第43話 レトファリック、エルフのいじめっ子から子供を救う。

ラグリーグ・レトファリックは、メルノシーミルというホテルでミライエルさんの元で働いていた。


「おい、ぼさっとすんな。皿洗いが終わったらベッドメイキングだ。」


「は、はい!。」


この赤い髪と褐色の肌を持つ強そうな女性はランドローザ姉さん。僕の上司に値する人だ。


僕は、食事の終わり大量に並べられた皿を洗っていた。


ツキレニーさんにもう一度あってみたいな。可愛い人だし出会った人間の中では比較的会話できそうだった。


「違う。ソースの皿はもっと念入りに洗わないと落ちないぞ。」


それからランドローザ姉さんから、ベッドメイキングの仕方を教えてもらった。


「まずはマットレスの上ベッドパッドを敷け。」


「これですか。」


自分が持ち上げたのは、メイキングシーツだった。


「違う。これ。」


「あ、はい。」


「そしたらメイキングシーツをかけて。」


その後もランドローザさんから丁寧に一つずつベッドメイキングの方法を順番通り教えてもらった。

ベッドメイキングが完了し一日の仕事が終わった。

すると、着衣室の近くの休憩室から声が聞こえてきた。


「もう私には無理です。ど、どうか辞めさせてください。」


「ツキレニー。そんな辛い仕事は与えていないと思うがなぜ辞めたいんだ。この前壺を割ってしまった事を申し訳なく思ってるのか。」


ランドローザ姉さんとツキレニーが話をしていた。


「はい。その件も含めてもう3度も壺を割っています。自分では弁償もできません。」

「その壺の内2つは安物だ。今回のも限定品ではないし、うちには高い壺はおいていない。気負いすぎるな。」


「もう私にはメルノシーミルの従業員は務まりません。」


ランドローザ姉さんはツキレニーの肩に両手を置いた。


「もう少し考えろ。明日また気持ちが変わらなかったらまた、私に話してくれ。」


「わ、分かりました。」


メルノシーミルの着衣室から出るとツキレニーに会った。


「ここ、辞めるの。ツキレニーさん。」


「き、聞いてたんですか。はい。もう私には無理…。」


レトファリックはツキレニーさんの震えた手を握りしめた。


「君の仕事ぶりは僕よりずっといいってランドローザ姉さんは言っていたよ。」


「え。」


「すごいな。ランドローザ姉さんから認められているのに従業員を辞めるなんてもったいない。」


「実は壺を割った事だけじゃないんです。ここを辞めようと思っている理由は。」

レトファリックは、ツキレニーの震えていた手を思い出した。


「それって手が震えているのと関係があるの。」


ツキレニーさんはレトファリックの言葉に押し黙っていた。


「あなたには関係がありません。」


彼女は手を振り払って着衣室に入っていた。


「僕は…。僕はあなたのことを応援しています。」


ツキレニーさんからの返事は無かった。


仕事終わりの帰り道を進んでいると、エルフの子供から水をぶっかけられて殴られている子供を見つけた。


「こら、何してる。」


レトファリックは正義感が強くこの場を静止させた。


「僕たちはプレイヤーだぞ。ぷ、プレイヤーがNPCをいじめて何が悪い。」


「そ、そうだ。僕たちはプレイヤー。NPCはプレイヤーに奴隷みたいに扱われるものだってお父さん言ってた。」


レトファリックはその言葉を聞いてこの街の身分階級を知った。


「この街思ったより悪い場所かもしれないな。まさか子供に奴隷なんて言葉を教えてるとはDESSQは闇が深そうだ。」


いじめていた子供たちはその場を去っていった。


「大丈夫かな。立てそう?。」


子供はいじめていた小学生の子供より少し大きく、中学生くらいだった。


「立てるから手いらない。くそっ。プレイヤーとNPCが入れ替わって立場が逆になってしまったんだ。ゲームマスター許せねえ。」


「プレイヤーとNPCが逆転した事で君のような被害者は多くなってそうだ。君名前は、」


レトファリックの質問に子供は答えた。


「マルテン。くっそが。思い出してもむかつく。エルフのガキから復讐に遭うとは。おいお前、さっきのエルフのガキをどうやって痛みつけるか考えてくれ。」


「復讐の復讐をしてもいたちごっこになるだけだと思うよ。」


「うるせえ。助けてもらったのは感謝してる。じゃあな。」


そういうと、マルテンは商店街の方へ向かっていった。


「skiqqu。エルフやNPCはプレイヤーからひどい目に遭ってきた。僕らは世代を超えて人間に復讐にあってるって事でいいんだよね。」


「今の状況と合致してるよー。エルフらからの復讐はこれだけではないと僕は思うな。もう一度この国の事を説明しようかな。どう。」


「頼む。」


レトファリックはskiqquに今所属している国の説明を求めた。


「この国は教師の国。戦闘魔法科学が盛ん。教師ランキングが設定されていて、一位の教師が王様となっている。シャトール王国会議の子供の得票で王様が決まる。」

レトファリックはその言葉を聞いて、ある事を思いついた。


「じゃあ僕も教師になって一位になればこの国も変わるんじゃないかな。」


「現実的に不可能に近いです。NPCの教師という存在は現在一名しかいません。」


レトファリックはskiqquの言葉を聞いて驚いた。


「いるの一人。」


「はい現在一名います。名をメヌカモと言います。顔をあわせてみますか。」


「その人に会ってみよう。」

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