第22話六衛田芽助、峯未雨と鯱千と共にレトファリック捜索
(嘘だな。カードに該当するモンスターだから喋れないのか。DESSQの管理している範囲のエリアじゃないなら不動岩鳥はいないはず。ランプも点くこの先が現実への出口かもしれない。)
「それなら此処で仲間を待つのはどうだ。」
「はあ。まだ信じてんのかよ。」
「まだメニュー画面にパーティーメンバーがいたからだ。動かないのはお前も嫌いじゃないだろ」
「こんな遺跡の端、見つかるはずが無い。お前、何か策でもあるのか。」
「焚き火だ。」
一時間前、田芽助は、ゴナールウォールド平原にいた。
「一階ですら推奨level20なんてソロだったら死んでる。Yobaseさんをなんとしても助けないと。」
彼は多憑依獣[テママリナネット]から、スキルに関する情報を教えてもらっていた。
「いいか俺のスキルの名前は、テママリナネットの転転移だ。半径10m以内のモンスターを10体まで憑依できる。しかし、防御力が圧倒的に低くなる。ほとんどの攻撃でモンスターは、30分間憑依できなくなる。戦闘時間から考えて一度スキルが解かれたら憑依できなくなると思っていい。」
「分かった。スキルを使用する時はテママリナネットの3と呼べばいいんだよね。」
「う、最悪だ。」
「カードってトランプだよね。[スペードの10]が表示されたから分かるよ。色の青というのはダイヤだったはず。トランプの色と同じだ。」
「その事については言及できない。ゲームマスター様から止められている。しかし、俺はゲームマスターから話してほしいと言われてる事があってな。」
青鈍色の猫は田芽助が聞いていることをしっかりと確認した。
「これから田芽助達はこのゲームを抜け出すには全てのカードを集めなければならない。一つのカードに2匹以上のモンスターがいる場合もある。カードに該当する全てのスキルを手に入れると、次のサーバーが開く。その際に、全てのカードにはそれぞれ意味がある。俺のカードの意味は北極。該当するカードを考えればヒントになるだろう。」
田芽助は何かを悟ったようにテママリナネットに話しかけた。
「もしかして、チートスキルの中でも弱い方なの。」
「死ね。お前は無自覚に俺を煽るな。」
青鈍色の猫は怒ったのを見て彼が謝った。
「ごめん。言わないように気を付ける。」
テママリナネットが睨みつけたが、彼はをYobaseの事を心配し立ち上がった。
「まあ、使い方次第か、とにかく地下遺跡に行こう。」
立ち上がって地下遺跡に戻ろうと走り出した。しかし、後から猛スピードでタイジットカーフに追いかけられ、気づけば峰未雨と鯱千が目の前に来ていた。
「ありがと。舞雲寺。」
峰未雨さんは田芽助の顔を見て思わずお尻に蹴りを入れた。
「褒めようと思ったけどむかつくわやっぱ。あれ猫がいる。モンスターなら倒そうかな。」
田芽助の後ろにテママリナネットは隠れていた。
「くそ。お前に渡したせいで、スキルが使えない。田芽助何とかしろ。」
「この猫がテママリナネットだ。僕の今の推しだから攻撃しないで。」
「そっかこの猫なんだ。姿勢がいいね。可愛い。ふにふに。」
「あー私にもさせてー。」
青鈍色の猫は驚いて光となって消えてしまった。
「あれ。消えちゃった。もしかしてもう会えなかったりするのかな。」
「峰未雨だけふにふにしすぎ。全然触れなかった。」
猫をあまり触ることの出来なかった鯱千の興味はカードのスキルを手に入れた田芽助に向いていた。鯱千が好機だと田芽助の顔のほほを掴んで現実かどうかを確かめた。
峰未雨が背後から横やりを入れた。
「まあ凄い。固有スキルを持ってるのはた、田芽助だけだ。でも単騎で遺跡はあほすぎて草。回復ポーション持ってるの。寝ないと回復しないよ。」
「話し方移ってるんだが。田芽助君まじで凄いよ。驚いて思わず笑っちゃった。ちなみに、レトファっちはどこかな。」
「今レトファリックさんは僕のせいで、地中から出てきたカバみたいなモンスターに捕食されて、地下遺跡のおそらく下の方の階に閉じ込められてしまったんです。」
「「はあ。」」
峰未雨と鯱千の態度が急に変わった。
「また、ふざけんな。あんたを探して助けようとしてたレトファリックを見殺しにしたってこと。」
「落ち着け峰未雨。話を聞いてから考えよ。状況を詳細に教えてくれ。」
田芽助は話をしようともせず2人の反応を見て顔を青ざめすぐに地下遺跡に向かおうとした。
「とにかくレトファリックさんを助けないと。」
峰未雨はタイジットカーフを呼び出し、「来い舞雲寺。私の方が速い。」
タイジットカーフと同化した峰未雨は怒りもせず目で命令した。
「乗れ。そして話せ。」
「はい。」
「じゃあ。端的に経緯とYobaseの情報を伝えて田芽助。ちゃんと思い出して。」
「ウェイターボガーディアンを討伐した経験値でlevelを上げてパーティの役に立とうとしたらレトファリックさんが手伝ってくれて、注意がウェイターボガーディアンに向いていたせいでカバのようなモンスターに捕食され地下に落ちていくのを見ました。どこまで降りたのかは分からないですが、かなり深い階まで連れていかれたと思います。」
峰未雨は、田芽助に向かって男みたいな口調で叱った。
「何階か分からねえのか田芽助。」
「ひえ。」
鯱千が田芽助の頭にチョップした。
「いがみ合っている場合じゃない。そして可愛くない。」
「なんで俺なんですか。」
「これからは最善を尽くして情報を集める事。拾える情報がないなんてことはないはずだから。でも話を聞く限り唐突に起きたみたいだ。とりあえず3人で行くことが最短。」
地下遺跡の壁がいまだに塞がっているのを鯱千が確認して峰未雨から降りて壁の前に
進みだした。そして青い専用バズーカを取り出した。
「井戸で何もしてなかった訳じゃないぞ。レトファリック、後Yobase。お披露目だ。峰鯱手製鯱性爆弾4号発射。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます