第26話 遠征
それから数日が足ったある日ジュリアから呼び出しがあった。
「今日はラグナロア共和国との国境へ行くわよ、準備して」
来る時にに向けて一度国境周辺を確認しに行くと言う。
とりあえずハクとアンナも行きたいと言うので、一緒に同行することとなった。
準備をしてジュリアの元へ向かうと数人の者も待機してた。
「本日一緒に同行する者よ、紹介しとくわ。まずはこっちが弓部隊長のカズヤよ。」
小柄だが、なかなか体格はがっちりして機敏な動きをしそうな男で、やたらエラの張った顔が印象的だった。
「紹介に預かりました、カズヤと申します、我が弓でラグナロアの獣人エルフ共を一匹残らず駆逐してみせまあああす!」
「ウザイ、カズヤ、だまれ」ジュリアが一喝する。
「ハイ、しみません姫!」
なかなかヒョウキンな奴のようだった。
「そしてこっちが冒険者仲間のリッチ」
まだ少女のあどけなさが残る白魔導士の様だったが、腕はたしかとジュリアのお墨付きだった。
「あのぅ、よろしくお願いします。」
「そしてこちらが、我が重騎兵を纏めるタタランティーノ隊長よ」
やたらと体格がよく身長はゆうに2mは超えている大男だった。
「タタランティーノと申す、我が筋肉の前に敵は無し!」
「バベルだ、こっちは俺の連れのハクとアンナだ、よろしく頼む。」
「よろしくお願いしますね~」
「よろしく」
そして一行は馬で国境へと向かった。
帝都から西へ行きいくつかの町や村を抜けたところに国境はあるという。
帝都を出てしばらく行ったところでブリスタンという町にやって来た、帝都に比べると道場とかは無く流石に活気は落ちるが、人々は穏やかな賑わいのある雰囲気だった。ここでは果物が豊富に販売されており、近くに大きな果実園がいくつもあるとのことだった。その中でもジュリアの好物のドリポンという果物が特産品として人気があるとのことで、それを目当てにここを通るのがジュリアの楽しみでもあった。
そしてジュリアが言った。
「ゴホン、少しこの街も歩いて見回りをしよう」
すかさずカズヤが言った。
「姫様ドリポンですね?」
「ドリポンが目的というわけではない、悪魔でも見回りだ、ゴホン」
「はい、しみません!」
「まぁ、もしドリポンがあったらお前たちの為に寄ろう。」
「へい、あざーす姫様。」
ところが、今日はどういったわけかどこの果物屋にもドリポンが無い・・・
あちらこちら必死に探す様子の、ジュリアだったがどこにも置いてなかった。
「姫様、ドリポンありあせんね。」
「そ、そうか、別に探してるわけではないが、そういえば無いな。カズヤ、なにか変わったことはないか店主に聞いてまいれ。」
しばらくしてカズヤは戻って来た。
「姫様、どうやら果実園が魔物に襲撃にあってるようで、その中でもドリポンが狙われて出荷が滞っている様子です。」
「なんだと、それは一大事ではないか、この食べ物の恨み、いや帝国の食料に手を出すとは許せん!果実園へ調査に向かうぞ!」
そして一行は急遽果実園の調査に行くことになった。
ブリスタンを出てしばらく行くと幾つもの大きな果実園が広がっていた。
するとアンナがバベルに行った。
「いい景色ですねー、それになんだか甘酸っぱい香りが至る所でしますねー。」
「そうだな、しかしドリポだかなんだか知らねーが姫様ってのはお気楽なもんだな。」
「そういえばバベル様は食べたことないですか?ドリポン、私は一度だけあります。とても美味しかったのを覚えてます、高価なので庶民はそうそう食べれませんけどね。」
「フン、果物とか興味ないねぇ。」
「まぁまぁそう言わずに久しぶりのお出かけ楽しみましょう。」
しばらくしてドリポン園に来ると、そこの主らしきものがすぐに出て来て跪いた。
「これはこれは、姫様ようこそ。」
「よい表を上げよ、ドリポンが魔物の被害にあってるというのは本当か?」
「その通りでございます、私らもホトホト困り果てております。」
「むむ、その魔物とやらはどこから来るのじゃ?」
そして北の方の山を指して、そこから最初は少しの被害だったが味を占めてか頻繁に来るようになったと言う。それも収穫時期になったものから取っていくからここ最近は出荷できずに困り果てているらしい。
「けしからん、このままではドリポンが食べれなくなるでは無いか!今すぐ魔物討伐に向かうぞ!」
そしてお気楽な姫様に従って一行は山へ魔物討伐に向かう事になった。
「でも、どうすんだ、どれがドリポン食ってるやつかわかんねーぞ、片っ端からやるのか?」
「むむ、それもそうだな、」
「山の魔物全部狩るとかだるすぎるぞ、一旦夜に見張りした方がいいんじゃないか?」
それもそうだと言う事になって一旦果実園に戻りどんな魔物が来てるのか隠れて見張りをすることとなった。
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