第53話 第3サーバーへ、ウェルジーナ・コフィレット面接

獅子川は櫻木の事を褒めた。


「石と石の恋愛模様か。面白かった。ところで石削りってのはあれかな。」


櫻木は獅子川の質問に大声で答えた。


「はい。セックスです。」


それを聞いて血潮見が爆笑した。


「お前おもろ。獅子川さん。こいつ採用にしようぜ。」


瀬高さんは彼がチームに入るのに抵抗を見せた。


「で、で、でも能力を見てからじゃないと戦力になるかどうか分からないですよ。」


櫻木は自分の能力を説明し出した。


「あたしの能力は火の玉を生み出して相手を焼く攻撃魔法だ。こうやって火の玉を生み出す。」


櫻木は自分の手の先から火の玉を出して大きくさせてみせた。

それを見て獅子川は使える人間だと判断した。


「合格だ。櫻木くん。今度はこっちの席に来て。これからよろしく。」

櫻木は合格だと言われ嬉しくなった。


「やったー。あたし落語の試験では何度も落とされているから合格嬉しい。」

次の面接する相手が扉の前にやってきた。


「どうぞ。」


おそるおそる扉を動かし部屋に入ってきたのはウェルジーナ・コフィレットだった。所作と服装で誰でもお嬢様だと分かる品の良さだった。


「ウェルジーナ・コフィレットと申します。この前はプレイヤーやソードマスターの

敵から私の身を守ってくださりありがとうございました。」


獅子川は何の事かは分からないという表情を見せた。


「はて、僕は強い相手と戦いたくてプレイヤーを倒してただけなんだけどね。」


ウェルジーナ・コフィレットは言葉を続けた。


「私は不合格でも構いません。今回はお礼を伝えるために参りました。どんな要望でもできる限りお答えいたします。」


お嬢様からのお礼に式部と瀬高は顔を赤らめた。


「可愛いね君。」


獅子川は彼女の言葉を聞いて少し苛立っていた。


「これだと僕がまるでヒーローじゃないか。僕は正義を振りかざす人間が嫌いでね。そうだ君第3サーバーに行ってみないかい。」



ウェルジーナ・コフィレット王女は戸惑った。

「第3サーバーですか。そこはどんなところなんですか。」


獅子川は正直に答えた。


「強さがものをいう世界さ。強ければ衣食住が整い弱ければ何も手にできない。面白いだろう。」


ウェルジーナ・コフィレットは手を震わせながら答えた。


「分かりました。恩人の頼みならば断れません。第3サーバーに行きます。」


獅子川は瀬高に任務を依頼した。


「瀬高。第3サーバーに連れて行け。」

瀬高は端末をハッキングして操作した。


「いいかい。第3サーバーに入っても少しばかりモンスターがいる。頑張ってくれよ。第3サーバー唐他のサーバーに移動することはできない。唯一の方法はハートの3のカードモンスターを手に入れることだ。」


