第49話 闇の軍団再び
もはや激闘は避けられない戦いが始まろうとしていた・・・
デュークが去り際に不敵な笑みを浮かべながら言い放った。
「私はこの国は綺麗なまま手に入れたいと思いますので、この場所で徹底的に叩きます。第何幕まで持ち堪えますかね・・・ククク」
そうして闇騎士達の奥へと消えて行くデューク。
まさに死を具現化したような髑髏の兵は足並みそろえて進軍してきた。
その光景は圧倒的で、まるで死の波がゆっくりと押し寄せる様に全身真っ黒の集団はただ足音だけを響かせて近づいてくる・・・
見る限り闇騎士以外は居ない、戦力を温存して波状攻撃を仕掛けてくるつもりか・・・
それを見たボストール将軍は全軍を鼓舞するが如く即座に指揮を飛ばす。
「遠距離魔法攻撃部隊詠唱開始」
「強化魔法開始」
バベルが全軍に奮い立たせるように叫ぶ
「魔法の後に俺が突っ込む皆は漏れて来たのを引き付けて頼む!」
それにハクが続く
「我も行くぞ!」
ラドルフが続く
「俺も行くぜ!」
ヴォルグ将軍と数人の将軍がそれに続くように前へ出る。
バベルが自身の強化スキルを発動する。
【バベルマキシマイズ】
【バベルブレイド】
【オーラディフェンス】
いよいよ背水の陣で勝つしか未来は無い戦いは始まった・・・
「魔法攻撃部隊一斉発動!!」
無数の攻撃魔法が放たれた、それは空を埋め尽くし全ての闇騎士を殲滅する勢いだった。
だがその煙幕の切れ目から続々と怯むことのない黒き者達は進軍してくる。
バベルが全軍に怯むなと言わんばかりに前に出てスキルを放つ。
【バベルハリケーン】「うおおおおおおおらあああああ」
そのアッパーから放たれた拳風が竜巻へと変化して黒い集団を巻き上げて行く。
「もういっぱああああつ!」
【バベルハリケーン】「そオオオオおりゃああああああ」
さらに黒い集団を巻き上げ二つの竜巻が黒い集団を蹴散らしていく。だが闇騎士は恐怖を知らない・・・怯むことなく圧倒的な数で進軍してくるのだ。
「行くぞおおおおお、ハク!」
【野獣の咆哮】ガオオオオオオン
【凍てつく吹雪】
轟々と鳴り響く吹雪が闇騎士達の足を鈍らせる。
それにラドルフがヴォルグが続く
【竜撃砲】
「我が槍の錆としてくれるわーそりゃあああああ」
【ヴォルグファング】
「全て切る!」
バベルが翔けるそれは闇を切り裂く稲妻の如く。
その一体が兵力300に匹敵する闇騎士達をまるで案山子を倒していくかの如く薙倒していく。
ハクが唸り声を上げながら闇騎士を切り裂いていく、ラドルフが槍を縦横無尽に振り回し粉砕していく。
ヴォルグが闇に紛れるが如く切り倒していく魔法攻撃と先陣特攻で6割は削っただろうか、それでも残った闇騎士は怯むことなく砦目指して進軍してくる。
カズヤが必死に矢を番えスキルを放つ。
【ストレイングトリプルアロー】
先陣の間から抜け出してくる闇騎士めがけて次々とスキルを放つ、後衛魔法部隊が魔法を放つ。
それでも闇騎士達は突き進んでくる。
ボストール将軍から指揮が飛ぶ。
「十分に引き付けて1体を囲んでで叩け!」
タタランティーノが兵が恐怖で動けなくならぬよう広範囲強化スキルを展開する。
【バーニングスピリット】
そしてその巨体を覆うほどの大盾で闇騎士目掛けて突き進む。
「我に続けえええええ!」
皆が必死で戦った、この戦いに退く場所はないのだ。自分たちが負ければこの地は魔族に支配される勝しか皆が安心して暮らせる未来は無い。
それはこの戦場に居る皆が覚悟するほど、あの黒い死を具現化したような奴らに町を支配されればどうなるかは明白だった。
それ故このようなものを決して中には入れさせてはならぬ!
その一心で皆は家族の為、愛する者の為、友の為必死に戦った。
敵の戦力は前の10倍だったが、バベルも全盛期の8割に迫る力を取り戻し、その威力は絶大だった。
触れる闇騎士をことごとく破壊していく。その闘う姿は昔の暴勇と呼ばれた頃を彷彿させるものだったが、一つ違うのは今は輝かしく光るオーラを放って闇を切り裂く英雄と呼ぶに相応しい戦いぶりだった。
その姿が兵士に力を与え、希望を与える光となっていた。
それぞれが現在できる最大限の力を発揮し、
全員の意思が一つになったかのように闇騎士達に立ち向かっていく。
闇騎士の進軍は一振りで兵士数十人を吹き飛ばす凄まじいものだったが決死の覚悟の兵士は怯まなかった。
後ろに続く友が居る、仲間がいる、国の家族の為この一槍を・・・
流石の闇騎士達もその気迫に満ちた兵士達の一撃を受け動きを鈍らせる。
その決死の一撃の積み重ねを皆で繋いでいった!
戦場は熾烈な激戦を極めた・・・
そして戦場に静けさが戻りつつあった・・・
ボストール将軍が声を張り上げる。
「我らの勝利だー勝鬨を上げろおおおお!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおお」」」」」
一斉に戦場に勝鬨が響き渡る。
どの兵士も満身創痍であったが、そこに動く闇騎士は居なかった。
連合軍の勝利だった。
すぐさま動ける者は、動けないものを砦に運び手当てに入る。
バベルがラドルフの元へ行く。
「無事か?」
「お前が魁て獅子奮迅の働きをしてくれたおかげで前よりましだな」
「とりあえずは怪我の手当てと、被害状況の確認だな」
そうして二人も動けぬ者達を担ぎ砦に戻る。
どの兵士も傷ついていたがその顔つきは勇ましく誇りを感じられた。
俺たちが守り抜いたんだという表情をしていた。
被害状況を確認したところ全体で一万程の兵を失った。
その尊き兵士の命を失ったことはかなりの痛手だが、前回の10倍の戦力を相手にした事を思えばかなりの善戦と言えるだろう。今回はバベルの強化と敵の正体が明らかでそれなりの覚悟が有ったからかも知れない。
だが油断はならない。デュークの言葉をバベルは思い出していた。
(奴はここで徹底的に叩くと言った・・・まだこんなもんじゃないはずだ・・・)
それは、ここに居る全員が聞いていた。
ただ今はそれを誰も口にする事はなかった。
それを口にすれば今保ってる気力が切れてしまうかもしれない。これ以上の戦力など考えられない。皆がそう思ってたかも知れない。
戦場に秋風が涼し気に吹いていた。
束の間の勝利の余韻に浸りたかったのだ。
それほどの激戦だった・・・
だがその後将軍たちは招集され緊急会議が開かれる。
現実をしっかりと見極めなければ明日は無いのだ。
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