第19話 暗雲


 そうして受付嬢に弓用のスキルをいくつか見せてもらう

成果報酬でまとまった金額はもらったが、スキルはどれも高価なものだった

手頃そうな使い勝手のいいスキルを見繕ってもらう。


注意事項としてスキルを覚えたからと言って必ず発動するわけではないことを説明された。


それはバベルも分かってた、スキルとは技のイメージの具現化によるものなので、発動できないこともあるのだ。手っ取り早いのは覚えたいスキルを使ってるのを一度見せてもらう事がいいと説明された、その通りだとバベルは知ってた。


バベルはその技のすべてを長い年月を掛け、自分で会得してたのだ、ある意味武の天才だった。


そして受付嬢は、説明書付きの巻物を持ってきた、


【トリプルショット】と【集中力向上】

トリプルショットは一気に三本の矢を放てる技のようだ、比較的MP消費が低く基本技のようだ。


集中力向上とは文字通り、集中力を高めて命中力を上げるスキルで、比較的覚えやすいとの事。


バベルたちは受付嬢にお礼をいいギルドを後にしようとした時に、受付嬢が近づいてきて耳元で小声で忠告してきた。

それは、この国でも、やはり依然として俺は要注意人物として発見しだい帝都への出頭命令が出されてるとのことだった、この街の者はバベルに恩を感じてるので大丈夫だと思われるが帝都付近には近づかない方がいいことを忠告してきた。それもやはりバベルに恩を感じてるからだろう。


再度礼を言いバベル達は出ていった。


「とりあえずこの街では安全そうですね」


「どうだろうなこの街も他所の者が出入り多いと聞くし」


「大丈夫です、もしものときは私がバベル様の弁護します!」


「すげー頼りないがよろしく・・・」

今のバベルならもしもの時でも捕まる訳がなかったが、その時は従おうと決意するのであった。


そして人気のいない広場に来るとバベルはアンナにスキルの試技をするように言った。

早速巻物広げて魔法陣に手をかざす、アンナの頭上に


___テッテレー【トリプルショット】獲得___

___テッテレー【集中力向上】獲得___


出方は一緒なんだとバベル達は思った。


アンナはすんなりと技を発動出来た、ついでにバベルは弓術を獲得してたことを思い出しアンナに一度その技を見せてから受け渡した。

___テッテレー【バベルレインアロー】獲得___


「これで、だいぶアンナも強くなったな」


「えーそうなんですかね、自覚ないですけど・・・」


そしてとりあえずバベル達は腹ごしらに行こうと店を探した。


そして一軒の料理屋の前に辿り着きここにしようと中に入った。

するとそこでもウエイトレスがハクを見て小さな声を上げ口元に手を上げる

そして申し訳なさそうに

「お客様魔獣を連れての入店は・・・」


「我は魔獣な・・・」

バベルはハクの口を遮って、

「ハクすまん、その時の様だ」

と人間界には人間界のルールがあることを伝えた。

仕方なくハクは人間の青年の姿になった、

とても綺麗な美男子だった。

だが風格というか、威厳といったものは無くなった。


「だからこの姿は、好かぬのだ。」


「まーそういうな良い男だぞ。」


そして料理が運ばれてくる、ハクは人間界の料理は初めてで、うまいうまいとバクついてた。

バベルもまたこのように仲間と供に穏やかに食事するのは初めてで料理も非常にうまく感じた。

バベルは初めて己の幸せを感じた。普通の人にとっては些細な事だがバベルにとっては初めての

心が幸せで満たされる時間であった。バベルがそうしみじみとしてるとアンナが問いかけた。


「バベル様どうしたんですか?」

アンナもバベルが穏やかな幸福感に包まれてるのを感じ取った。


「俺は幸せ者だな…」


「女神にも今まで出会った人にも感謝しよう・・・」

心からすんなりと出た言葉だった。


その幸福感は長く続くものでは無かった・・・・


バベル達が食事を終え店を出た直後兵士に取り囲まれた・・・

すぐに虎にもどり警戒態勢を取り前に出るハク。


「我が相手になろう。」


それを見て怯える兵士。


「待てハクいいんだ!」

「ハク、アンナを頼む」

そういうと大人しく従うことを兵士に告げる。


「大丈夫だ、アンナすぐ戻るからしばらく待っててくれ」


そう告げるとバベルは大人しく連行されていった。



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