ウェルジーナ・コフィレットは声援を受け第3サーバーに向かった。


獅子川は面接を続けた。


「次の方、どうぞ。」


次の方も先程の王女と同じく所作が丁寧で村人の格好をして入ってきた。


「リーベアレイル・マニーレックです。面接の前にウェルジーナ・コフィレットと名乗った方はどこにいるのか教えてください。」


すると獅子川はすぐに思い出して答えた。


「第3サーバーダンジョンカジノに行ったよ。」


血潮見が言葉を付け足した。


「恩人の頼みは断れないって言って地獄の殺し合いの会場に向かったという訳だ。」


リーベアレイル・マニーレックはその言葉を聞いて激怒し血潮見の方に向かった。


「時神ルーピルの10。」


能力を使用したが彼は止まらなかった。


リーベアレイル・マニーレックのスキル実体骨格連動は非現実的なスキルの効果を受

けない事があるという性質を持っていた。


血潮見が顔にナイフを刺され出血していた。


「ぎゃあ。痛え。」


血潮見はその場に倒れ込んだ。

また、倒れた血潮見はマニーレックに足を刺され動けなくなっていた。

獅子川は突然の出来事に驚き瀬高に命令した。


「雷神セト・トルエドの10。強敵だ。瀬高ダンジョンカジノに転送させろ。」


するとリーベアレイル・マニーレックは彼の言葉を肯定した。


「そうだ俺を第3サーバーに連れて行け。俺はコフィレットの安全を脅かした者を絶対に許さない。だが今はコフィレット様の安否が優先だ。さっさと転送させろ。さもなければこいつは完全に殺す。」


リーベアレイル・マニーレックの言葉を受けた瀬高は彼の端末をハッキングして彼を第3サーバーに転送させた。


「血潮見、大丈夫かレタス。」


血潮見は顔から大きく出血していて頭部に剣が刺さった跡がありいつ死んでもおかしくなかった。


「式部、櫻木、回復魔法を使える奴を呼んでこい。瀬高、俺たちはまず出血を止めるぞ。」


式部と櫻木が回復魔法を使える者を連れてきていた。数時間後体調がひとまず安定した血潮見は雲上貝ビル2階のベッドで寝ていた。


「大丈夫か。血潮見。」

血潮見は剣で目をやられたらしく片目が失明していた。また足を刺されており立てない体になっていた。

式部は過去の過ちを後悔した。


「くそっ。ウェルジーナ・コフィレットを第3サーバーに転送させるべきじゃなかった。」


櫻木も落語をする雰囲気じゃないのを悟った。


「あんな狂犬を連れているとは。」

瀬高もリーベアレイル・マニーレックの脅威に慄いていた。


「か、彼は脅威です。時神の能力が効かなかった。獅子川さんでも止められない人初めてみました。」


獅子川は彼の身を案じていた。


「まずは休め。俺たちで全てのカードを揃えて王になるのは後回しでいい。まずは仲間の身の安全だ。」


血潮見は獅子川の言葉を聞いて嬉しくなった。


「あ、ありがとう。俺を大切な仲間と思ってくれて俺も嬉しい。」


血潮見の言葉に4人は笑顔で答えた。

数時間前、第3サーバーダンジョンカジノ。


リーベアレイル・マニーレックはウェルジーナ・コフィレットを見つけ身を挺して守っていた。


「コフィレット様、無事でよかった。危険な第3サーバーに行ったと聞いて心配していました。」


コフィレットはマニーレックと再会し抱きしめた。


「ごめんねマニー。恩人の頼みは断れないって言って第3サーバーに来ちゃった本当に私のせいだね。ごめんね。」


マニーレックはコフィレットの涙を手で拭った。


「気にしないでください。無事でよかった。でもこんな危ない事二度としないで下さいよ。」


マニーレックの言葉にコフィレットは親身に答えた。


「うん。分かったよマニー。」


落ち着いたウェルジーナ・コフィレットはマニーレックに状況を説明した。


「マニー。ダンジョンカジノから第1や第2サーバーには戻れないらしい。ゲームマスターが設定したんだと思う。戻るにはハートの3のカードが必要なんだって。」


マニーレックはコフィレットの情報を聞いて彼女を褒めた。


「ハートの3を見つければいいんですね。その情報かなり価値がありますよ。ありがとうございます。コフィレット王女様。」


マニーレックに褒められてコフィレットは嬉しくなった。


「そう。役に立ってくれたんだ。嬉しいな。」


話をしているとモンスターが彼らの前に立ち塞がった。


「ギエエ。」


巨大なクモのモンスターがそこにいた。ひとまず目の前のモンスターを倒していくしかないみたいですね。


そこからのマニーレックの動きが圧倒的だった。素早く動き相手の裏を取り脳みその部分を掻き切るようにクモを真っ二つにした。

[level UP 10 ↑]

[level UP bonus 一箇所転移地点設定可能、第3サーバーにいるため使用不可]


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