第34話 ベイロードダンジョン
この世界にとってダンジョンとはまだまだ謎に包まれたことが多かった、一説では古代人が作ったものであるとされる節や、いや、あれは魔物が人をおびき寄せるために奥深くに宝があるという噂を流してる、そもそもが罠なのだという説があり、それを調査する専門の冒険者等もいた。
そしてバベル達は、これからベイロードダンジョンに潜入しようとしていた。
入り口には何やら古代文字のようなものが書かれており、かなり古い時代からある雰囲気だった。
「とうとう来ちゃいましたねバベル様」
「はしゃぐなアンナ遊びじゃないんだぞ」
アンナは何だか楽しそうに辺りをきょろきょろしながら興味津々と言った感じだった。ハクは既に虎の姿で臨戦態勢で慎重に進んでた。フレイアもダンジョンについてはあまり知らないとの事で、興味津々なようだった。その実バベルは過去にダンジョンに入って迷子になりかけて出るのに一苦労したことが有りそれから入っては無かった。
「中は結構入り組んでたりするから、ハクの鼻が頼りだな。おい、フレイアこの先で合ってるんだよな?」
「うん、気配はたしかにこのずっと奥だね、あれれ、バベル君実は怖いの?」
「怖くねーし、ダンジョンはめんどくさいんだよ!」
「ふ~ん」
いつになく慎重に進むバベルだった、もちろんシャドウでの索敵もやりながら進んでた。
~~一方帝国では、~~
ジュリアは、各方面とのやり取りに奔走してた。どうやらデュークは他の国にも出現してるようだった。そして言い渡された期限はそれぞれ違うもので、ここ帝国と共和国は一番最後の様だった。
(期限をずらしてると言う事は、段階的に何かを始める気だな・・・今はその準備をしてるということか、くそ・・・分からん、そもそもこの辺り一帯を短期間で占領するなどできるのか・・・・こちらも何か対策を取らねば。)
そうして皇帝であり父親でもあるシュニッツアーの部屋の前に来てた。
コンコン コン
ガチャ
「おおジュリアか、どうだ状況は?」
「はい、調べたところやはりこの二国だけでなく、他の近隣諸国にも奴は出現してるようで、言い渡された期限はここが一番最後でした。」
「ふむ、やはりか、恐らくはこの辺りで一番武力をもつこの帝国は、最後に来るじゃろうと思うておったが、周りから攻め落とし圧力をかけるつもりじゃな。」
流石は、歴戦の武力国家の皇帝である、おおよそのデュークの計画は見通していた。
「しかし、今日までそのような歴史は聞いたこともない、とんでもない奴が現れよったな・・・」
「バベルが言うには、あいつの言う事、戯言や脅しではなく本気でやるつもりで恐らくそれだけの力を持ってると言ってました。」
「そうかバベルがそう言ってたか、そういえばバベルはまだ養生中か?」
「それが・・・実は・・・」
ジュリアは正直にバベルの事を話した、デュークに対抗すべく力を取り戻す旅に出させたことを。
「そうか、お前がそう判断したのであれば、間違いないじゃろう。あやつには何か褒美を取らせたかったが、仕方ないジュリアのそれが褒美じゃ。」
「父上、寛大なお心感謝致します。」
「余は親ばかでもなくお前には先見の目があると思うておる。」
「何をご冗談を私はまだまだ未熟です・・・」
「覚えておるか、あ奴が捕らわれて来た時の事、」
「はい。」
「あの時のあ奴の眼は真っすぐじゃった、しかしまだ危うさも持っておった、今にも鎖を引きちぎらんとしてたのを知っておったか?」
「なんと父上は全てを見抜いておられたか。」
「余も若くはない、それなりに人を見て来ておる、一目見ればどのような奴かは、おおよその見当がつく、そこでジュリアにどこまで扱えるか、見てみたくなったのじゃ。」
「では、私の芝居も・・・」
「芝居ではなかろう、本心でもあったろう、そのお前の目に賭けたんじゃ」
「いやはや父上には何もかもお見通しですね。」
「時にどう思うバベルの事を?どう見ておる?」
「はい最初は掴み所の無い奴だと思うておりましたが、今は信頼に値する頼れる男だと・・・」
「そうか、ジュリアにそう見えれば間違いない、余もそう思う。」
「あやつには爵位を授けようかと思うておったのじゃが・・・」
「爵位ですか!?」
「うむ、でもあやつは大公なぞイランと言うのが目に見えておる・・」
「大公ですか!?でもその光景は目に浮かびます。」
そして二人は心地よい笑い声をこだまさせた。
~~ベイロードダンジョンでは、~~
バベルにそんな大賛辞が送られてる事など露知らず、黙々とダンジョン奥深くへと進んでいた。そこに住まう魔物は確かに強いのだろうが、ハクとバベルの敵では無かった、かなり進んだところで
「ほんとにこの先なんか?・・・ハク帰り道は大丈夫か?」
コクコクと頷くハク。
「大丈夫ですよバベル様、私もちゃんと覚えながら進んでますから」
「人の記憶って意外と頼りにならないからな・・・」
ぷぅっと頬を膨らませながらアンナは言った。
「大丈夫ですーパンもちぎりながら歩いてますよーだ」
バベルは三日三晩帰り道を彷徨い終いには、壁をぶち抜きながら脱出した思い出が頭をよぎる。
そうして進んで行くと少し広い所に出た、その先は二つに分かれてるようだった。少しそこで休憩を取り、とりあえず右側を進むことにした。その先には少し開けた空間と小さな祠みたいなものと大きな魔人?の像があった。
「なんだこれ、鬼?魔人?でけーな」
辺りを皆で調べるがこれと言って何もない、まじまじとアンナがその石像を見上げていると目が動いた。
「ヒャ、目が!」
ゴゴゴゴゴォ・・・
石像がゆっくり動き出し、バベル達を踏みつぶそうとした。その足をバベルがデコピンで弾くとボロボロと足からだるま落としの様に崩れて行った・・・
「もろいな・・・」
「バベル様の力が強すぎるんです、普通の人は潰されてます。」
そうしてると、どこからか壁が崩れるような音がする、大急ぎで皆で戻ってみるともう一つ道が出来ていた。
「あっちが本物とみせた恐らく罠だ、最初からある方の道を行こう。」
そうしてもう片方の最初からあった方を突き進んでいくとまた少し開けた空間に出たがなにもなく行き止まりだった。
「あっちが本物だったみたいですねバベル様。」
大急ぎで新しい方へ行くと最初にあったような石像があった。
「ははーんこっちも壊せばいいんだな。」
そうしてうも言わさずぶっ壊すバベル、そして真ん中の道を行くべくゆっくりと戻って進むとやはり行き止まり。
「道できてねーじゃんか、これでここ終いか?」
「いや、でも気配はこの奥からやっぱりする・・・」
思いっきりバベルが壁を殴るが全然壊れない、何かの結界で守られてるようだった。
「だめだ一旦さっきの広場戻ろう。だからダンジョン嫌いなんだよなーめんどくさい。」
そして広場で腰を下ろして休んでいるとアンナがちょろとよろと辺りを探索する
「おまえ弱いんだから、あんまり離れるよ!」
「大丈夫です、その時はダッシュで逃げますー」
そっか一応アンナもダッシュ使えるんだったな・・・
そしてアンナが最初に入った右側の通路からダッシュで戻って来た。
「なんかあったか?」
「せ、石像が復活してます、びっくりしました!」
「なに!・・」
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