第20話 再び迫る過去の清算
そしてバベルは兵士達に敢えて抵抗せずについて行く事にした。
バベルは過去の自分と向かうために何事も受け止める覚悟はあった。
バベルは兵士に問うた。
「別に抵抗するつもりはないから、教えてくれ。どこに連れていかれるんだ?」
「帝都に連行するように命じられている、俺たちが言えるのはそれだけだ。」
ここベルランテ帝国は武力国家で、武を重んじ強き者を尊ぶ国であった。
その帝都は、ベステアから海沿いに南に行ったところにあった。
「そこで、俺はどうなるんだ?」
「それは、俺たちの知る処ではない、ただ連行するよう命じられてる。」
「なぁ、逃げたりしねーからこの手枷外してくれねーか。」
「ダメだ。」
ガシャーン! 力任せに手枷を破壊した。
「な・・・!」
慌てて武器を構える兵士達。
「大丈夫だ、逃げねーから、大体逃げるくらいならあの時、殺ってるって。」
そうして反対に背を押されて渋々進行する兵士達。
~~その頃、ハクとアンナは。~~
「アンナ殿どうする、バベル殿を助けにいくか?」
「いえ、何時かは向き合わないといけない事ですから、ここで救い出して逃げても同じ事の繰り返しになると思います。」
「それでは、見捨てろと言うのか?」
「いえ見捨てるのではありません、信じて待つのです。」
「最悪死罪等言いつけられる可能性もあるぞ?」
「大丈夫、あの方はそうそう死ぬ方ではありません、その時はなんとか逃げてくるでしょう。」
「とりあえず、後を追うか」
「そうですね、その前にその姿はあまりに目立つので出来れば人型で・・・・」
「それも、そうだな。」
そうして、ハクとアンナはバベルの後を追う事にした。
~~~その頃帝都では~~~
ベルランテ帝国の皇帝シュニッツアーは近隣諸国との紛争に頭を悩ませていた。
(ラグナロア共和国め、今年はいつになく手ごわいな・・・)
ラグナロア共和国とは獣人とエルフで構成された国であった。獣人の勇とエルフの魔法はベルランテ帝国の武力をもってしても脅威だった。
ベルランテ帝国とラグナロア共和国は、その境界戦で小さな紛争を毎年繰り広げていた。
(ローレンス王国とは表向き中立という立場を保っとるがあやつらも気を抜くと仕掛けてきそうだしな。)
ローレンス王国とは商業が盛んな、比較的穏やかな人種で構成された町であった。
ラグナロア共和国とベルランテ帝国とも取引があり、この国を通してお互いの物流もあった。そのため商業が栄えてるのである。
そうした何時もの昼下がりに
「皇帝陛下、伝令です。」
「どうした」
「バベルを捉えたようです。」
「なに、あの暴勇をか?、そして被害は?」
「いえ、それが無抵抗らしく・・・被害はありません。」
「と言う事は、あの噂は本当だったのか・・・そして今どこに?」
「今ベステアよりこの帝都に連行中です。」
「と言う事は、明日には着くな、連行してきたら余の所に連れてくるのだ。」
「ハッ、畏まりました。」
地上最強と言われる力とその暴勇に人々からも魔族からも恐れられておった男か・・・一度その雄姿見てみたいと思っておったが、こうもあっさり捕らわれるとは何か裏があるのか、余が見極めてやろう。
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