第16話 アンナの育成


  翌日朝起きて、家主にお礼をいい、旅に必要なものを道中で拾った鉱石や薬草と交換してもらい村を後にした。


「アンナ、ちょっと、走って見ろ」


「バベル君ダッシュの試技ですね、わかりましたいきますよー」

そうしてアンナはドキューンとスタートするとすぐに道を外れ、草むらに盛大に転がった・・・・


「な・な・なんですか、これは無理です。」


「ふむ、やっぱそうなるよな、まずは練習だな」


そうして広い草原を見つけた所で、まずはダッシュを使いこなせるように練習させることにした

「さぁ、ここならいくら転がっても痛くないぞ」


「わかりましたよ、転がればいいんでしょ、鬼教官・・・」


「まずはスピードの調節を覚えろ」


それからアンナは転がりまくった、傍から見たら転がる練習でもしてるのかと思うくらい、転がりまくった、そしてようやく調節のコツを掴んだアンナは転がらずに自分の行きたい方へ曲がれるようになったのである。


「とりあえずは、そのくらいでいいだろう。」


「ハァ、ハァ、どうですか私もなかなかやるでしょう、バベル様?」


「まぁ、お前なりにがんばったな、笑わせてもらったが。」


「フン、久しぶりに笑ったバベル様を見れてよかったですよ。」

そういってぷっくりと頬をふくらませた後に、にっこりと微笑んだ。


その後少し休憩をしてから二人はカラコルム連峰に向けて旅立つことにした。

先は長いからなゆっくり行くか・・・

そうして、たまに遭遇する野獣や魔物はなるべくアンナに射らせるようにした。

そうして野宿しながら旅を続ける事二日程してようやくカラコルム連峰の麓に辿り着いた

「少しはわたしの弓術の腕も上がった気がしますが、どうですか?」


「まーそれなりには当たるようになってきたな」


「それなりにですか・・・」


「まーここからは少し敵が強くなるから気を引き締めて行けよ」


山に入ってしばらくするとやはり野獣や魔物が数が多くなってきた、バッサバッサと切り倒しながら進むバベルに追従し弓を射るアンナ、黙々と二人は山を駆け渡りいつしか口数も少なくなっていった

「ちぃ、外しちゃった」


ん?少しアンナの様子に違和感を覚えたが、気のせいだと思い先を進むことにするバベル。そうして山中を渡り歩く事二日程してバベルは少し別の疑問を懐いた

(これだけ狩ってるのに俺の力を持った奴に遭遇しねーな・・・・)

(こんな山奥には、飛んでこなかったということなのかな・・・)

そうして野宿しながらぼーっと考え事をしてるとアンナがバベルに語り掛ける


「だいぶ敵が強くなってきたけど昔の私じゃないから、どうにか行ける」


「ふむ、」

ここでもやはりバベルは何か違和感を覚える

(なんかアンナ強くなったというか、口調が逞しくなってきたな)

それくらいに感じていた。

その日は深く考えず眠りに就いた。


そうして霊峰近くになると流石に魔物も大きくなり手ごわくなっていった

だが回収したいくつかの技を駆使しながらバベルは道を切り裂いて進む


「アンナあれが霊峰だ、もう少しだぞ。」


「おーあれが霊峰か、急がなくてはならねーですね。」


ん?


明らかにアンナの口調が変わっていた。

「なんか・・アンナ・・・喋り方変わってないか?」


「そうですか?バベル様の口調が移ったんじゃねーですか?」

「つまらねー事に気を取られずに先を急ぐでやんすよ」


(明らかにおかしい、なんか人格が変わってきてる?白虎ならなんか知ってるかな)

そうして先を急ぐこと二日目にしてようやく霊峰に辿り着いた。



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