第34話 レトファリック一行作戦会議、FONUMEES SKILL BALL使用
「鯱千。危険だ。一旦作戦をきちんと考えた方がいい。妙だ。ビリヤードでこんな力を加える必要はない。」
5人が道具の操作を確認して、作戦を考え始めた。
田芽助は目立つ役割を担おうとはしなかった。
「僕ら、田芽助、峯未雨は妨害、補佐が基本でいいんですよね。」
峰未雨もこれに同調した。
「ビリヤード中級者のレトファリックと鯱千。この二人以外はレナリアの妨害。別に変える所はないんじゃないの。」
「いいか。命を賭ける条件があるという事は普通にビリヤードやってても勝てないって事だ。squiの計算処理能力を利用すると思っていたがこれは予想外だ。」
「多分大きな力を加える必要があるゲームなんだよ。ゲームが始まってから臨機応変に対応するしかなくない。」
「ボールには判明しているFONUMEESが操作画面にも描かれてるんだ。FONUMEESの絵が描かれた手球とダイヤの3とクラブの7はタップ出来る。NONUMEESGAMEと絡めたゲームになるはず。作戦を練り直そう。」
レトファリックらの一時的な作戦会議は終わり、squiにゲーム開始の合図を出した。
NPCのレナリアともう一度向き合い、対戦相手として礼儀正しく会釈した。
「準備はできましたかー。命賭けないんだからビリヤードで遊ぶだけ。そんなに怯える必要はないと思いますよー。」
「レナリア、せめてもの情けだが、君を人として見るため敬意を払う。準備はできた。squi始めてくれ。」
〔かしこまりました。挑戦者サイドレトファリック、Yobase、峰未雨、鯱千、六衛田芽助NONUMEESGAMEサイドオートビット・レナリア共に準備完了。ゲームを開始致します。〕
〔A BIRIYARD-LIKE GAME USING FONUMEES SKILL BALL START〕
〔挑戦者サイドが先攻となります。まずは道具を選び、白い手球を所定の位置に配置後、トランプの小さい数字から順番にボールを狙って下さい。〕
「んじゃまずは、私が手本を見せる。パーティー唯一の上級者のプレイングをよく見とくように。このキューはこうやって台に水平になる姿勢を取ります。そんで狙うのはあのスペードの1ね。それ以外のボールに当てたらお手付き。だけど、スペードの1のボールを使って他のボールを落とすのはあり。最初だから難しいけど、こうやって一つの穴に絞って当てる位置を決めれば落とせたりする。」
鯱千はその後沈黙して集中してボールを突いた。
(まずは端にあるダイヤの9かスペードの10を狙うべき。最初だからボールを分散させて、手球がスペードの1から離れればラッキー。この中で一番ビリヤードの経験があるって事は意外と素養あるのか私。今度峰未雨に教えよう。)
鯱千は落ち着いて手球を突いた。しかし、スペードの1にボールが勢いよく当たりその場の近くに止まってしまった。
「おいおい。これじゃ対戦相手のレナリアにチャンスを与えるだけじゃねえか。やはり4人で交互に行うのが、蟠りがなくて良さそうだ。峰未雨頼む。順番通り俺が次に打つ。」
隣の田芽助はゲームボードに不正、不穏な動きが無いか調べていた。
「公平にしてチーム間での喧嘩を防ぐのは自分もいいと思います。複数人での対戦の場合限定の条件があるなら仲間割れを起こすスキルやギミックがありそうです。しかし、Yobaseさん今のボールの動きは変ですね。手球に加えた力がスペードの1に押し殺されました。手球が当たったのに全ての球は微動だにしてません。」
「ああ、明らかに普通じゃない。命を賭けなくて正解だった。」
オートビット・レナリアが、異変に気付いた彼らを見て微笑みを浮かべた。
「ビリヤード本気で遊んでくれて嬉しいー。人間は命を賭けないと負けても言い訳するかなって思ってたー。」
〔オートビット・レナリア様が後攻になります。挑戦者サイドの1ターン目が終了したため、先攻と同じくお好きな道具を選び、白い手球を配置後スペードの1を狙って下さい。以降は、情報を抑え得点とターン数を表示致します。〕
「じゃあ遊びは終わりね。かっこいいこの銃を使おーっと。FONUMEES BALL squi。」
〔A BIRIYARD-LIKE GAME USING FONUMEES SKILL BALL〕
追加のルール説明を致します。
・ゲーム中、トランプに該当するFONUMEESがこのゲームに準えたスキルを使用できます。挑戦者側のFONUMEESは基本的に相手のターン中のみ使用する事ができます。自チームの専用スキルをメニュー画面に表示致しましたので、ご確認下さい。
手球を所定の位置に配置後、オートビット・レナリア所持FONUMEES squiの能力を現在のゲームに適用致します。〕
ゲームボードにトランプのダイヤのKINGのマークが現れsquiの今回のゲーム専用の能力が明かされた。
〔オートビット・レナリア所持FONUMEES ダイヤのKING squiの一部演算能力を今回のゲーム専用スキルとして使用。能力 自分のターン中、通信可能な道具にsqui自体の演算能力の一部を伝達し制御する。また、一時的な演算能力の可視化が使用できます。相手のターン中にはゲームボードを活用して防衛します。〕
「驚いた?ゲームマスターが思慮された大事なゲームなんだから何の意味も無くボールにトランプのマークを描くはずがないと思うのが普通ですよねー。FPSゲームをする前に操作の全てを教えてもらえない。ルール説明が不十分なのは本来私の役目だからだよー。squiの演算能力なら一部でも20得点は確実。」
レトファリックらは対処が全く出来ず焦っていた。
しかし、この焦りは想定していた状況だからこその反応だった。
「よ、容赦ない、レナリアさん。けど思っていたより種明かしが早いな。いいのか。君がスキルを使えばルールが公になり、こっちの所持してるFONUMEESの能力も推測できる。使えるFONUMEESは一つか。一ターンごとか。次のターンまでにはルールの全貌を教えてもらえそうだ。」
レトファリックが田芽助と相槌を交わして、挑戦者側の使うスキルを決断した。
「FONUMEES BALL モルホデフタ、様、師匠、お願いします。」
〔Yobase所持FONUMEES ダイヤの3 モルホデフタの寄生及び意識に干渉し指示する能力を今回のゲーム専用スキルとして使用。能力 ゲームボードに置かれた相手の手球以外の一つのボールに寄生し操作。また、メニュー画面より、対戦で使う道具やボール等の無生物のアイテムにモンスターの重量比を基にしてボールを重くする事ができる。一度だけ、動作はしないがメニューから無生物のアイテムを選択して寄生する事ができる。〕
「不動と言われる師匠なら、squiの完璧な演算だろうとボールは動かない。」
メニュー画面にA BIRIYARD-LIKE GAME USING FONUMEES SKILL BALL専用のモルホデフタの操作画面が表示された。
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