第44話 レトファリック、アイドル好きなメヌカモ先生と出会う。

レトファリックは、メヌカモを探してとあるビーチに来ていた。

リバーライド・シャレットビーチ

彼は夕日が差し込んだ、長い水平線の見える綺麗なビーチに思わず目を奪われた。


「本当にこんなところにメヌカモ先生がいらっしゃるんですか。」


[はい。前方50m先にいます。]


スキックの助言通りに砂浜を道順を辿っていると、メヌカモ先生らしき、白髪で白いコートを纏った方がスイカを割ろうとしてる現場に遭遇した。


「トレミーちゃん。こんなに僕の愛を一滴残らず想いをこめて伝えているのに、なんで僕の気持ちを分かってくれないんだああ。」


目隠しをしているのにも関わらず大声で叫びながらフルスイングでスイカを割っていた。


「あなたがメヌカモ先生ですか。」


すると、メヌカモ先生は僕らの存在に気づき目隠しをしたまま挨拶をした。


「ん。確かに私がメヌカモだが、君は私の生徒かな。」


メヌカモ先生だと気づきレトファリックは嬉しく返事をした。


「いえ違います。私もあなたと同じNPCのレトファリックと言います。会いたかったです。今日は、どうすればNPCでも教師になれるのか伺いに来ました。」


メヌカモ先生は彼の言葉を聞いて自分の悩みを吐露しだした。


「NPCでも教師になる方法は後で話そうかな。それよりも実はトレミーちゃんというアイドルがスイカ割りをする配信を見てスイカ割りをしていたんだ。スパチャで愛を伝えたというのに返事がいまいちで不満がたまってね。」


レトファリックは配信者のトレミーちゃんという存在を人魚時代のころから知っていたため話がすっと入ってきた。


「自分も見たことはありますよ。かわいいですよね。それでどんなスーパーチャットだったんですか。」


メヌカモ先生は、レトファリックの見たことあるという言葉に飛びついた。


「おお。君も見たことあるのかね。それじゃあスーパーチャットを見せてあげよう。」


そう言ってメヌカモ先生は自分のスーパーチャットを見せた。


すいかーーーーー ーーー ーあ. . .りがとうーーがおい@れたーー..my . fireー...is .ー. indigo .ー & NEW ERA~  404


「なんですかこれ。」


レトファリックが困惑しているとメヌカモ先生は解説をし始めた。


「全部を英文字にしてsuikaからaを引いたらsukiになるでしょ。」


レトファリックは彼の話に無言でうなずいた。


「arigatouからgaoiを引いたらturaになる。それにれたーを組み合わせて全文が好きー釣られたーとなるでしょ。you know?」


「あ、はい。」


レトファリックはこのメヌカモ先生は相当な変わり者である事を理解した。


「れたーは手紙という意味もある。それでのばし棒の数はモールス信号になっていて空白で区切っていくと、意味は0ONEWZEBRA。令和NEWZEBRAとなってZEBRAがしまうまで黒と白だから告白。令和の新しい告白ってなるんだよ。」


「はい…。」


「my fire is indigoは私の情熱はあいいろです、となって告白になる。NEW ERAは404はエラーコードだから、NEW ERROR、新しいエラーです、となる。」


レトファリックは彼の言葉を話半分で聞いていた。複雑で理解しづらかった。


スパチャについてを熱く話すメヌカモさんは、話を終えるとレトファリックに相談を持ち掛けた。


「そしたらさ、お願いがあるんだけど聞いてもらっていい。NPCじゃ無理だと思うけどもし、上手くいったら先生になる助力をするから頼むよ。」


レトファリックは、自分の望みが叶うのでこれを引き受けた。


「分かりました。何をすればいいですか。」


レトファリックの言葉を聞いてメヌカモ先生はお願いを話始めた。


「トレミーちゃんていうエルフのアイドルのライブチケットを入手してくれないかな。僕の推しの子でさ。」


レトファリックは、自分の能力ではチケットを入手できるか分からなかった。


「チケットですか。どうすれば入手できるんですか。」


「プレイヤーしか入手できないんだ。NPCの僕では門前払いさ。毎日トレミーちゃんの配信を見ているというのに生の姿を拝むことができない。悲しいもんだろう。」


「そ、そうなんですか。」


レトファリックは、NPCの自分では不可能だと諦めかけていたが、自分の頭の中である解決策をひらめいた。


レオリープ・カメレオンの擬態スキルで、無生物のアイテムに化けられる。それなら、チケットになりすませばいいじゃないか。


「できるかもしれません。僕がチケットに擬態すればあなたはライブに行ける。」

メヌカモ先生はその言葉に驚き声がうわずった。


「それは本当か。ぜひよろしく頼む。」


「約束ですからね。もしライブに行けたらどうやったら先生になれるのか教えてください。」


食い気味で約束を取り付けたのちメヌカモ先生との話は終わった。


レトファリックは、早速、レオリープ・カメレオンで擬態するために、トレミーちゃんのライブのチケットを探し始めた。


「スキック。ライブのチケットを持っていそうな場所はないか。」


[VARMARD PARADOXのアニープ都なら、チケットを持っている方が多いと思います。機械仕掛け、オタクの多い街ですので。]


「明日になればまたメルノシーミルで働かないといけない。今のうちに見つけておかないと。」


レトファリックは、転送を使い第二サーバーVARMARD PARADOXへと向かった。

VARMARD PARADOXは機械仕掛けの国だった。蒸気機関車の窓がホテルの窓にそのまま使われており、ゴブリンや、スケルトンが街の住人として暮らしていた。大きな電脳城が一つあり、街のいたるところにある電子画面には、第3サーバーで死闘を繰り広げるモンスターたちの姿があった。


「ここが機械オタクの街か。さて聞き込みでもしますか。」


レトファリックは早速近くのゴブリンやスケルトンに聞き込みをした。


「トレミーちゃんか。名前は知ってるけどチケットは持ってないかな。」


驚いたことにこの街のゴブリンやスケルトンは人語が話せていた。

聞き込みを続けていると、第1サーバーから第2サーバーに来た仮NPCの人間たちに遭遇した。


仮NPCの者たちは目はやつれており、この世の地獄を見たかのようなだった。

歩き方もまるで、ゾンビのように生気がない。


「おら、もうどうなってもいい。明日生き残れるかもわからないんだ。誰か殺して巻き添えにしてやる。」


また、一部の人間は街の酒場に向かって剣を持って襲撃している者がいた。しかし、近くのミノタウロスがそれを静止させていた。


「雷神セト・トルエドの乱怒。」


しかし、そのミノタウロスをある者がスキルで殺した。


「せっかく面白い所なのに、静止させてはダメだ。彼らの自暴自棄こそ人間性が破壊されている証。それなりのショーじゃないか。」


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