。じゃあねレトファリック君。ゴーストテレポート。」
そういうと不運のカードの幽霊はその場を去った。
「よし明日の授業対決に向けて備えよう。」
レトファリックは王国に戻り明日の準備を始めた。
「レッサーパトラの3。これで分身ができる。カメレオンの7。ファイアボール、コールドボール、エンシェントハット。」
分身した武器を利用してレトファリックは魔法を放っていた。火魔法と氷魔法を同時に使っていた。
「よしこれで一線級の魔法使いになれるぞ。」
レトファリックはその後も化けられる道具を一通り試して就寝した。
9月14日いよいよ国王ゼレラと新人教師レトファリックの授業対決の日になった。
「国王ゼレラ様、授業対決コンテストの日となりました。準備はいかがでしょうか。」
「問題ない。魔力も魔法の扱いもレトファリックはほとんどできない。何か策を練ってきたとしても私の授業には及ばん。」
会場の準備が終わり多くの生徒が国王ゼレラの授業目当てにやってきていた。
「国王ゼレラ様の授業が見れるのは久しぶりだ。最高に楽しみだ。」
「魔法学の権威としての実力者の授業を受けられるとは何たる褒美。」
そして時間になり国王ゼレラが壇上に上がった。
「皆の者。国王ゼレラだ。今日は生徒として私の授業を存分に体感して欲しい。」
魔法教師ランキング1位の授業が始まった。
「実際に私の魔法を体感してもらう。まずは、ファイアバードから。」
国王ゼレラはそう言うと、大きな火の玉を目の前に出した。最前列にいる者はゼレラの魔法の熱気が覆い、暑苦しくなっていた。
「選ばれし者、生徒たちよ。私の魔法を見せてごらんにいれよう。」
大きな火の玉は巨大な鳥に化け、上空を飛んで行った。
「火の鳥の次は、火の牛でも出してみようか。ファイアゴート。」
火の玉は巨大な牛に化け、司会席から舞台裏まで駆けて移動した。
「炎魔法を出す上で重要な点は魔法の精度だ。火の玉をまず手から生み出す、手から汗を出すようにイメージする。魔法は連想の技術だ。」
その後も、国王ゼレラの授業は続いた。
「汗の粒を体から生み出すように火の玉を生み出したら、空中に絵を描くように火の魔法を微調節する。炎魔法をキャンバスの絵の具のようにイメージして絵の具をたらしながら牛や鳥を描いていく。最初ははばたく鳥が描けない事もある。」
国王ゼレラは炎魔法の得意ではないものにも向けて話をし始めた。
「羽を大きく描くように火の玉を操作するといい。牛なら足が重要だ。地面と面してる点は平行でないと不格好な牛になってしまうからな。」
国王ゼレラは炎魔法を駆使して様々な魔法を見せた。
「まずはファイアバード、鳥、次にファイアゴート、牛、その他にもさまざまな火の魔法を生み出せる。まずは火の弓と矢。これは遠距離の敵に有効だ。次にハリセンボン、針を体から放つことに周りの敵に攻撃を与える。これは近距離の大勢の敵に有効だ。」
国王ゼレラは自分の授業スタイルについて話始めた。
「僕は、君たちの事を選ばれし生徒たちだと思っている。魔法を扱えない魔法使いなどいない。魔法を扱う技術が高いからこそ君たちは私の授業を受けられる。」
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