第53話 バベル死す!?



 ~ローレンス王国国境砦~


 連合軍の前に悠々と立ち、来るなら来てみろと待ち受ける白虎とクエイドを前にし、魔族の引き連れて来たヘルファイアタイラントとデスストームも一瞬足は止まったが、再び進軍してきた。


 連合軍の兵士達はこれから一体どんな戦いが繰り広げられるのか、恐怖と期待と交差し複雑な心境でその大きな影の後ろでただ息を殺して見守るしかなかった。


「白虎よ先ずは我が数を減らす」


「あれをやるんだな」


連合軍はいよいよ伝説のドラゴンと言われるその力を目の当たりにすることとなる、全員がその一挙手一投足を固唾を飲んで見守る。


 クエイドが少し前に出るとその巨大な体で二本足で立ち上がりスキルを唱えた


【アースクエイクスパイラル】


そして前のめりに倒れる様に前方に凄い勢いで両手を叩き付けるモーションを取ると、凄い地震が全体を襲った。


ドガガガガガガガガガガアアアン!!


その衝撃で連合軍全体がひっくり返る程だったが、クエイドの前方はそんなもんでは無かった。

まるで地面が波打つ水面の様にうねりながら、さらには大きな亀裂を作りヘルファイアタイラントやドラゴンを襲った、それは、見ている連合軍もゾッとするほどだった、絶対にクエイドの怒りを買ってはいけない、見ている者はそう思ったであろう、これが大地の怒りとも聞く伝説のドラゴンの力か・・・


その凄まじい地震と地割れによりヘルファイアタイラントの半数以上が宙に放り投げられ地中に飲み込まれた。

デスストームドラゴン3体は辛うじて空中に避難し難を逃れたようだが一気にその数を減らした。

その後その地割れは静かに閉まっていき完全に落とされたヘルファイアタイラントは地中に生き埋めになったのである。


「これくらいでいいだろう、あまりやると地形が変わってしまう、ガハハハハ」

白虎もそれを見て

「相変わらずの威力だな、次は俺の番だ」

白虎が残ったヘルファイアタイラント達の方に少し駆け寄りスキルを唱える


【絶対零度雪嵐】ガオオオオオオオオン


一瞬辺りの空気が凍ったかのような寒気を連合軍の皆も感じただろう、だがそれをまともに食らったヘルファイアタイラント達は全員完全に氷の像と化した。デスストームドラゴンは冷気の耐性があるのか、辛うじて動けるようだった。


「相変わらず白虎の氷像作製は見事だな、ガハハハハ」


「飛んでる奴はクエイドに任せて良いか?」


「おう、我にも遊ばせてくれい」


そうして白虎はその凍ったヘルファイアタイラントの像に走って一体ずつ薙倒し、粉々に砕いて回った。


一方のデスストームドラゴンは3匹がかりでクエイドに何やらスキルで応酬してるようだが、まるで心地よいそよ風でも浴びてるが如く突き進んでいきスキルを唱えた


【バーニングフレア】


その口から噴出された炎はまさに火山の噴火の如くだった、恐らく見てる連合軍は、震えていたかもしれない・・・


デスストームドラゴン3体は跡形もなく塵となった。


その瞬間連合軍から大きな歓声が一気に湧き上がった、死を覚悟した瞬間からのまさかの大逆転に連合軍の皆は多いに喜びお互いに肩を寄せ合い歓喜した。


そして無事に殲滅し終えた、白虎とクエイドが連合軍の前に戻って来た。

再び大歓声で迎え入れられる白虎とクエイド

そしてクエイドがどうと言う事でもないと言う余裕の様子で戻ってくる。


「500年ぶりの地上は少し遊び足らんかったのぅ、少しこの国で暴れるか」

一瞬にして連合軍全員が青ざめた表情になる・・・

「冗談じゃ、ガハハハハハ」


「それくらいにしておけ、後はバベルを待つだけじゃな」


そう言って白虎はバベルが魔界に向かうために行ったと言う山の方を見上げた。




~一方魔界の要塞最上階~



そこではバベルとデュークが激しい戦いを繰り広げていた。


流石のデュークも見誤ってたようだ、最初に会った時のバベルから見ればかなり力を取り戻し、白虎とクエイドからもらった宝によりさらなる力を取り戻したその力量にデュークは後れを取っていた。


「だいぶ力を取り戻されたようですね、あの時、初めて挨拶に伺った時のプルプル震える事しか出来なかった者が・・・」


そしてバベルは、あの時の事を思い出し、デュークのやった事、そして惨めにも恐怖に震えた己に、怒りを感じたが、今のバベルはその怒りを力にコントロールできるようになっていた。


「今の俺は一人じゃねーしな、ここで決着つけさせてもらう!」

【バベル波動】

【暗黒魔道波】


ドゴオオオオオオオンン!!


