第39話 船頭探し


 それからバベル達は一時の海水浴を終え一休みしながら次の目的地に向かう準備を始めた。

「フレイアどうだ、気配は近いのか」

「確認してみる、んーまだ結構あるかもー」

「それって海岸沿いか?」

「いやーそれがねー海の方角なんだよねー」

「なんじゃそれ、どうやっていくんだ」

「たぶん、なんかの島だと思うんだよねー」


泳いでいくわけには行かないので、近くの住民に何か島らしきものがこの辺にあるか確認してみることにした。

海水浴場の人達に聞いてみても知らないようだった、そのまま海岸沿いに進んで行くと遠くに港が見えて来たので、船乗りなら何か知ってるかもとそこに向かって馬車を走らせた、

「船出してくれる人いるのかなー」

「最悪船借りて行くしかねーな」

「まずは情報収集ですね、バベル様」


 そして港に着いた、そこの港には商業船から漁船から色々な船が止まってて賑わっていたので、なにかしらの情報が期待できた。

アンナが商業船の荷下ろしをしてる人に尋ねてみた。


「すみません、この辺りに島はありますか?」

「島って行ってもいろいろあるけどどの方角だい?」


フレイアが北北東の方を指さした。

「その方角なら有名なのは魔界島だが、だれも寄り付かないよ」

「どうしてなんでしょ?」

「名前の通り魔物の巣窟さ、そんなとこ命捨てに行くようなもんだ。」


アンナはバベルの方を見てどうしましょ?と言った顔するから、アンナに問題ないと言ってそこまで連れて行ってくれる船頭はこの辺に居ないか聞いてみた。


「あっちの方に漁師や船頭いるから、そこらへんで聞くしかないけど、行きたがる奴はいないとおもうよ?」

「ありがとなー」


そう言ってバベル達は指さされた方に行き、魔界島に連れて行ってくれる船は無いか訪ね歩いたが、どの船乗りも首を横に振るばかりで、取り付く島もなかった。

「まいったなーどうすっかなー」

「もう少し聞いてみましょバベル様、きっとみつかりますよ」


そんな話をしてると、一人の船頭が近づいてきた。

「あんたがあのバベルって人かい?」

「あぁそうだけど。」

「そうかいそうかい、あんた達、魔界島連れて行くだけなら俺が船出してやる。」

「ほんとか、助かる。」

「礼は戻って来てからでいいが、出るのはもう遅いから明日の朝からでどうだい?」

「わかった、それでいい。」

「んじゃ俺はまだ少し仕事があるから明日の朝7時にここで。」

「ご親切にありがとうございます。」

「ありがとう、よろしくなー。」


 日も暮れて来たのでバベル達はとりあえず港近くの宿を探して泊まることに事にした。宿の者に魔界島についてなんか知ってるか聞いてみたけど、あんなとこ誰も寄り付かないとみんな返ってくる答えは同じだった。そんなやべーとこならバベルとハクの二人で行くかと、言ったがアンナは意地でも着いてくると聞かなかった。


 とりあえず飯にすることにした、さすがに港と言う事でうまい魚が色々と出て来た。そして食事しながら、バベルはふと有る事を思い出した。


「そういえばアンナ最近教会いってるか?」

「そういえば行ってないですね」

「そろそろ行っとかないとやばいんじゃねーか?」

そこにフレイアが首突っ込んできた

「何の話?」


 アンナが魔物を狩りすぎるとなんか性向値が負に偏るから、冒険者ギルドで定期的に清めてもらう必要があると説明を受けた事を話した。


「あーそれならあたしが清めてあげるよ」

「えーレイアちゃんにそんな力が!」

「あたしは一応女神だからね」


そう言ってアンナの頭に手をかざし、なにやらお祈りの言葉を唱えていた。

「はいこれでOK」

「ありがとうございます、レイアちゃん」

「バベル君はその首飾りがあるから必要ないね」

「そうなのか」

「ハクちゃんも聖獣だから必要ないね」

「そうなのである、我の体は魔気ごとき跳ね飛ばすのである」

「アンナちゃんはこれから定期的にあたしが見てあげるから安心してね」

「ありがとうございます。」

「フレイアもたまには役にたつな」

「結構いろいろ役に立ってると思うんだけどーーー!」


そんな話をしながら食事を終え、

その日は明日早いので早々に休むことにした。


___次の日



「おはようございますバベル様」

「あぁおはようアンナ」

「今日は魔界島ですね!」

「アンナはお留守番な」

「行きますヨーダ」

そんな話をしながら港に行くとしばらくすると昨日の男が来た。

「俺はバズだ、今日はよろしくな」

「よろしく頼む」


そして一行は船に乗り込み魔界島を目指した。

バベルは気になってたことをバズに聞いた。


「なんで、みんな行きたがらないのにあんたは行ってくれるんだ?」

「あんた達魔物から村を救ってくれたろう。」

「ベリーサ村の事か?」

「そうだ、あそこにはうちのお袋がいる、そのお礼だよ。」

「あそこは私の村でもあるんです。」

「そうだったのかい。お袋もたいそうあんた達に感謝してたよ。山みたいにデカイ怪物倒してくれたって。」

「山はいいすぎだけどな・・・」

「良かったですねバベル様日頃の行いのおかげですね。」

「だが連れては行くが、かなりやばいとこだぞ、まーあんた達なら大丈夫なんだろうけど。また日暮れに迎えに来るがそれでいいかい?」

「あーたすかる。」


そうしてバベル達は魔界島に上陸した。






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