第8話 レトファリックvs幸運のカードモンスター

入り口に逃げ込んだ途端、足場が蛇モンスターのコールドメスシャークによって凍らされていたため、滑り降りてしまう。次にコウモリモンスターのカノライムの群れが待ち構えており、奥の方に逃げ込んでしまっていた。テントの中にいればモンスターから視認はされることはない。


しかし、目の前の巨大クモのモンスターと巨大ヤスデのモンスターが激突しており、戦いが終われば捕食対象になるのは明白だった。彼は逃げる道を覚えていなかった。


あまりにも洞窟内を走ったのだけは覚えている。


ここまで来た方向ぐらいしか覚えておらず、いくつも柱や道が存在しており、動揺していた彼は逃げることしか出来なかった。

「ギエエエエエエ」戦いが終わった。


勝ったのは巨大ヤスデだった。彼はテントをしまっていた。

逃げ足だけは素晴らしく、来た方向を慎重に進んでいた。


しかしモンスターにはバレていた。


彼は手元にあったウッドソードスローで一本投げたが無意味と言わないばかりに弾かれた。


「うわ。怖え。殺される。」


声もあまり出すわけにはいかなかった。突如洞窟内の道が繋がっており、二手に別れていた。彼は選択を迫られ短い時間で思考を巡らせた。左は大きな道で少し光が強くモンスターの声が聞こえた。

そして、画面が目の前に表示された。


[これは幸運のカード。]


レトファリックは何の事かさっぱり分からなかった。


分かれ道の右は暗く狭かった。


右の道を見ると大きな石が生き物のように動いていくのを彼は見た。


モンスターだと確信した。


冷静だった彼はなんとなく左から来たことを思い出しそちらに向かって走った。


しかし、このコウモリモンスターのカノライムは非常に狡猾だった。


彼らは人間の血が好物のモンスターだが、この洞窟ではLevel 8と最弱のモンスターだった。

そのため今夜はじめての人間だったので、奥に連れて行き仲間を呼んで待ち構えていた。

ざっと20匹くらいいた。彼は死を悟った。


前を見ても後ろを見ても勝てない敵がいた。ただ彼は瞬間死の淵に立ち状況判断が素早い状態になった。そして結論を下した。


「デカヤスデ、悪いがそこを通してくれないか。」


彼はある可能性に賭けていた。


まず、コウモリの集団の方が攻撃を畳み掛けられるから回避が出来ず勝ち目がないと彼は判断した。


そして、前にビースマッシュを使用したモンスターを倒したらスキルが手に入った。


それなら、あの石に化けたモンスターを倒せばスキルが手に入るかもしれない。


問題は相手がlevel 18のモンスターであったことだった。


明らかに一撃で瀕死だった。


[ポイズネークリムドーム]


ヤスデは体の毒を腹から巡らせ、それを吐き出す姿勢をとった。


彼は範囲攻撃だと思った。しかも広そうだった。


彼はとっておきを使った。


アクセルロールビーが洞窟に落としていた針をヤスデの腹に全て刺した。


一瞬痺れたヤスデは動きが鈍った。


吐き出す手前で止まった。


彼は大きな石をスキルの要領でヤスデの頭部にぶつけた。


相手の攻撃は右にそれた。攻撃の一部がヤスデ自体に当たった。


彼は左から逃げた。

彼は暗い道を見つけると中に入った。案の定行き止まりだった。


時間をかけるわけにはいかずランプを使用した。


そこには、池があった。


石が何個かあり、ルビーやサファイアなどの鉱石もあった。


草も生えておりライム・メタルという固有のものもあった。


レトファリックはここにある宝石を持ち替えれば高値だろうと眺めていた。

しかしそんな余裕は無かった。あの石のモンスターは本当に居たのか。


ランプを使うことに気づいて逃げたのか。彼は自分を疑った。思えば彼はかなり焦っていた。幻覚もあるだろう。


彼は今まで前を向いて走っていた。首が疲れていた。一息つきながら見上げた。


洞窟の壁には石が張り付いていた。


洞窟にくっついているかは少し暗かったためわからなかった。


とりあえず近く石を持つと見ていた石が少し動いた。


「こいつだ。行け。」


彼は石を投げた。


しかし石は嬉しそうに回転しながら池の中に落ちた。


ウッドソードスローをすると剣が壊れる。


マーヴェリックはもう最後の剣を使用してしまっていた。


「この池の中を探せって事か?時間がないんだ。」


池は小さく石しか存在していなかった。


剣がなくなったので攻撃が素手しかない。


無駄な足掻きかもしれないと思いながら探した。


ランプの灯りで見える範囲が少し狭かった。彼はランプの見えない範囲を手で触った。見えはしなかった。ただ冷たい池にしては温かい少し大きめな石を掴んだ感触があった。彼はそれを池から取り出して懇願した。


「見つけたぞ。頼む、倒させてくれ。」


石は姿を変えた。レオリープ・カメレオン。固有モンスターだった。カメレオンは笑うと光を彼に浴びせた。次の時には消えていた。


[おめでとうございます。固有スキル、避役の変貌を獲得されました。使用の際にはNon Player Clown FONUMEES SKILL〔レオリープ・カメレオンの7〕もしくは〔カメレオンの7〕を唱えて下さい。トランプカードではクラブの7です。このカードの意味は〔幸運〕です。]


突如、全てのNPCモードの村人達に連絡が入った。


[こんにちは、squiです。たった今、プレイヤー[レトファリック]がカメレオンの7を獲得致しました。スキル欄をアップデートいたしますのでご確認ください。カードではクラブの7。意味は幸運です。


また、詳しい概要を説明いたします。皆様は今一つ目の固有スキルを入手致しました。スキル画面の長方形の部分を御覧ください。


長方形の左下にクラブの7、また、右上から1つ下の欄にNon Player FONUMEES SKILL JOKER CODEを表示致しました。


一つのカードに該当する全てのスキルを入手するごとに次のサーバーへの転送を許可いたします。


第二サーバー名VARMARD PARADOX。機械仕掛けのエリア。


カードを全て集めればゲームクリア。ゲームクリアを果たしたプレイヤーにはNON PLAYER CROWNを贈呈し全てのサーバーを統治する権利を獲得できます。現実世界に戻ることが可能になります。


また明日の午後19時から21時までの2時間の間は元NPCのプレイヤーの戦場エリアでの皆様方NPCとの戦闘を許可いたします。levelが高くスキルも多数所持していますのでご注意下さい。]

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