第38話 つかの間の休息


 

 バベル達はアンナの村を魔物の襲撃から守った、アンナの村の住人はバベルとアンナに感謝の意を伝える。

アンナはバベルがみんなに認めてもらえるのが嬉しかった、照れくさそうにしてるバベルにアンナは言った。


「この村がバベル様に助けられるのは2度目になります、本当にありがとうございます。」

「ここは、俺が救われた場所の始まりでもある、この地は守らなくては。」


 そして一旦この村に集まってくれた冒険者と声を掛け合ってベステアに戻ることにした。戻りながらもバベルは今回の襲撃についてデュークの関係性を疑っていた、あの魔物たちの異常なまでの攻撃性、何かない限り群れを組んで村を襲うなどそうそう無い、それに最後のあの怪物達、あれは誰かが誘導しない限り絶対こんなところまで来るはずはない、疑心は深まるばかりだった。

(もしかしたら今後他の地域で大規模な魔物の襲撃もあるかもしれないな・・・)


 ベステアに着くともう夜も遅いというのに町の皆が帰りを待っててくれた。あちらこちらからバベルを称える声がする、バベルはそんな出迎えをされるのは初めてで戸惑っていた。

そこに受付嬢のリアも居た。

「バベル様と皆さま本当にありがとうございました。」

「いや、大したことじゃない。」

「凄い事です!ベルファイアタイラントなんて来たらこの街は焦土と化すところでした。」

「皆の協力があったから、乗り越えられた、ここに居るハクやアンナそれに冒険者の皆がな」


 それからその日は酒場で小さな祝勝会をした、町の人達が気持ちだと言って料理や酒を振舞ってくれた。

ハクは色んな食べ物が並べられご機嫌のようだった、バベルは大勢の人に感謝の言葉を伝えられ少し戸惑ってるように見えた。


バベルはアンナを見た。今こうして皆に囲まれてるのもアンナが最初に手を差し伸べてくれてここまで、一緒に行動してくれるお陰で、今の自分がある事に感謝していた。過去の自分は変えれないが、これからも一つずつ自分の出来る事をやって行こうと思った。


そしてフレイアを見た、楽しそうにはしゃいでた。

フレイアにもバベルは心では感謝していた、昔の自分からやり直すチャンスをくれた女神だ。

昔のまま突き進んでたらバベルが今のデュークになってたかもしれない・・・


そしてその日は魔物を撃退できたことを、皆で祝い楽しみ夜も更けて行った。


__次の日



「おはようございますバベル様」

「あぁアンナおはよう」

「昨日は大活躍でしたね」

「みんな頑張ったな」


 そして皆で朝食を取った後に昨晩リアから冒険者ギルドに寄って下さいと言われてたので、向かう事にした。

「おはようございます、バベル様、みな様」

「おはようございますリアさん」


そして昨晩の魔物討伐の報酬金と国からも報酬が出てる事を告げられた、ありがたく感謝して頂いた。

あの魔物の襲撃について何か分かったことは無いか聞いてみたが、なぜ魔物があのような襲撃に出たかについては分かってなかった。

 ただ冒険者ギルドの見解もあれだけの群れとヘルファイアタイラントの出現には何かしら裏で糸を引いてるものが居るはずと見てた。

引き続きギルドでもその件については、慎重に警戒と情報収集に当たるとの事だった。


「さて、旅の再開だな、フレイア次はどの方角だ?」

「ハイハイ、ちょっと待ってねー」

また例のポーズを取りながら、何かを感じる様に集中しはじめた、何度見てもインチキ占い師にしか見えないな思った。

「感じるねー次の強い気配は、北の海岸の方だねー」

「よーし北の海岸に向けて出発だな」


 そうして一行を乗せた馬車は北の海岸を目指した、ハクも段々馬車馬の手綱を握るのがうまくなってきた。人間界でやる事はどれも興味津々でたのしそうに手綱を握ってた。


 しばらく馬車を走らせていると海が見えて来た。その海はとても青くどこまでも透き通った綺麗な光景が広がってて、懐かしいような潮の香が風に乗ってやってきた。

「わー綺麗な海ですねーバベル様、久しぶりに海に来ました。」

「海とはこんなに青いんだな」

そう、ハクにとっては初めて間地かで見る海だった、そのどこまでも続く青い海に興味津々のようだった。

「せっかくだし、少し泳ぐか」

「おーいいですね」

海には、海水浴を楽しむ人たちも結構いるように見えた。

アンナ達が水着を買いたいと言うので近くの売ってそうな店を探したら海のそばと言う事ですぐ見つかった。そしてよさそうな浜辺の所に馬車を留め一行は海に走った。


浜辺につくなりハクは虎の姿でバシャバシャと海に入って行った。

「ひゃー冷たいですねー」

「どうだーハク初めての海は」

「海の水はしょっぱいんだな」

「た、たまには、海もいいよね」

フレイアは泳げないのかしっかり浮袋を付けてすこしびくつきながら海に入ってた。

そうしてバベル達は最近の慌ただしかった喧騒を忘れるかの様に一時の海水浴を楽しんだ。

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