第40話 魔界島


 

 やっとバベル達は魔界島に到着した、その雰囲気は太古の樹木の様な原生林に覆われ人の住む世界では無かった。朝日の当たる爽やかな時間だと言うのに、まるで日の沈むような夕暮れを思わせる雰囲気が漂っていた。

「な、なんだか、いかにもって感じですね・・・・」

「だからアンナ留守番してろって言ったのに・・・」


 アンナは少しだけ後悔してたかもしれない、今まで同行したような野山や霊峰などといった場所とは明らかに一線を画していた。


 バベルがシャドウを展開してみる。その瞬間バベルには無数のボスクラスの気配を察知した。バベルは半径3kmまで探知できるのである。そのとき、少しバベルに汗が流れる、そしてアンナの方を見ていた、その汗は魔物に怖気づいたのではない。

この危険な場所にアンナを連れて来た事に後悔したのだ、魔界島を甘く見ていた・・・・


「ハクどうだ、何か感じるか?」

「バベル殿も探知したと思うが、あの村に最後に来たクラス程の魔物の気配を複数感じる。」

「やはり、俺の読み違いでも無いか・・・」


それを聞いたアンナの顔色が変わる・・・そしてバベルはアンナを見た・・・


「フレイア、気配はこの島で間違いないんだよな?」

「うん、間違いないよこの島の中央付近だと思う。」


 バベルは少し戸惑った。このまま進んでいいのか、バベルとハクだけなら何ら問題はないであろう。しかしアンナとフレイアを連れた状態でこのまま進むのは危険なのではないだろうか。とはいえこのままここに置いていくのも危険だ、ならば近くにおいて守り抜くしかないか。


「来ちまったもんは仕方ねぇが俺の言う事には絶対したがってもらう。」

「わかりました。」


 そしてバベル達は、島の中央に向えるような道を探した、人はいなくても獣道が有るはずだとにらんだ。

 しばらく海岸沿いに歩くとそれはあった。しかもかなり大きく道はできてた、それだけ大型の何かが行き来してると言う事でもある。

「ハクは最後尾から来てくれるか。」

「わかった」 

 間にアンナとフレイアを置き先頭をバベルが慎重にシャドウで探索しながら進む、それはいつになく慎重だった・・・小さな魔物はバベル達の気配を察してか遠ざかっていく。

 しかし、しばらく進むと逃げずに静かに様子を見る様に動かない気配があった・・・相手もバベル達に気付いている、そのうえで逃げずにこちらの様子を探ってる様だった。


「アンナ戦闘には、絶対参加するな、俺とハクが戦い始めたら、木陰にフレイアと隠れてろ。」


コクコクと頷くアンナ、いつになく真剣な表情のバベルから何かを感じ取った。

小さな声でハクにバベルがもしもの時に備えて言う。

「俺が逃げろと言ったらアンナ達連れて最初に居た海岸まで戻ってくれ、その時はアンナを頼む。」

「わかった。」


 そして慎重に向こうの出方を見ながら進む、その大きな気配も動かない。お互いの距離が縮んでいく、一歩ずつゆっくりと・・・その時だった。


ウボオオオオオオオオオオォォォ


物凄い威嚇の唸り声を上げながらそれは、姿を現した、ギガントコングだった!


「ハク行くぞ」

【バベルマキシマイズ】

【バベルブレイド】


【凍てつく吹雪】

轟々と凍てつく吹雪がコングに襲い掛かる、動きの鈍った所にバベルがすかさずブレイドを突き立てる、しかしコングにはそう易々とは突き刺さらない。

コングの動きも素早いが、その攻撃は、バベルには当たらなかった。


バベルが攻撃を回避するとハクが襲いかかるそして飛び退き交互に交互に息のあった連携を見せるバベルとハクに、さすがのギガントコングも、なすすべ無しかと思われたその時。


その騒ぎを聞き付けたデカイ気配が2体迫ってくる、デビルサラマンダーだった、それは巨大な太古の恐竜を思わせるようなトカゲの出で立ちで、長い下が巨大なムチのようにしなやかに動いている。


もう一体はマウンテンロックスパイダーだった。赤く光る4つの目はバベル逹をしっかりと捉え着実に捕獲に向けて動き出していた。


弱ったギガントコングが後ろに下がる、スパイダーが粘着液の様なものを口から吐きかけて来る、素早くかわすハク、しかしそれは暫くすると強い強度をもち粘り気のある糸へと変化していく、そうやって敵を仕留めるのであった。


バベルは、この3体の標的がアンナに向いてないことを確認した。


ハクも凍てつく吹雪で応戦する、サラマンダーは冷気が苦手の様だった、明らかに動きが鈍くなる。

バベルはスパイダーの吐く糸を躱しながらブレイドで糸を排除していく、そしてスピードを活かしてスパイダーの足を切断する


ギイイイイイイイ


スパイダーが雄たけびを上げる

敵三体はその巨体が邪魔してうまくバベル達に攻撃を当てられない、逆にお互いで攻撃を邪魔し合ってるかのような状態になってた。


(このまま焦らずに削って行けば行けるな・・・)


ハクとバベルのコンビネーションは息が合ってた、片方が狙われてるともう片方が攻撃する、そうやって敵の攻撃を躱しながら、少しづつ敵の体力を奪っていく。


そしてギガントコングが体勢を崩して、倒れこんだところに、

【バベル波動】ドゴオオオオオオン


グオオオオオオオオオオ


ギガントコングの悲鳴が鳴り響く、このままいけばどうにかこの窮地も切り抜けられると思った時であった。


「ホロホロホロホロホロォオオオオオオ」


何やら良く響き渡る人の声とも獣の声とも分からぬ声が響いてきた。その雄たけびを聴き敵3体が、攻撃を止めた・・・・


そしてその声の主が現れるのを待つかのようにバベル達から後ずさりし始めた。


そこに現れたのは人?いや獣人の様だった・・・





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