第9話 レトファリックvsクロシス族長率いるエルフ一行
「おい、田芽助起きろ。」
「うえ。何ですか?」
「峯未雨姉さんこれ。」
「ああ何か起こったのか。」
ドスペラ王国内
「レオリープ・カメレオン、クラブの7、がもう達成されたらしい。」
「スキルがもう取られてしまった。おそらく彼を先に取り込んだ国が優勢になる。」
「一体どんな腕利きなんだ。それにこれは。」
ウェルジーナ王国
「ウェルジーナ・レフィナ女王、レトファリックはエレミル王国群のロードアーム王国から来たという情報が入りました。おそらく今はドゴスペラ王国に向かっている途中のはずなので彼は恐らくゴナールウォールド高原辺りかと思います。」
「ロードアーム王国って滅ぼされたはずじゃない、どういうこと。」
コフィレットは自室に篭ってしまったし。騎士も剣技の腕に自信のあるものしかLevelを上げられていない。
「とにかく私達は今スキル集めに注力すべき。スキル画面は見た。」
「見ました。長方形の左下にクラブの7のマークが現れました。これはトランプを用いた問題ということでしょうか?何のスキルかも分かりませんし情報を得る必要があるかと思います。」
「そうね。とにかくこのレトファリックって人を探して国に引き入れるわ。遠征準備をして。」
「承知いたしました女王様。」
井戸の中「あはは、それまじYobase。」
「ああ、明らかにこのMMOに初めて入ってきた人間だった。」
「それって、その人はどちらに向かったのかって分かりますか。」
「始まりの平原で既に離れていた。森で迷ったのかもしれない。あそこには、渓谷や洞窟が何個かある。」
「今俺たちは大分近い所にいる。仲間に引き込めば、王国に行っても歓迎される。だがもし洞窟にいるならlevelが15くらいないと無理だ。」
Yobaseの忠告を聞いても、峰未雨、鯱千、田芽助はレトファリックを追いかけるつもりだった。
「私は行く。あの森には死を感じた。」
「私も。仲間が連れて来いって。」
「僕も行きます。」
「分かったよ。」
ドゴスペラ、ウェルジーナ、Yobase一行、他の小国も自国の立場を優位にするため彼を探しに遠征を始めた。
しかし、最も早くライムゴナールドレイン洞窟に辿り着いたのは、彼の討伐を望んでいるエルフ族長クロシス一行だった。
彼は近くの魔力の残り香を何とか辿ってきた。
「確実に見つけて殺せ。またプレイヤーから暴力を受けていたあの悪夢の日々を繰り返す訳にはいかない。」
初夜で固有スキルが奪われるのは想定外だ。
異例だった。Level 30のクロシス率いるエルフが洞窟の中に入っていった。
近くのモンスターもアイテムも構わず蹴散らして彼らは前に進んでいた。
彼は洞窟の入り口から爆音と幾つもの数の足音を聞いた。彼にとってそれは死の行進だった。しかし彼にはスキルがあった。
[モンスターの代わりに私がスキルのご説明を致します。
スキル避役の変貌は視認したもののモンスター等の生物、無生物のアイテムに擬態する事が出来ます。
擬態中、視認、会話可能です。
通常アイテムにしか見えませんが、擬態を解けばレオリープ・カメレオンになっていきます。HPゲージ、アイテムの耐久値を参考にしています。]
「カメレオンの7」
[ FONUMEES SKILL Non Player Clown Card〔レオリープ・カメレオンの7〕][避役の変貌]
彼は動かないカメレオンになった。次に彼は石に化けた。
(これで生き残るしか道はない)
彼は地面を転がるように移動した。
彼には勝算があった。
エルフは攻撃を打ちまくっており粉塵が立っていた。
彼は一度落ち着いたことで、逃げるイメージを身につけられた感覚だった。
エルフを視認し、柱と粉塵を利用し股の下をくぐるように移動していた。入り口付近まで彼は辿り着いていた。
しかし、クロシスの魔力探知は執念とも言えるほどだった。
5cmにも満たないFONUMEESのスキルで僅かしか感じ取れない魔力を彼は探知した。何も言わずに彼は爆散魔法を放った。
「そこだな。」
レトファリックはそれを瞬時に避けたが風に飛ばされて、元の人間に変化していた。
「カメレオンの7!」
彼は手先が動くより少し早く次の姿に化けていた。他のエルフが魔法を放とうとしたが彼が静止した。
「打つな。もう当たらない。逆効果だ。」
「私が彼を追う。お前たちは入口で慎重に見張っておけ。」
「は、はい」
彼は感覚を研ぎ澄まし動いていた。
「今の感じ、やはり貴様Levelが4か5程度でこの洞窟に入ったのか。」
彼はエルフを入り口や小さな道を封鎖させ彼を探していた。
「まさか初日にしかもカメレオンの7が奪われるとは思わなかった。油断していた。始まりの平原で討っておくべきだった。」
マーヴェリックは氷の端になって素早く移動していた。
どうせ彼には見つかってしまうと理解した。
「しかし、残念だな。そのスキルは大分弱いものだ。生物に化けると動けない。上位互換も存在している。」
彼はモンスターに化けるしかないと思っていた。
魔力で測られるならこれしか道がない。
クロシスも隙を作る訳にはいかず魔法を打つ訳には行かなかった。
「やはりいるならここだろう。」
洞窟内で最も広いエリアにクロシスは着いた。
カノライム、コールドメスシャーク、ミミズのバラメシドミム、ワニのフレイジーラドックスとリトルラドクシークスなどがいた。
彼はまず洞窟の上でまとまってじっとしているカノライムに杖を向けた。
カノライムが驚いて逃げた。寝ているものが2匹いた。
「私ならカノライムだが、貴様は飛べない。」
クロシスが近づいたのは氷の地面だった。
「これに化けて移動していたように思う。それなら小さな生物だろう。」
小さな生物は殺気を感じクロシスを避けた。彼はブラフを張り続け移動させようとしていた。先程のプレイヤーなら動けない生物に化けないとクロシスは思っていた。死にたくないのだろう。それなら動ける無生物に化ける。
当たっていた。彼はモンスターの体内にいた。しかも先程のクモの死体の中だった。
モンスター同士の戦いで死んだモンスターは消滅するまでにかなりの時間がかかる。
クモの体内で鉱石となり消化ダメージを防いでいた。
「私は長い間人間の欲望を見てきた。仲間達の話を聞いていく内にその人間の思考を想像できるようになっていった。」
エルフのクロシスはクモの死体に近づいていった。クロシスはモンスターを動かせ、体内に異常があるものを見極めていた。彼の足音を聞いて方向を全く動かさずこちらに来ているとマーヴェリックは気付いてしまった。絶望した。生物としてここに住み着いていたものとの差だった。
マーヴェリックは居場所がバレたと気づき魔法を打たれる前に腹の中から離れるしかないと理解した。彼は体内から氷になって出てきた。彼は柱の後ろに待機した。来た方向と逆側から逃げようとした。愚策に見えて最善ではあった。クロシスの眼がそれを捉えてしまった。
「だが、お前は生存欲が大半を占め過ぎている。それは生物として持っているべきものだ。私達の中にも生きることしか考えてられていないものが多くいた。貴様はあの頃の自分たちを思い出す。私達に対して危害を加えた人間とは思えない。同じ種族ならいい仲間だったかもしれない。」
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