お互いのスキルがぶつかるがやはりバベルの力の方が勝っていた、そのスキルに押し飛ばされ激しく石柱にめり込むデュークの口元からどす黒い血が流れる・・・


「いいでしょう、とっておきの私の力を見せてあげましょう」

そう言ってデュークはスキルを唱え始めた


・・・・わが魔族の血を甦れ・・・・

    【デビルリバース】

・・・ゴゴゴゴォォォォ・・・


明らかにデュークの容貌が変化していく、それは勝っての魔王を彷彿させるものだった・・・


「フハハハ遊びはここまでですよ」


一瞬の内にバベルの眼前にせまりアッパーを打ち上げるデューク辛うじてガードするが天井にものすごい勢いでぶつけられ落下してくるバベルに対して容赦ないスキルが炸裂する


【ヘルバーストストライク】

今度はガードする間も与えずもろに直撃を食らいサッカーボールの様に激しく吹っ飛ばされ石柱にめり込むバベル。

辛うじて起き上がりフラフラになりながらもスキルを放つ

【バベルハリケーン】


ブオオオオオオオオ!


その拳風から凄まじい竜巻が発生し天井を吹き飛ばしデュークに襲い掛かる


【暗黒鉄壁障壁】


体の前に鉄壁の障壁を張り巡らせ無傷のデューク・・・・


「もう無駄ですよ、あなたの力は見切りました。」

「まだだ・・・負けるわけにはいかねぇ・・・」


【野獣の咆哮】ガオオオオオオン

野獣の咆哮はスキルは使えなくなるがその身体能力を5倍に向上させてくれる、そのスピードとパワーでデュークに襲い掛かる。


バベルの爪がデュークの体を掠る、防戦一方のデューク、その速さはスキルを出す間も与えない。


最初はそのスピードに後れを取って攻撃を食らう事もあったデュークだったが、だんだんそのスピードに追い付いてきたデュークが反撃に出る。


この状態をもってしてもデュークを倒すことは出来ないのか、バベルが攻撃を食らう事が多くなってくる


しかし攻撃を食らってもここで、諦めるわけには行かない!

この戦いに敗北は許されないのだ・・・その一念で必死にデュークに飛び掛かっていくバベルだが、クリティカルヒットを貰う事が多くなり何度か壁に吹っ飛ばされるバベル、しかしその度に立ち上がり己を奮い立たせ力を振り絞ってデュークに挑む。


バベルはもう限界だった・・・だが俺がデュークを倒すその一念で何度も起き上がり必死にデュークに食らいつく。

しかしこの身体能力を大幅に向上させた状態でもデュークが上回っていたのである・・・



一瞬の隙をついて攻撃をクリティカルヒットさせ、さらに間髪入れずにスキルを放つデューク


【ヘルバーストストライク】ドゴオオオオオオオン!


直撃を食らいまたもや石柱にめり込まされるバベル。

そしてとどめとばかりにスキルを容赦なく打つデューク

【暗黒魔道波】


ドオオオオオオオオン!


容赦ない攻撃がバベルの胸を打ち抜いた・・・

静かに前のめりに倒れるバベル・・・


その倒れたバベルの頭を掴み持ち上げるデューク

「これがトドメです」

そう言うとすでに何の抵抗も出来ないバベルに最後のスキルを放った・・・

見誤ってたのはバベルだった・・・完全に魔族となったデュークの力・・・


【デビルリバースファイナルアタック】


そうして頭を掴んだ反対の手でバベルは打ち抜かれた・・・


完全に動かないバベルを見下ろし高笑いをするデューク、そしてバベルの頭上でこう言い放った


「もう聴こえてないかもしれませんが、あなたの大切にしてる女性をゆっくり弄んであげますね」


そう言うと高笑いをしながらドアの方へデュークは歩き出した。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

後書き


今のバベルの全力をもってしても、デュークはそれを上回っていたようです。

このまま世界は闇で支配されるのだろうか・・・


次回予告 届け!託された声。

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