第33話 緊急指令 力を取り戻せ!



 とりあえず力を取り戻す旅に出る事にしたはいいが、この帝国の今の状態を放って出ていくのは、大丈夫なんだろうかという問題がある。それにジュリアがそれを許可するのか?そこでまずはジュリアに話すことにした。


「おお、バベルか、体はもういいのか?」

「いや俺の体はもとよりぴんぴんだ」

「そうか、そうだよな、で、どうした?」

「実はな・・・ちょっと連れを入れていいか?」

「アンナ達だろ構わない入れ」


「ん、一人初めて見る者がいるが新しい仲間か?」

「初めまして、私フレイアと申します」


 そうして、バベルはこれまでに話した経緯で、力を奪った女神がフレイアで有る事を説明した、そしてデュークがこの地に大帝国を築こうと企んでいる事、フレイアが俺の力を取り戻す手伝いをしてくれることを説明し、この切迫した状況の中ではあるが、一月後までに少しでも強くなって帝国の力となる為に、力を取り戻す旅に行かせてくれと頼んだ。


「俄かには信じがたいが、バベルが言うから本当なんだろうな・・・」


「はい、正真正銘の女神です」そう言って浮いて見せた。


「おぉ、これは女神様失礼しました。」


「よろしいです・・ニコ」


しばらくジュリアは考え込んでるようだった。

(バベルには出来たら今は傍にいて欲しい・・・)

それほどに、あの戦場でのバベルの雄姿は逞しかった。今のベルランテ帝国にせまる危機、ジュリアにのしかかる重圧は、想像を絶する。恐らく残ってくれと言えばバベルは残るだろう、しかし・・・帝都に帰還中のバベルの言葉を思い出す。ジュリアならやれると思ってここは託してるんだ。バベルにはバベルしか出来ない事を成すために、今はそれぞれが出来る最善を尽くすしか!


「事情は分かった、バベルに指令を出す、全力で力を取り戻してこい!」


「いいのかよ、この状況で、ジュリアは大丈夫か?」


「私を誰だと思っている!この帝国の戦姫と他国からは恐れられてるんだぞ!、お前はあいつを倒すために力を取り戻すんだろ、そして帝国の力になってくれる、私はお前を信じている行ってこい!」


ジュリアが自分に言い聞かせるように言ってるようにバベルには聞こえた・・・

そしてジュリアは内心無理して行かせてくれてるだろうなと思い、それに答えるだけの物は必ず取り戻し強くなって戻ってくることを誓い、ありがたく旅に出ることにした。


そしてわざわざ馬車と旅の支度金等揃えてくれて、城の外までジュリアが見送りに来てくれた。

「すまんなこの非常事態に、それに色々手間かけさせた、必ず戻る。」


「大丈夫、父上には私が緊急指令を出したと言っておく。」


この時にはバベルとジュリアの間には確固たる信頼関係が築けていた、だからこそジュリアは快くバベルを送り出した、そしてバベルも必ずそれに答えたいと思った。


そして一行は旅立った・・・


「んで、どうやって探すんだ?」


「まずは、どういったのから取り戻したい?」


「んーそうだなまずはパワーを強化したいから力の根源みたいなやつ」


「ふむふむ、ちょっとハク君馬車止めてー」

そして何やらフレイアは馬車から降りると、人差し指を頭に角みたいに当てがって何かをしている。

「何やってんだ、それ」

「バベル君の散らばった気配を感じ取ってるんだよ。」

・・・・・。

「その指は必要なのか・・・?」

「雰囲気だよ、雰囲気。」

「あっそ・・・」

バベルは何やら言いたげだったが、黙って見守る事にした。


「ぴぴぴぴ、北の方にバベル君の強い気配を感じる、あれに間違いない!キリッ」

「ほんとかよ・・・」

「間違いないね、一瞬とは言えあたしの体を通った気配、読み違えは無い!キリッ」

「さすがは、フレイア様ですね」

「そうだよーアンナちゃんあたしは一応女神だからね、あーでもレイアちゃんって呼んでほしいな。」

「分かりましたレイアちゃん・・・」

「そう、それでいいアンナちゃん」

バベルの冷たい目線がフレイアを突き刺す。

「どー見ても胡散臭い占い師にしか見えねー。」


そして一行は北を目指した、フレイア曰く北の山の方だという。

 馬車に揺られながら外を眺めてるともぞもぞとアンナが近寄って来た。

「久しぶりにバベル様との旅ですね。」

「そうだなー最近お姫様に振り回されてたからな・・・」

そして帝都に連行されてから目まぐるしくバベルの環境は、変化していったがそのいろいろな出来事を思い返していた。アンナとハクの協力があり、そしてジュリアの助言で今があり、こうして居られる事・・・



__数時間後__



 帝都を出てフレイアの指さす方に暫く進んで山の入り口に来てた。

「この山の山頂にいるのか?」

「山頂というより山の中、洞窟か何かの中っぽい所から気配がする」

フレイアの感じる気配の方へと進むことにした、バベルもシャドウで索敵するが、それと言ってデカイ気配は感じられない、そのまましばらく山の中を探索することにした。

 フレイアが時折立ち止まって例のポーズで確認する、確実に近くなってるという方へ進んでいくと、山の中腹当たりの開けた場所に出た。


「確かに強くなってるけどこれって、山の上と言うより中なんだよね・・・」


「ちょっくらハクと手分けしてこの辺り探ってみるか、洞窟か何かの入り口かないか探してみよう。」


そして二人は物凄い速さで辺りを走り回って探索した。

暫く探索するとハクは何かの入り口らしき物を見つけた、そしてハクは元の位置に戻り報告した。


「ここから少し東の方に回り込んだところに何かの遺跡の入り口の様なものを見つけた。」

「おお、たぶんそこからだね、お手柄だよハクちゃん。」


とりあえずバベルが戻るの待ってから、皆でそこに行くことにした。

すぐにバベルが戻って来て、ハクが何やら見つけたという所に行く事にした。

そしてその遺跡の入り口にやって来た。その入り口は何やら不思議な気配を漂わせており、入り口の石碑に何やら書かれていた。それをフレイアが読み解いた。


「べ・イ・ロード?これはダンジョンだね。」


「ベイロード?、バベル様たしか冒険者ギルドでその名前のダンジョン見た記憶があります。いつか行ってみたいと思ってみてたので間違いないと思います。たしか推奨ランクはかなり高かったような・・・」


「めんどくさそうだが行くしかねーな」


そして一行はベイロードダンジョンの攻略に行くことになった。








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